今回の目次。
DJI Air 2Sを購入したぞ
しばらくMavic miniを使っていたのだけれども、どうも200g未満というレギュレーションが意味をなさなくなる日は近そうなこともあり、またMavic miniは200g未満にするためにバッテリー容量だけではなく安定性や安全装置なども省いていることから、200g未満にこだわる理由はだいぶ減ってきたな、と思う今日この頃。
これは普通のドローンにステップアップする好機、という感じもしたため、頃合いもよく新製品として発売されたDJI Air 2Sを購入してみた。
Worry-Free Fly More Comboでセット購入したのだが、真面目に値段の比較をしたわけではそういえばなかった。
というわけで、真面目に比較してみようか。ということでComboの内訳を以下の表にまとめてみた。
Comboに含まれる製品 | 価格 |
---|---|
Air 2S(バッテリー1個、プロペラ3組含む) | 119,900円 |
インテリジェント フライトバッテリー 2個 | 26,400円 |
バッテリー - パワーバンク アダプター | 2,420円 |
低ノイズプロペラ 3組 | 3,630円 |
NDフィルターセット (ND 4/8/16/32) | 9,900円 |
ショルダーバッグ | 9,020円 |
バッテリー充電ハブ | 6,380円 |
DJI Care Refresh (1年版) (DJI Air 2S) | 11,990円 |
合計 | 189,640円 |
Worry-Free Fly More Comboは165,000円なので、26,640円Comboの方がお得だ。たとえばNDフィルターとバッグに関してはサードパーティ物を使いたいので要らないしパワーバンクとか使わないので要らない、という場合でもまだComboがお得という感じだ。まあバッグもフィルターもパワーバンクもあったからまずいという物でもないと思うので、やはりCare Refreshを付けておきたくてバッテリーが3個は欲しい、という向きにはComboがお勧めだろう。
ということで、今まで買ったドローンを3機並べてみた。Tello、Mavic mini、DJI Air 2S。着実にステップアップしている。
今後200g制限が100gになると、残るのはこのTello(重量80g)のような完全なトイドローンなんだろうな(風がほとんどなければ外で飛ばせない事もないが、ジンバルは搭載されないレベル)。
という事で、今までMavic miniを使っていた人間がDJI Air 2Sを初めていじった感想として、以下のファーストインプレッションを読んでいただければ、と思う。
ローターの着脱とモーター
Mavic miniではローターの着脱に精密ドライバーが必要だったけれども、DJI Air 2Sではクイックリリース的にワンタッチで脱着が可能なので、とても楽だ。
また、Mavic miniではモーターのコイルが外部に露出している感じで、埃や砂などが入ったりしないか不安を感じていた(それゆえにサードパーティ製のカバーをつけていた)のだけれども、DJI Air 2Sではその辺りは露出していないので安心感がある。
コントローラーとスマホの接続
Mavic miniではコントローラ側にMicro USBオス、スマホ側に機種ごとのオス端子(iPhoneならLigntning)を持つOTGケーブルを用いて接続していたけれども、DJI Air 2Sではコントローラ側がUSB Type-Cとなったため、ごく一般的なUSB Type-Cとスマホを接続するケーブルで接続可能となった。ケーブル選択の余地が大きく増えたことは良いことだろう。
アンテナは内蔵となり、コントローラ上部にスマホを固定するような形となった。ただしこのまま日本の夏、屋外で利用すると熱でひどいことになるので、その件に関しては別途ブログを書く予定。
NDフィルターとその着脱
Worry-Free Fly More Comboのおまけの一つNDフィルター。周囲の環境に応じて適宜NDフィルターをかけるのがお勧めのようだが、最初全く取り付け方がわからなかった。
ググっても、左向きにひねろとか書いてあって、それ普通のカメラのフィルタの事じゃないの? これ角形だよ。とか思ったら本当にそのまま左向きにカチリとひねれた。おお。ジンバルを傷めないように気を付けて作業しよう。
ちなみに懲りもせずにこんなサードパーティ製の偏光NDフィルターを買ってみたので、後日評価してみたいと思う。
ここで「懲りもせず」というのはこういう半ば詐欺的な商品も含めて痛い目にあっているから。CPLフィルターと書いてあって実際はそうじゃないとか、PLフィルターが回せなくてしかも訳のわからない角度で固定されているとか、普通思わないよな。
バッテリーと充電
