xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

7年前のパスポート盗難事件(1):プラハは素晴らしい街でしたが…

さて、今更なのですが7年前って私にとってはいろいろ事件があった年だったなぁ、ということで、先日まとめた自律神経失調状態に陥っていた件の他にも、諸事情で私の旧サイトでお蔵入りになっていた事件があったのであります。そのうち一つがプラハでのパスポート盗難事件。みんな、まさか自分はそんな事件には遭わないと思ってるでしょ? そういう慢心が時に事件を呼び寄せるのです。

この事件の顛末も、もしかすると誰かの役に立つこともあるかも知れないなー、と思うので今回、記憶を掘り出しながらまとめて見ようかと思います。

旅行計画

2007年、自律神経失調状態から概ね無事に回復した私は、その症状のために直前でキャンセルになってしまったプラハドレスデン・ベルリンの旅行のリベンジを計画し、実行に移すことにしました。旅程は次の通り組みました。使った航空会社はオーストリア航空でPEXのチケット。スターアライアンスのマイルも貯まるしね。

  • 8月17日 成田 10:55→OS52便→ウイーン 16:05〜17:00→OS709便→プラハ 17:50
  • 8月20日 プラハ 12:34→EC174(鉄道)→ドレスデン 14:47
  • 8月21日 ドレスデン 15:04→EC174(鉄道)→ベルリン 17:12
  • 8月24日 ベルリン 07:00→OS7262便→ウイーン 08:10
  • 8月25日 ウイーン 14:05→OS51便→成田(8月26日 8:20)

8泊10日の旅程にしてはちょっと欲張りすぎな感も有りますが(プラハ3泊、ドレスデン1泊、ベルリン3泊、ウイーン1泊)、まあこんな予定で移動するつもりで交通機関と宿を手配したのです。

プラハにて

そうしてやっとやってきたプラハは本当に素敵な街でした。治安が悪いとは聞いていたのですが、一番危ないというカレル橋も何度も通ったけど特にまずいことはなく、平穏に観光を満喫しました。

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美しい街並みや史跡を正味3日ほどと短かったですがいろいろ観光し、美味しい食べ物やビールをたっぷりと味わいました。

これはプラハ城にあるミュシャのステンドグラス。

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ストラホフ修道院の図書館。(撮影禁止と書いてあるように見えますが、ちゃんと許可証を持って撮影しています)

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ほんとうに素晴らしい街でした。そして正直もう少しいたいなぁ、と後ろ髪をひかれながらも8月20日の昼に、ベルリンなどへの列車が発着するプラハ・ホレショビッツェ駅にやってきたわけですよ。「もう少しいたいなぁ」という希望が、まさか困った形で叶えられるとも知らずに。

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ホレショビッツェ駅は、プラハ中央駅と違って町外れの寂れた場所にある駅で、周りの景色もなんとも寂しい。そんな景色をデジカメやらHOLGAで撮影しつつ、列車がやってくるのを待っていたわけです。まあ、この時点で狙われていたんでしょうけどね。しばらく待っていると、目的のEC174がやってきました。

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では早速乗り込みましょう。この直後に事件が起こることになります。

一瞬の隙を突いて

さて、ドレスデン行きの列車がやってきたので、早速乗り込みました。大きな荷物を運びつつ、席を確認しました。たしかにプラハからドレスデンまで予約済みとなっています。よしよし。

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さて、荷物を席の下に入れましょうか、と思って乗降客でごった返す通路でエンヤコラと作業をしていたら、そこに突然、この列車はベルリンに行くのか? とか訳のわからないことを尋ねてきた男が。よく考えたらそんなことは見りゃわかるだろ、という感じではあるのだけれども、ああそうだ、と答えた後で席に戻りました。

さあ、列車が出発です…という直前に気が付きました。

パスポート等が入ったショルダーバッグがない!

あ、もしかしてさっき話しかけてきた男が気をそらしている隙にショルダーバッグを盗られたのか? しかし席のどこかに自分で置いたのかも? まさか…でも席にはない! と頭が回った瞬間に列車のドアが閉まり、発車してしまいました。

後であらためて外務省の海外危険情報サイトを見ると、ホレショビッツェ駅での盗難などは頻発しているとちゃんと書いてあったり、ショルダーバッグ自体もベルトがアタッチメントで外れるタイプだったので、なんとも迂闊としか言いようがないのですが、それにしても自分の身に起こるまではなかなか危機感が今ひとつなのは人間の阿呆な所以。しかし、盗まれた瞬間は全く盗まれたことに気が付かなかったですよ。見事としか言いようがない。

今の自分の状態は?

それはともかく、これはかなりまずいことになった、ということに1分とかからずに気が付きました。

  • この列車はチェコからドイツの国境を超えるのでパスポートが必要(さらに当時はチェコシェンゲン協定に入っていなかったので、チェコ・ドイツ間の国境はEUのゆるゆる国境ではなく、ごく普通の国境だった)。
  • そもそもチェコ国内での事件なので、チェコの警察に盗難届を出したり、盗難パスポートの処理などのを行うのにプラハ日本大使館に行くため、プラハに戻る必要がある。
  • チェコの通貨のコルナは、ホレショビッツェ駅で全てユーロに両替してしまったため、チェコの通貨は1コルナも持っていない。
  • 帰りの便はベルリン→ウィーン→成田のチケットなのだが、PEXのチケットなので最初のベルリン→ウィーンの便に乗らないと、全部まとめて全てキャンセルされてしまう。でもパスポートがないからベルリンに行けない。

とりあえず、車掌さんに話したところ、チェコ国内の次の駅(とは言っても国際特急なのでかなり先)で、同じECのプラハ行きの列車を待って戻るのがいいのでは、とのこと。

「まあ気を落とすなよ、これ飲んで落ち着け」

という感じで、二人分ミネラルウォーターのペットボトルをもらったので、それを飲みながら頭の整理をしました。まずは盗られたものは何か。実はパスポート以外は幸い、それほど重要なものは入っていなかったのです。特に、クレジットカードが無事だったのは不幸中の幸いとしか言いようがありません。バッグの中身の概要は、

…こんな感じ。ザ・メイドインチャイナのHOLGAなんて盗んだチェコの盗人さんお疲れ様、と、パスポートが盗まれていなかったら言いたいところですがね、全く。

ということで、特急電車なのでかなり乗った後に次の停車駅で降りました。ホームを歩いていたらさっきの車掌さんが追いかけてきて、隣に止まっている列車に乗れば一番早くプラハに着けると教えてくれる。ありがとう。残念な目にあってガックシ来ている時に優しい人に会うと、なんか嬉しくなるよね。一文無し…ならぬ一コルナ無しの我々は、教えてもらったその列車に乗ってプラハに戻ることにしたのでした。

続く。