昨年、Mavic mini用の偏光フィルターに散々騙されつつも、懲りずにレビューを続けたこのシリーズ。
結局、CPLを謳った商品は全てCPLではなくただのPLだったとか、経年劣化したような色温度のおかしい偏光板がはまってるとか、果ては偏光フィルターのはずなのに角度調整ができない状態で固定されていて、しかも斜めになっているとか本当にわけのわからない、おそらくメーカー側も偏光フィルターが如何なる物なのかすら理解していないと思われる、怪しい中華フィルターの山に「またお前は騙されたのか」的な徒労を感じるシリーズだったな。
そして唯一使えるフィルターだったものも、今ひとつ効果の角度範囲がシビアすぎる気がするというちょっと残念な結果に。
ということだったのだが、先日DJI Air 2Sを購入。
懲りもせずに、DJI Air 2Sに、なんか使えそうな偏光フィルターないかな、と思って探したところ、まあ相変わらず中華フィルターとしてこんなのがあったりして、商品写真を見るからに偏光フィルターなのに角度調整できないし、おそらくCPLじゃないのにCPLを名乗っているし、こういう商品はもう騙されたくないのでパス。
ということで、多少価格が高くなっても問題ないから、怪しい中華フィルターじゃないやつがいい、ということで探していたところ、この商品が目に止まった。中国製ではあるが、アメリカ企業の製品らしい。PolarPro DJI Air 2SシネマシリーズND/PLフィルターセットVivid Collection。ND8/PL、ND16/PL、ND32/PLの3枚組。
上のやつが4枚5,399円(1枚あたり1,350円)、下のやつが3枚11,880円(1枚あたり3,960円)なので、1枚あたりだと約3倍の価格だ(価格は2021年8月9日現在)。これで品質が悪かったら今度は許さないぞ、と思いながらポチってみた。
取り付けた状態。ちょっとカッコいい。回転枠の角度も、前から見た場合もわかりやすい点が良い。純正NDフィルターに比べるとちょっと取り付けが固いのがマイナス。
絞りに関しては、たとえばND8/PLだとND8(つまり絞り3段)と概ね同等そうな感じで、ND8(3段)+PL(通常1〜2段)というわけではないみたい。
フィルターを装着したまま、ジンバル固定用カバーをかけることも可能。
フィルターのコーティングがアンバーの反射を返すところがちょっと新鮮。何か意味があるのかな? 最初は色温度の調整かと思ったけど、この程度アンバーを反射したところでそれほど全体の色温度に影響を与えるとは思えないんだよな。
ということで実写テスト。左がDJI純正ND16、右が今回購入したPolarPro ND16/PL(角度はマークが上下状態で、水平面での反射抑制に対応)。圧倒的ではないかこの効果。やっとまともなドローン用偏光フィルターを手に入れた! という感じ。海面の反射がかなり広い反射角のレンジで軽減されているし、色温度が目立って下がる感じもしない。
360度パノラマ写真での比較。上がDJI純正ND16、下がPolarPro ND16/PL。(スマホだと無理かもしれないけれども)双方をほぼ同時に再生ボタンをタップすると比較が容易だと思う。やはりかなり広い範囲で海面の反射除去効果が見られる。
DJI ND16
PolarPro ND16/PL
理論的にTHETAやInsta360などには偏光フィルターをつけられないので、別の意味でも興味深い写真である。
ということで、今までのMavic mini用の怪しい中華フィルターと違って、かなりちゃんとした偏光フィルターと言えるだろう。
このフィルターをつけた上でしばらく飛ばしてみた。
上の写真はこちらの動画からの静止画キャプチャである。
これらの写真、結構スピードを出して撮ったので、特に高度が低い写真はブレているのだが、これは実はND16部分の効果である。フィルターなしで撮影した場合、上の写真と大差ない速度でも、このようなシャープな写真となる。
ND16/PLは4絞り分、シャッタースピードにして16分の1の効果を持つので、カメラ部分に絞りがないDJI Air 2Sでは、単純にシャッタースピードが16分の1となる効果がある。これによって動きを感じさせるフレームとなるが、動画から静止画として切り出すのならば、フィルターなしの方がシャープで良い写真が切り出せるだろう。
ともあれ、PolarProのDJI Air 2S用ND/PLフィルターセットVivid Collection、かなり良い製品と思えるので、純正のフィルタではなくこちらを常用しようと思う。文句は取り付けが硬めなところだけだな。初めてこう思えるフィルターに出会えてよかった! DJI Air 2Sで綺麗な水面を撮りたい人にはとてもお勧めだと思う。