xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

DJI Mini3 Pro用ND/PLフィルター(光量調整、反射抑制)の比較テストとレビュー:PolarPro, SunnyLIFE, K&F Conceptの3社製

さて、まずはお詫びから入りたいのだが、DJI Mini 3 Pro用のND/PLフィルターのレビュー、当初予定していたよりも2ヶ月ほど公開が遅れてしまった。これは、試写をするにも晴れた日の海岸に行かなければならないという理由もまああるのだが、最大の理由は「満足できる品質のフィルターとなかなか出会えなかったから」である。結局自腹で合計3万円弱の出費で3つのメーカーのND/PLフィルターを買ってテストする羽目になってしまった。

で、最初に結論を言ってしまうと、DJI Mini 3 Proに関しては、K&F ConceptのND/PLフィルターが、圧倒的に俺のオススメである。ただし自分がAmazonで買ったときはND8/PL, ND16/PL, ND32/PL, ND64/PL, UVの5枚のセットで9,000円だったのが、現在は何故かそれに予備のプロペラが付いて9,400円のセットしかないようだ。

一時期プロペラつきのセットしかなかったのだが、プロペラなしも復活している上、Mini3 ProじゃないMini 3にもどうやら同じフィルタが利用できるようだ。

ということで、どのようにしてまたしても偏光フィルター沼に足を踏み入れることになってしまったのか、順を追って説明していきたいと思う。ちなみに以前、Mavic Miniの時に偏光フィルター沼にはまった時の記事はこちらの2つだ。

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この頃は明らかに売り物としてこれはどうなんだという品質のものが多いところからのスタートだったが、今回の評価した3社の製品はどれもちゃんとしたものであり、美しい写真が撮れる。好みの問題という人もいるかもしれないが、とりあえず自分として満足のできる製品を探していたら、いつの間にか3社の製品を購入していた、ということかな。

ということで色々と沼なのだ…。

今回、まず購入したのはPolarPro社のVivid Collectionだ。本稿執筆時の価格は12,980円(ND8/PL, ND16/PL, ND32/PLの3枚セット)。ちょいと高いぞ。

アンバーに反射するコーティングが特徴的だ。

そしてかなり大きめのフィルター径。回転枠は白い印を真上もしくは真下に向けると水面反射対応の方向になる。

フィルターをつけた状態でもジンバルのカバーは問題なく取り付けできるので、移動時も取りつけたまま、常用フィルターとすることが可能である。これは今回テストした3社のフィルター全てで問題ないことを確認している。

こちらは昨年からDJI Air 2Sで使っていて非常に気に入っていたフィルターのDJI Mini 3 Pro版ということになる。DJI Air 2Sでのレビューはこちら。

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そういう事情なので非常に期待しており、今回も国内での通販が始まる前に直販で買ってみたのだが…。実際に撮影してみると、反射除去効果は素晴らしいものの、全体的に黄色味が強くなっているのが非常に気になった。

左:フィルターなし、f1.7、1/2000s
右:PolarPro ND8/PLフィルター、f1.7、1/250s

ということで、今ひとつ満足できなかったため、ここで比較用にPolarProと同様にドイツ製の偏光板を使っていることをうたっているSunnyLIFEのフィルタを購入してみた。こちらはND4/PL, ND8/PL, ND16/PL, ND32/PLの4枚セットで5,556円。まあ安いので比較用にという感じ。

コーティングはPolarProとは異なっていて、NDの濃度によって異なるが、概ね青からマゼンタ系の反射をするコーティングだ。

このフィルターも一緒に試した時の結果の方が、上のPolarProのみの例よりも分かりやすいと思う(上の作例は晴れすぎていて光の青成分が多すぎて、もう少し曇った方が特徴が出やすいようだ)。

まずはPolarPro。肝心の水面の反射抑制効果はともかく、陸地を見れば明らかだと思うけど、やはり右の写真には黄色味がかかってる。

左:フィルターなし、f1.7、1/1250s
右:PolarPro ND32/PLフィルター、f1.7、1/30s

まあ、海の青さは多分に青空の反射要素が多いので、青から少し緑がかるのは正常動作なのだが、岩場や波の白い部分が黄色味がかかっているのはやはりおかしい。

そして残念ながら、比較対象のSunnyLIFEも同様の結果だ。コーティングは異なるようだけれども、元は同じ偏光板なのかな。

左:フィルターなし、f1.7、1/1250s
右:SunnyLIFE ND32/PLフィルター、f1.7、1/40s

見た感じの感覚だけで語ると単なる印象になるかもしれないので、画面左上部分の陸地の部分を拡大し、半径10ピクセルのガウスぼかしをPhotoshopで行い、磯の中心部をカラーピッカーで取得して比較してみた。

RGBの生の値と、平均値を1とした比率を表にしてみた。やはりPolarProとSunnyLIFEは青が減って緑が増えている傾向が見てとれる。気のせいではないようだ。

フィルター RGB値 RGB比率
なし R250 G248 B245 1.009 : 1.001 : 0.989
PolarPro R251 G250 B246 1.008 : 1.004 : 0.987
SunnyLIFE R252 G252 B246 1.008 : 1.008 : 0.984

動画にするとそこまで目立たないのではあるが、やはり気になるなら-5から-10くらい色温度を補正するとほとんど気にならなくなる。面倒だけど。こちらが色を補正していないバージョン。

