xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

何がこれほどまでに心を揺さぶるのだろう:「さよならの朝に約束の花をかざろう」感想(ほぼネタバレなし)

なんか一昨年の「君の名は」とか「この世界の片隅に」のようにあまねく人口に膾炙したアニメとは違うんだが、それでもチラホラとよい評判が聞こえてきていたアニメ映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」。そろそろ上映のコマ数も減りつつあった今週、時間を作って平日朝一の回で見てきたのだが…、これがまたとんでもなく自分の琴線に響く作品だった。

もう朝から映画館で恥ずかしげもなく目が赤くなるのではないかと思うほどボロ泣きしてしまい、でも周囲の客からもなんか似たような雰囲気を感じるから恥ずかしくないやい、とか思った次第。そして観終わったあとの数時間は、ヤバい、俺この状態で息子に会ったら条件反射で涙を流して抱きしめる、とかそんな事まで考えてしまった位のはまり加減だった。

sayoasa.jp

実は自分は岡田麿里作品ってあんまり見てなくて、「心が叫びたがっているんだ。」も見ていないし、かろうじてちゃんと見ている「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」にしても、世間での評価ほど実は自分は高く評価していない。いやとても面白かったけどね。

そんな自分がなんでこの映画にはこれほど心を揺さぶられたのだろうかと考えつつ、できるだけネタバレしないように書いてみようと思う。予告編はこちらね。

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この物語は、ある男の子の一生の時間を凝縮し、偽物だけれども本物の「永遠の母なる概念」との関係を描き続けたものだ。若い世代の人は今まさに、親離れをし始めた頃の少年に自分の思いを重ねられるかも知れないし、子育てをしている人はその経験を主人公の姿に重ねて共感することができるだろう。

そして一生の時間を駆けていく中で、おそらくこれから体験することになるかも知れない、強く感情を揺さぶるであろう出来事のことを、まさに自分自身の事のように感じることができるのだと思う。

自分は自分の中の「男の子」としての体験と、現在男の子の父親をやっているということからダブルで心を直撃されたのかもなぁ、と思うが、一方で男の子やその「母」ではなく、不本意な形で人生を送ることになった女や、その彼女に思いを抱き続ける男に共感する人もいるだろうし、彼らの運命にもやはり、それぞれに心を揺さぶるものがあるのだと思う。

実は自分はファンタジーってのがあまり好きなジャンルではなく、むしろ通常なら敬遠するジャンルなのだが、この作品はそのハードルをやすやすと越えて衝撃を与えてくれた。おそらく、この物語のテーマを描くためには、ファンタジーが最も適していると考えた結果としての選択なんだろうな。長く心に残る作品となるだろうと思う。

残念ながらあまり多くの人に知られる作品にはなっていないようで、来週からさらに映画館での上映時間が早朝深夜のマイナーな時間に追いやられそうではあるが、ぜひ男女問わず、広い世代の人に見てもらいたい作品だと思うので、上映しているうちにぜひ劇場に足を運ぶことをお勧めしたい。この映像と音楽の美しさはやはり是非劇場で見るべきだ。早起き、夜更かしの価値は十二分にある。


ところで、この映画での川井憲次の音楽は本当に素晴らしいと思う。そして昨年秋「クジラの子らは砂上に歌う」のEDでデビューしたrionosによるエンディングテーマ「ウィアートル」は、もう俺にとってこれを聴くだけで条件反射で涙腺が刺激されそうな素晴らしい曲だ。ちゃんとサントラに入っていて嬉しい(マキア役の石見舞菜香も「クジラの子らは砂上に歌う」のヒロインであるリコス役だったので、この2人からはどうしても「クジ砂」が連想されるのだ)。早く円盤も出ないかな。

映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』オリジナルサウンドトラック

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(追記:現在は円盤も出てます)

さよならの朝に約束の花をかざろう [Blu-ray]

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「宇宙よりも遠い場所」聖地巡礼・館林編 その2:報瀬との場所の東屋、めぐみとの場所の茂林寺

3月1日に行ってきた「宇宙よりも遠い場所」館林の聖地巡礼記録の後編となります。前編はこちら。

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後編では館林駅から少し離れたつつじが岡公園内と、茂林寺界隈に関してまとめます。特に茂林寺での第5話のやりとりは、実際に現地に行ってみるとその演出をよりリアルに感じられたので、詳しく紹介したいところ。

