少し前にも書いたのだが、俺が今一番推している漫画は、ウルトラジャンプ連載の三都慎司「新しいきみへ」なのだ(現在第1〜4巻が発売中)。しかしこの漫画、とても面白いんだけれども、ストーリーに関して何を書いてもネタバレになりそうなのが難点なんだよな。最近、本の収納場所との戦いに敗北して、すっかり基本電子書籍モードになっている俺も、この漫画は紙でも電書でも両方買っていたりする。
まあ、最近の俺的ブームから言うと「サマータイムレンダ」とか好きな人はいけるんじゃないかと思う。うん。そこまでは言える。
とりあえず、Amazonで1巻のあらすじを読むとこんなことが書いてある。
妻の浮気を誤解した高校教師の佐久間悟。傷心のまま旅し、故郷・小田原でひとりの少女と出会う。不貞を働きそうになるが正気に返って再び日常へ。新年度、担任するクラスに見覚えのある姿が…。「相生亜希です はじめまして」“あの日”の少女は魔性の魅力を携え、悟に迫る。教師と生徒、禁断の恋愛劇が開幕。
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4088921976
うん、嘘は書いてないな。サマータイムレンダで例えるなら「和歌山県の離島を舞台に繰り広げられる、金髪スク水少女とヤンデレ風味包丁セーラー服褐色少女のバトルアクション」とあらすじを紹介するような感じかな。とにかく嘘は言ってない。
第1話は三都先生のTwitterからまるまる読めるので、万が一未読の方は、こちらから読んでいただきたい。
おじさんが女子高生と出会う話(1/16) pic.twitter.com/Xfy8I7o7ln
— 三都慎司 / MITO SHINJI (@ShinjiMito) 2022年2月18日
それはともかく、実は先日から地道に「新しいきみへ」に登場する舞台を巡ってきつつあったのだけれども、せっかく先日最新刊の第4巻が出たばかりなので、これを機にまとめてみるか、ということで、いってみよう。
そんな今回の記事、目次はこちら。
注:記事中のAmazonへのリンクは、アソシエイトプログラムで収益化しています。
聖地巡礼記事でネタバレをすると言うのも非常に心苦しいので、可能な限りの対策はするものの、まずは未読の方は漫画を読んでから戻ってきていただきたい。
紙書籍版:
Kindle版:
とはいえこの第1巻の紙書籍版、半年ほど在庫の枯渇が続いていたものの、ついに2023年8月4日に重版出来、ということで入手がしやすくなった。これで紙書籍派の人にも布教が捗る。めでたい。(2023年8月4日 追記)
『新しいきみへ』の重版出来日は8/4(金)になります!
— 三都慎司 / MITO SHINJI (@ShinjiMito) 2023年7月13日
第5巻発売日が8/18ですので、第5巻発売に合わせてお買い求めいただけたらと思います。
(書店様への入荷のお問い合わせはお控えください) pic.twitter.com/7EdEqZzlHk
というわけで、今回は第1巻の舞台に関して紹介していこう。
なお、比較用に漫画からのコマを引用するが、比較することが可能な限りの小さなサイズで、なおかつセリフやモノローグは可能な限り消しておくこととする。
第1話 結の回
桜の夢(小田原城址公園)
最初のページに出てくる「夢」のシーン。場所は小田原城址公園の天守閣前の本丸広場にある「手裏剣打ち道場」。
これは営業前の状態なので、営業時間中に来るとこんな感じでテントが閉まった状態の撮影はできない。上の写真は朝に撮影したもの。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
桜の下の謎の少女。こちらのシーンの背景にある灯籠のような構造物は、実は学橋を渡ったところにある多目的広場が、かつて城内小学校という小学校だったときの校門の跡なのだ(現在は三の丸小学校という名前になって、堀の外に移転している)。この門の前後には特に桜の木はないので、実際にはあり得ない風景だ。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
こちらの方が劇中のアングルに近いかな。白い部分はかつて校門だった頃に「城内小学校」の校名が書かれていたと思われる。
上のカットでもこの白い部分が描かれている。
この小学校があった時代のイメージは第2巻以降で多く出てくるので、その時に詳しく紹介しよう。とても風格のある校舎だな。
(Topaz Photo AIで修正済み)
出典:市立城内小学校木造校舎:小田原デジタルアーカイブ「小田原写真館」 | 小田原市
…と、それだけなら良かったのだが…。実はこの校門跡、2023年2月に行われた工事で無くなってしまったのだ(上の2枚目の写真は工事開始寸前に撮りにいったもので、後ろに工事作業の車が写っている)。
現在はこのようなアスファルトで新しく舗装した跡だけが残されている。