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こちらがPremiere Proで-6.6だけ色温度を補正したバージョン。え、違いがわからない? まあそれはそれでいいのかも。

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そんなことで、では信頼性ありそうで、なおかつ全く違う偏光板を使っていることが明記されている商品を試してみたい、ということで発見した、K&F Conceptのフィルターを購入してみた。コーティングは渋め。

自分がAmazonで買ったときはND8/PL, ND16/PL, ND32/PL, ND64/PL, UVの5枚のセットで9,000円だったのが、先述のとおり、現在はプロペラが付いて9,400円のセットしかないようだ。

こちらはAGCの偏光板(日本製)を使っているとのこと。少し高いが是非とも見せてもらいたいものだAGCの底力を…(でもPolarProよりはだいぶ安い。ND64/PLも付いていてND/PLが4枚組だし、プロテクターを兼ねたUVも付いてる)。

こちらの商品、ちょっと気をつけた方がいい点としては、回転枠の目印が斜めになった場所についており、これを土台の部分の印と合わせることで、水面上の偏光が最大効果をもつ角度に合わせることができる。なので、印を太陽の方向に向けて青空を濃くするための調整を行う、などの用途には使いづらい。

一方で、PolarProやSunnyLIFEのフィルタと比較すると、この回転枠が適度な硬さを持っており、ちょっと触っただけで回転してしまう感じのPolarProやSunnyLIFEのフィルタと違って、安心して取り回すことが可能だ。これはとても良い。

ということで、このフィルターを含めて撮影してみた結果がこちら。圧倒的ではないかAGCは。

左:フィルターなし、f1.7、1/1250s
右:PolarPro ND16/PLフィルター、f1.7、1/50s

左:SunnyLIFE ND16/PLフィルター、f1.7、1/60s
右:K&F Concept ND16/PLフィルター、f1.7、1/40s

使用したフィルターはND16/PLだが、実際の露出は5段ほど開いている感じがするのは、反射が抑制されることで画面全体が暗くなったためかも知れないが、もうこの4枚をぱっと見だけで、K&F Conceptの圧勝と言えるだろう。

  • 妙な黄色味が出ていない
  • 偏光板による反射抑制効果も一番広範囲に見ることができる

より広い角度を検証してみるために縦パノラマを撮影してみた。こちらでもK&F Conceptが一番綺麗な風景を写してくれているように見える。

左:フィルターなし、f1.7、1/800s
中左:PolarPro ND16/PLフィルター、f1.7、1/50s
中右:SunnyLIFE ND16/PLフィルター、f1.7、1/60s
右:K&F Concept ND16/PLフィルター、f1.7、1/50s

では反射でほとんど変化する要素のない、陸地側を撮ってみた結果がこちら。正直あまり変わらないように見えるが、こちらはほぼ正確に4段の露出が変化しているように見える。

左:フィルターなし、f1.7、1/1600s
右:PolarPro ND16/PLフィルター、f1.7、1/100s

左:SunnyLIFE ND16/PLフィルター、f1.7、1/125s
右:K&F Concept ND16/PLフィルター、f1.7、1/100s

縦パノラマもそれほど変わらないように見える。こちらは多少ながら海面がある分、4段以上5段未満の露出の変化がある感じ。

左:フィルターなし、f1.7、1/2000s
中左:PolarPro ND16/PLフィルター、f1.7、1/100s
中右:SunnyLIFE ND16/PLフィルター、f1.7、1/125s
右:K&F Concept ND16/PLフィルター、f1.7、1/120s

陸地側の写真を拡大して、先ほど同様に色の比較をしてみることにした。半径10ピクセルのガウスぼかしをして、変化の少ない磯の部分で比較してみた。

こうして並べてみると、やはりPolarProとSunnyLIFEは若干黄色がかっているように見えるが、数値を見てもPolarProが赤を中心に、SunnyLIFEが緑を中心に上がっており、そしてどちらも逆に青の比率が下がっていることがわかる。それに対して、フィルターなしとK&F Conceptを比較してみると、ほぼ誤差の範囲内と言っていい値である。

フィルター RGB値 RGB比率
なし R241 G239 B234 1.012 : 1.004 : 0.983
PolarPro R230 G227 B218 1.022 : 1.009 : 0.973
SunnyLIFE R229 G230 B219 1.013 : 1.017 : 0.969
K&F Concept R226 G225 B220 1.010 : 1.006 : 0.984

ということで、偏光NDフィルターを使って、海辺などで反射を抑制した上でシャッタースピードを適切に調整し、綺麗な画像や動画を撮影したい場合は、K&F Conceptの偏光NDフィルターが自分の一推しである。オススメ!

さて、このK&F ConceptのND16/PLをつけた状態のDJI MIni 3 Proで、海岸で動画のテストを撮影してみた(Premiere Proでの色補正はおこなっていない)。同じアングルでフィルタなしの状態と比較することなどは難しいが、おそらく海の中や青の濃さなどは、フィルターなしの状態よりもかなり綺麗に撮れていると思われる。

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なんか一眼レフ用のCPLフィルターもここの製品でいいような気がしてきた。CPLにしてはほどほどに安いしかなり薄枠っぽい! ということでとりあえずタムロンの18-300mmに合わせて67mm径をポチってしまった。さてどんなものかな。

しかしAmazonでは「日本の中小企業」ストアなんてのにK&F Conceptの直販ストアが入ってるようだが、調べた限りでは深圳の企業のように見えるのだが。謎だ。