つつじが岡公園・ちびっこ広場

キマリとめぐみの思い出の場所である公園がこのつつじが岡公園・ちびっこ広場。大きめの滑り台やブランコはなくなってしまったらしい(最近よく言われる、ちょっとでも危なそうな遊具はなくなってしまう傾向がこのグンマーにも…?)。

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出典:「宇宙よりも遠い場所」第5話

そしてキマリが池を作っていた砂場がこちら。

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出典:「宇宙よりも遠い場所」第5話

ちなみに、つつじが岡公園には「旧秋元別邸」という古い家があって、小淵沢家のモデルではないかという説があるようだけれども、現地であらためてじっくり見たところ、自分には違うように思えて仕方がなかったので、写真はすべてボツにしました。

つつじが岡公園・東屋

物語中何度も出てくる東屋も、この公園の中にある。

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出典:「宇宙よりも遠い場所」第7話

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「宇宙よりも遠い場所」聖地巡礼・館林編 その1:館林駅近辺

俺が思うに、今期一番見るべきアニメであるところの「宇宙よりも遠い場所」だけれども、この文章を書いている時点でもう第9話も終わり、今回も「実に良い最終回」っぷりを存分に見せつけてくれていて嬉しい。「女子高生、南極に行く」という、まさにネタとしか思えない素っ頓狂な題材から、これだけ毎回笑いあり涙ありのエモーショナルなドラマに仕立ててるのは、なかなかにスタッフの皆さん、ただ者ではないと思う。

そんな「よりもい」だけれども、先日立川の南極・北極科学館に聖地巡礼してきた時にも書いたように、やはり国内のメインの舞台である館林にも行かねば、と考えていたわけで…。

xckb.hatenablog.com

深夜から早朝にかけての春の嵐から突然、春の日差しがやってきた3月1日、神奈川県北部から湘南新宿ラインと東武伊勢崎線を2時間ほど乗り継いで、あのグンマーの入り口、館林まではるばるやってきたのでありました。

とはいっても館林界隈は、地元の方が「よりもい」聖地巡礼ガイドを作ってくれているので、実に聖地巡礼は楽ちんなのだな。

tatebayashi.info

去年のサクラダリセットの聖地巡礼のように、どマイナーさ故に自らGoogle Mapsで必死に場所を探して…なんて手間が必要なくて実に嬉しい(まあそれも楽しいんだけども、無駄な苦労はしないに限る)。ということで今回は個々の舞台の場所の情報などの詳しい解説とかは書かなくてもいいよね。上のブログがあまねく網羅しているし。

xckb.hatenablog.com

というわけで、長くなるので2つに分けて紹介していきたいと思う。前編は館林駅の近く、後編はつつじが岡公園と茂林寺界隈に分けよう。

ちなみに現地の足は、館林駅が最寄りの地域は駅前の無料レンタサイクル(デポジット500円)、茂林寺前駅が最寄りの地域は徒歩で回った。レンタサイクルの詳細は先程紹介した現地の方のブログにあります。

館林駅・駅前

1話のインスタ風タイトルバックは館林駅前ロータリーにあるたぬきさん。館林はたぬきの街。全国津々浦々に広がった「分福茶釜」の民話の故郷がこの街のようです。詳しくは後編の茂林寺のところで。

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インスタ風たぬきまり。微妙なアングルでたぬきの局部が隠れてるw

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出典:「宇宙よりも遠い場所」第1話

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小泉さんに釣られたわけではないがラー博へ? (そして「りょう次」新横浜店初訪問)

いや、自分が新横浜からほど近い界隈に引っ越してきてはやX年が経つのだけれども、しかもラーメン好きなのに、なぜか行っていなかった新横浜ラーメン博物館。むしろ引っ越す前に何度か行ってた(笑)。

さすがに近所だし、そろそろ行ってみるかね、ということで、まずは1月はじめの平日昼に訪問。おー久しぶりに来た。平日昼は外国人観光客がすごく多いね。

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初訪問時に、どうせ何度も来るだろうということで年間パスポートを買ったのだけれども、それから2ヶ月もたたないうちに3度訪問し(うち1回は子供も連れてった)、あっという間に「ラー博クラブ」会員になって更に1年間入場料無料に。

www.raumen.co.jp

その間に「ラーメン大好き小泉さん」のアニメでもラー博が出てきたりして、なんかいつもの行動パターンだとこれに釣られて行ったんだろう? 的なアレだけれども、実際はそれより前に行き始めていたのでありました。まあ一応聖地巡礼と言えないでもない。