Mavic miniはモバイルバッテリーがMicroUSBの給電で、なおかつ1本50分くらいで充電できたため、モバイルバッテリーとバッテリーハブを繋いで、使った電池をその場で片っ端から充電するというマネができた。しかし残念ながら、DJI Air 2Sの電池を充電するにはACか車載電源(車載電源アダプターは別売り)が必要なようで、なおかつ1本の充電に1時間30分以上かかるようだ。まあ、パワーと稼働時間が断然違うから仕方がないかな。
バッテリーハブも、設計上Mavic miniのやつのように持ち歩きながら充電するような形状にはなっておらず、落ち着いて部屋や車の中で充電することを想定しているように思える。
車載で充電するにせよ、撮影中の移動に1時間30分も時間がかかることはあまり日常ではないので、屋外で充電することは潔く諦めて、Comboの3本の電池で足りないのであれば、電池を買い足すというのが最も現実的な解なのではないだろうか。
本体下部のかさ上げ
Mavic miniの時は、地面に近いジンバルに砂が入って動作不良となり、一度Care Refreshを使って新品交換になった事があった。再発防止のため、ジンバルなどの下部を少しかさ上げするサードパーティ製の「足」をつけていた。
その経緯から、今回も同じメーカーによるオプションを購入していた。DJI Air 2SはMavic miniよりもはるかに多くの重要そうな精密部品っぽいもの(多分各種センサー)がついていることもあり、余計心配なので。
若干、前脚の取り付けが甘い気がして心配になるが、しっかりと差し込めば問題なさそう。今のところ落下はしていない。ただ、この「足」が一本でも飛行中に欠損すると、少なくともプロペラの破損は避けられない気がするので注意だな。
ためしに飛ばしてみる
という事で、実際に外で飛ばしてみた。ちなみに、DJI Care Refreshは、Worry-Free Fly More Comboで買った場合は自動的に付帯されるようで、アクティベートの必要はないが、無償付帯賠償責任保険はユーザ自身が登録する必要があるので、飛ばす前日までに必ず登録しておく事が望ましいだろう。
なんかコントローラ周りがゴツいことになっているのだけれども、これは日本の夏対応の酷暑仕様だ。これはこれで別途後日ブログに書こう。
ちなみに普通の状態(コントローラにスマホを繋いで普通にグリップで挟んだだけ)で飛ばしてみたのだが、ものの10分程度でスマホの動作が熱で鈍くなってきたので即座にRTHで戻す羽目になった。
もし高温のままiPhoneを放置すると、最終的にはこんな「高温注意」画面が出て操作を受け付けなくなるので、日本の夏は酷暑対策が必須なのだ。
という事で、実際に飛ばしてみた動画を編集で繋いでみた。4Kでアップロードしてあるぞ。
まあ、Mavic miniのユーザとしてのファーストインプレッションは、こんな感じかな。
- 飛行が安定しまくっている
- Mavic miniと全然馬力が違う
- 4K60fpsの動画、むっちゃ綺麗
- 自動的な特殊撮影機能はかなり素敵
とりあえずこの4点について簡単に解説しておこう。
飛行の安定性
まあ、テストを行なった2日間はいずれもそれほど強い風が吹いていたわけではないのだが、それでもやはり、重量が増えたことによる安定性は感じられる(日本仕様のMavic miniは海外版と同じサイズで重量を20%減らしているため、余計風に弱い可能性もある気がする)。重量と大きさを比較してみるとこんな感じだ。
DJI Air 2S | Mavic mini | |
---|---|---|
離陸重量 | 595g |
199g |
折りたたんだ状態 | 180×97×77mm |
140×81×57mm |
風力抵抗 | 10.7m/s |
8m/s |
空気抵抗に効いてきそうな寸法は展開状態より折りたたんだ状態の方が近いと思われるので、そちらで比較してみると、前方からの面積は対Mavic miniで約1.6倍、横方向からの面積は同様に約1.7倍ながら、重量は約3倍となっており、それだけでも風への強さはかなり強化されていると考えられる。風力抵抗に関してはスペック上は10.7m/sと8m/sなのでそこまで圧倒的な差はないのだが、感覚的にはそれ以上の安定性の差があるような気がする。
高い運動性能
運動性能の比較は、標準的なモード(DJI Air 2SはNモード、Mavic miniはPモード)で行ってみよう。
DJI Air 2S | Mavic mini | |
---|---|---|
最大飛行速度 | 15m/s |
8m/s |
最大上昇速度 | 6m/s |
2m/s |
最大下降速度 | 6m/s |
1.8m/s |
最大角速度 | 90°/s |
130°/s |
概ね、水平方向で2倍、垂直方向で3倍の運動性能を持っており、それゆえに上に乗せた動画でも、調子に乗って動かしまくるカットがたくさん入っている。
Mavic miniだと50m以上の高度に上がると、あんまり画面が動かなくなるので退屈なシーンになりがちだったけど、DJI Air 2Sだとそんな事は全然ない。