非常に残念である。実は桜の季節になったらなんとかこの門の跡と桜を一緒に写真に収めたいと思っていたのだが、その前に門がなくなってしまった(この写真の奥の方にかつて門の跡があった)。
この工事では、他にもいくつかの「新しいきみへ」に出てくる小田原城址公園の風景が失われてしまったので、この問題に関してはその都度触れていこう。
仙台へ(東京駅 JR東日本新幹線駅)
悟の逃避行。まずは東京駅の「新幹線北のりかえ口」で東北新幹線に乗り換えた感じ。
新幹線23番線ホーム。たまたま編成の違いでここは先頭車両じゃないのかな。でもよく見ると「山」と「秋」の順番が逆だし、もしかして別のところかも。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
旅先(仙台、京都、高知、鹿児島)
仙台の青葉山公園の伊達政宗公騎馬像、実は2022年3月の地震で傾いて修理中で、やっと2023年3月に、1年ぶりに元の場所に戻ってきたので、今見にいけば見ることができる(実は昨年12月に仕事で仙台に行ったのだが、その時は政宗公はご不在だったので、青葉山公園には行ってない)。
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20230322/6000022893.htmlwww3.nhk.or.jp
こちらは追々見にいきたい。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
京都駅前。これは今年になってから撮影しに行った。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
ガラケーではないけれども写真を撮るスクリーンショット。
高知と鹿児島は最近行っていないので、以前行った時の写真を載せてお茶を濁しておこう(高知に関しては俺は実はリピーターなのだけれども、作中のアングルでの龍馬像は撮ってないぞ…)。再び行くことがあればその時に撮り直す予定。
桜島はどこからの写真なのだろうなぁ。
なかなかこのコマのためだけにあらためて現地まで行くのはしんどいのだよな…。高知はリピーターだからそのうち行くかもだけど、鹿児島に行く用事ないかなぁ。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
小田原に戻る(小田原駅)
こちらは小田原駅の在来線改札を改札の内側から見た風景。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
古書店の前(高野書店)
小田原に戻った悟が街を放浪して佇む古書店「富野書店」は、実際には「高野書店」。
作中でも閉店しているし、この写真もシャッターが下りている時間に撮っているが、実際はまだ普通に営業している。
第4巻に出てくる書店との違いは少し謎であるので、詳しくは第4巻のところで。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
小田原駅方向に歩いていく悟。
まあ城址公園に行くにもこちら方面に行くのが適当かな。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
相生亜希との出会い(小田原城址公園)
そんなわけで、桜の名所でもある小田原城址公園に、桜の時期に合わせて撮影に行ってきた。
橋の名前は「学橋」。かつてここが小学校だった頃は、通学用に使われていた橋のようだ。というか、おそらく二の丸に学校が置かれた時に通学路として作られた橋なのではないかと思う。少なくとも江戸時代の小田原城の絵にはここには橋がない。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
灯篭のような校門の跡、上の穴が空いている部分が2つの小さなタイプのものは、城内に入って左の方に行ったところに別にあった。逆からの撮影が正しかった気がするが、ここももう工事で消えてしまったので、残念ながらもう撮り直しはできない。
少し角度は違うが、ここの小さな門のところから桜並木が続いていた。しかし例の桜の木のモデルはどこにも見当たらない。おそらくオリジナルなのだろう。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
夢の少女の幻影に驚く悟のシーン。後ろの建物は二の丸隅櫓。非常に再現度が高い。桜の時期に行けてよかった。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
金目鯛ランチ(こじま食堂、閉店)
相生亜希と悟が食事をするのは早川漁港近くの「こじま食堂」だが、残念ながらこちらは既に閉店している。その後近所の「わらべ菜魚洞」というお店に経営が移り、看板メニューの金目鯛煮付けを引き継ぐ形で「こじまわらべ」というお店として、2022年11月にリニューアルオープンしている。
場所は早川駅から歩いてすぐ。
そんなわけで、こじまわらべの金目鯛煮付け定食。かなり甘めの味付けだが美味しいぞ。