そんなわけで、毎回2杯ずつミニラーメンをハシゴしているわけだけれどもが、3回目でやっと合計6杯。左上から、「琉球新麺 通堂」「利尻らーめん味楽」「無垢-muku-ツヴァイテ」「YUJI RAMEN」「東京 二代目げんこつ屋」「熊本 こむらさき」。とりあえず、現在9軒あるラーメン屋の半数以上を訪問できたことになるのかな。このペースだとあと2回でコンプリートできる。

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ちなみに、一応「小泉さん」を見た直後に行ったときは、番組に出てきた「無垢-muku-ツヴァイテ」(ドイツ)「YUJI RAMEN」(アメリカ)の海外組を食べたのだった。前者のデュラムセモリナを使ったという麺は食感がとても好みだし、後者のマグロベースの少しスパイシーなスープもなかなか良かったと思う。

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「宇宙よりも遠い場所」第6話・立川の落ち穂拾い・Fisheye NIKKOR 6mm/F1.4を添えて

いやー「宇宙よりも遠い場所」、第6話を過ぎても毎回毎回見事な「いい最終回」になってて素晴らしいな。まるで1話完結のストーリーのようでもあり、きちんと話が進んでいくところがいい。毎回全くクリフハンガーなしでも、これだけ次回が楽しみで仕方がない構成にできるんだなぁ、と感心する。

6話はあの見事なシンガポール描写も凄かったけど、日向のパスポート云々のトラブルは自分の過去の経験もあり、実にドキドキしながら楽しめたな。

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そういえば上の記事で書いたように、自分がパスポートなくした時は、「帰国のための渡航書」の発行に数日、パスポート再発行に1週間と言われたけれども、「最短半日」で出来るって、この10年で事務が効率化されたのかな? マイナンバーとかで処理が簡単になったとか? それにしてもシメの報瀬株の乱高下は本当に笑った。もうこの6話楽しすぎてもう5回は見たよ。要するに毎日見てる。

ということで、そう言えば第5話をやった日に、立川の国立極地研究所「南極・北極科学館」に聖地巡礼してきたわけだけれども、時間がない中をせかせかと回ったため、いくつか積み残しが残ったんだった。あと、アニメに関係ない部分もちゃんと見たかったし。

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そして、何と言っても、後で色々調べてネットで情報を見つけた、この前世紀に昭和基地で使われていたらしい、オーロラ観測装置が実に俺的にツボのものだったはずなのに、オーロラシアターの横の薄暗い空間だったこともあって、スルーしてしまっていたのが悔しかったのだ。

というわけで、立川に再訪してきたぞ。件のオーロラ観測装置はこれだ。1969年に制作され、1970〜1998年まで昭和基地で使用されたらしい。

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「宇宙よりも遠い場所」が素晴らしすぎて軽く死ねるのでとりあえず立川へ

(追記) 最終回まで全て見た上でのレビューはこちらに書きました。本記事は第4話を見た時点での記事となります。

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そういえば昨年の暮れ、2017年のアニメについてまとめた記事のところの最後でこんなことを書いたのだけれども…。

ふう、とりあえず2018年冬は何を見ようかなぁ…。とりあえず「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」とかは楽しみにしているんだけれども、なにげにこいつ(注:「宇宙よりも遠い場所」)がどんな出来なのか気になっている今日この頃なのだ。

「女子高生南極グラフィティ」ってなんかちょっとパワーワードっぽい(笑)。

とりあえず俺の直感は割とあてになってる…のかな?(まあ、細かいことを言えば「女子高生南極青春グラフィティ」の間違いだけどな)

2018年冬アニメのシーズンが始まってはや1ヶ月、「ポプテピピック」は毎回狂ってるし「ゆるキャン△」は楽しいし「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」はひたすらに美しく引き込まれるし「ラーメン大好き小泉さん」は腹減るし、でもその割に「博多とんこつラーメンズ」は全然腹減らないし、ついでに普段絶対見ないジャンルの「citrus」までなんか見てしまってる…などなど、かなり豊作の今期アニメなのだけれども、そんな大豊作シーズンの中で今俺が圧倒的に一番楽しんでいるのがこの「宇宙よりも遠い場所」なのだ。