一方で角速度は130°/sから90°/sに落ちているのだが、これは逆にMavic miniでのスピードが速すぎて調整が難しかった部分で、このDJI Air 2Sくらいのスピードの方が使いやすい。ちなみにこれはリミッターがかかっているだけなので、DJI Air 2SでもSモードであれば250°/sまで上げる事が可能だ(Mavic miniのSモードは150°/s)。
ちなみにDJI Air 2SのSモードでの水平方向最大速度は19m/sだが、これは時速に換算するとなんと68.4km/hとなる(Mavic miniのSモードは13m/sで46.8km/h)。DJI Air 2Sは通常のNモードでも54km/hで、Mavic miniのSモードよりも高速だ。
なるほど、これだけのスピードの差があるのだな。普通に飛ばしているだけでも気持ちいいわけだ。
高画質な動画
ここに載せているDJI Air 2Sで撮影した静止画は、動画の中から切り取ったフレームだ。DJI Air 2Sは5.4Kの動画も撮影可能だが30FPSが上限なので、60FPSで撮影したい場合は上限が4Kとなる。だが30FPSで2.7K、60FPSでFHDだったMavic miniとは大きな違いである。
マニュアルを読むと、2.7K以上で撮影している場合はAPAS(高度操縦支援システム)が使えないと書いてあるっぽいのだが、DJI FlyのAPASアイコンをタッチするとをオンにはできる感じだけどなぁ。
まあ、まだAPASをテストしたくなるような環境では飛ばしていないのでわからないのだが、とりあえずこれをオンにすると、曲がるときに視野が傾くような感じでジンバルが動くので、パンする時などにまた違った雰囲気があって良い。
ただしこのモードがオンになっていると、左右への移動はAPASにオーバーライドされるようなので、左右方向には自由に動けない。着陸ポジションを調整したい場合などはオフにすると良いだろう。
まあAPASに関しては後日別途検証したい。
特殊な自動撮影モード
どうやら動く対象をトラッキングしたり、なんか周りをぐるぐる回ったりとかよくありがちなドローン仕草を自動でやってくれる仕組みはあるようなのだが、まだちゃんと試してない。
でも、ちょっと感動したのがパノラマ撮影モードだ。勝手にDJI Air 2Sがたくさんの写真を撮って、パノラマ写真を合成してくれる。縦方向と横方向のパノラマモードがあるのだが、中でも360度のパノラマモードが素晴らしい。
本ブログでも以前からTHETAに関して紹介しているように、360度写真は登場当初から大好物なので、ドローンでこれを撮れるというのは最高すぎる。しかもHDRまでついてくるっぽい。下のRoundmeの埋め込み、果てしなく広告っぽく見えてしまうのが玉に瑕だが、再生ボタンを押してみて欲しい。
アップロードして共有する方法については色々悩みどころである。今回はTHETAで撮影ではないのでTHETAのサイトは使えないし、それはInsta360でも同様だと思うので、それらの個々のカメラ機種に依存しない360度写真の共有方法が必要だ。
あと、貼りたい場所がはてなブログなので、WordPressのプラグインが必要だったり、どこかに大きなJavaScriptをアップロードしないと使えないやつはアウト、という色々な制約条件もあるため、なかなか悩ましい。Facebookも悪くないけど、自分のFacebookをブログに埋め込むのはちょっとスタイル的に抵抗があるんだよな。
ということで、色々試した結果この「Roundme」が最高、という結論に達したので、細かい比較は省略してここでお勧めしておく(細かい比較は気が乗ったら書こうかな)。
はてなブログに360度写真を貼りたくて、でもTHETAやInsta360のサイトが使えない場合は「Roundme」を使おう!
360度パノラマ写真で気が付いた事。
- 太陽やローターなどは自動的に消される
- 空と海などのコントラストのわかりにくい場所ではちょっと合成にしくじる場合がある
後者に関しては、ファームウェアのアップデートなどで今後の改善を期待したい。
その他
RTHを試した時の動画も貼っておく。ほぼ全自動でなおかつほとんどの誤差もなく、ピタリと自動着陸したのにはなかなか感心した。どうも着陸時にも場所を色々なセンサーでチェックするらしい(着陸できそうな形状かどうかなども含め)。すごいな。
NDフィルターの効果に関しては、先ほど紹介したサードパーティのフィルタの件と一緒に紹介しようと思う。
前後に衝突防止センサーがついているため、Mavic miniの感覚で体の近くに着陸させようとするとセンサーが反応してうまく位置を決められない場合がある。安全のためにも数メートルは離れて着地させるのが良いだろう。
まとめ
ここで紹介したように、Mavic miniのユーザとしては実に素晴らしいの一語に尽きるし、miniのレギュレーション上の利点ももうすぐなくなりそうなので、DJI Air 2Sは非常にお勧めだと思う。まだまだ様々な未知の機能があるようなので、もっとちゃんと色々と使いこなしたいところ。また、コントローラーの酷暑対策とフィルターの効果については、日を改めて別記事として書こうと思う。