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出典「宇宙よりも遠い場所」OP


女子高生4人組が南極・昭和基地を目指すという、実にありえない感じのストーリーで、第一印象としてはまた荒唐無稽な萌えアニメなのかよ、と思ってしまいがちなんだが、これが全然そんなことないのだ。なんか、もうそんな年代は遙かなる時の彼方に過ぎ去ったおっさんとしても、10代後半のわけの分からない閉塞感、そしてそれを突き破った時の溢れ出す時のパワーや、この年代でしか味わえないだろう友人たちとの関わりなど、まさに青春のあれやこれやがみっしりと絶妙なバランスで詰まっていて、もう毎回もらい泣きなしには見られないのだよこれが。

そして、制作協力が「文部科学省国立極地研究所海上自衛隊、SHIRASE5002(一財)WNI気象文化創造センター」という、なんか実にガチなやつなんだけれども、対象となる「南極」という、ほとんどの視聴者がまず行ったことのない場所について、エンターテインメントの枠を踏み外さない範囲で、きちんと描こうとしている感が感じられてとても好感が持てる。そしてなにより、原作なしのオリジナルアニメなので、この先に何が起こるか普通の人は誰も知らないところがいい。毎回毎回、次回が楽しみで仕方がないので、まだ見ていない人は本当に見たほうがいい、と強くオススメしておく。

そんなわけで、昭和基地という最終舞台を設定されているという点では、(現実に存在する場所にもかかわらず)聖地巡礼のハードルが果てしなく高い作品なのだけれども、まあそれはそれで置いておくということで、とりあえず先日、第3話に出てきた国立極地研究所の南極・北極科学館(東京・立川)に行ってきたのだ。南武線へのアクセスがそこそこ悪くない神奈川県民としては、この作品の日本でのメイン舞台である群馬県の館林よりもずっと身近だからな、立川。

そういえば極地研は昔板橋にあったんだよな(たしか今、加賀西公園か東板橋体育館になっているあたりの場所)。実は子供の頃板橋に住んでいたので、極地研には小学校の頃見学に行って南極の氷を見たりした思い出があったりするのだけれども、いつの間にか立川に移転していたのね。

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皆既月食

今日は皆既月食。とは言っても、なんか天気が今ひとつだったのでもう見えないんだろうなと勝手に思っていたら、帰り道に空を見上げると実にきれいに付きが欠け始めているではないか…。

ということで、以前スーパームーンを撮った時と同じX-T10とXF 55-200mm F2.8-4 R LM OISの組み合わせで、月食の写真を撮ってみることに。

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流石に皆既月食では、スーパームーンの時のように手持ちではブレすぎて話にならなかったので、三脚とレリーズを出して撮ることに。APS-Cセンサに200mmではまだ月を撮るには倍率が心もとないのだけれども、Photoshopで拡大して何とかそこそこ見られる感じにはなった。

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スーパームーンの時とは違って、ちゃんと星が写っているね。強制的に拡大しているので画質はともかくとして、色はまあまあ綺麗に撮れたかな。

「岡本太郎とメディアアート 山口勝弘 ― 受け継がれるもの」展 (川崎市岡本太郎美術館)

岡本太郎美術館で開催されていた「岡本太郎メディアアート 山口勝弘 ― 受け継がれるもの」展に行ってきました。岡本太郎美術館ですが、現在改装中で常設展が開いてないという状態で、年間パスポートは持っているけど引っ越しで遠くなったしどうしようかなー、的な感じでいたのですが、いざ最終日前日の1月27日の土曜日に行ってきて、もっと早く行くべきだった…と後悔しました。というわけで、企画展のみだったのですが、展示は常設展のコーナーでやっていたので、存在感抜群なものの、普段写真を撮れない常設展コーナーの入口で一枚。

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ちなみに、美術館の前にはこの巨大なパイラ人(「宇宙人東京に現わる」)が佇んでいたのですが…。

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こいつ…動くぞ!

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右側に置かれた空気ポンプの力で目が開閉します。面白い。ちなみにご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、パイラ人は岡本太郎デザインです。

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