おそらく作中で食べていたのも「こじま食堂」の金目鯛煮付け定食だったと思われる(カラーページではなかったので確証はできないが)。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
店の外観はかなり変わってオシャレな感じになっている。内観もそれに合わせて新しくなっているので、作中の雰囲気とはだいぶ違う。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
ちなみに、ランチであれば「こじま」の金目鯛と「わらべ」のアジフライを引き継ぐランチセットがオススメ。
むしろこっちがなんか作中と似た盛り付けで金目鯛煮付けが出てきたかも。
海岸(御幸の浜、早川漁港)
悟と相生亜希が会話をする海岸は御幸の浜。小田原城址公園からも普通に歩ける距離にある。
御幸の浜の海岸に降りていく階段の一つ。上の地図のマーカー近くにある。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
ここに一瞬挟まる漁港のシーンは早川漁港。先ほどのこじまわらべの近所になる。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
ちなみに、ここでの悟の発言に出てくる「駅前にあったマルイ」は、現在のこの建物が該当する。屋上の看板跡に微かに「OIOI」のマークの跡が見えるのが残念みがある。
実際に二人が座っているのは、少し南西側に歩いた「荒久の灯台」の近く。3巻の内容などから想像すると、多分相生亜希の家はこの近所ではないかと思われるが、家の近所の海岸でなかなかに大胆である。
海岸沿いの道路は西湘バイパス。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
伊豆箱根方面に続く道。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
二人がいるのは上の写真よりも少し手前に寄ったあたり。荒久の灯台が左に見えている(作中のアングルでは見えないけれども)。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
作中でもこんな天気だったのだろうか、という良い天気でよかった(3巻まで読んで改めて読み直すと実に切ないこの辺り)。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
ラーメン屋の回想(モデルは不明)
作中の回想シーンで「浜虎らーめん」という名前のラーメン屋が出てくるが、横浜で「浜虎」でラーメンと言ったら横浜駅の近くの本店と日吉店がある「浜虎」なんだけど、全然違うんだよなー。まあ日吉店は一慶日吉店から浜虎に変わった2003年から知ってる(近所に住んでた)けど本店はそうではないので、昔はこうだったのかも知れないが…。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
多分回想シーンとしては2000年から2005年ごろだよね。浜虎本店は2002年オープン。少なくとも現状の浜虎のラーメンとはあんま似ていない。
横浜への帰還(桜木町駅前)
ということで悟が逃避行から横浜に戻ってきたというイメージは、桜木町駅前からのランドマークタワー。手前のビルはブルクとか入ってるとこだね。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
嵐の予感(小田原駅、小田原城址公園)
不穏な予感をたたえながら第1話のラストは小田原の風景から、ウルトラジャンプ派の俺にとっても未だ謎の、あの伏線で終わる。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
小田原城址公園の桜。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第1話
しかしこの壁も先日の工事で無くなってしまったのだ。これもかつての小学校の壁で、コンクリートブロック製だったので耐震性などの問題があったんだろうな、とは思うが残念。
現在はこんな柵があるだけだ。
第2話 堕の回
この回はほぼ全て学校内で完結するので、特に具体的な舞台はない。
第3話 起の回
第3話も、概ね学校内でストーリーが進むのだが、佐久間家の最寄駅であると思われる関内駅が出てくる。
佐久間家への最寄駅?(関内駅前)
おそらく佐久間家への最寄り駅である関内駅前。北口の方は駅舎が建て替えられているが、南口の方は2014年から変わっていない。ハマスタへの最寄り駅なのでほんのりとベイスターズカラーの駅になっている。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第3話
第4話 魃の回
第1巻を締めくくる衝撃回。まずは街で絡まれてる相生亜希を悟が助けるところから。
相生亜希が男たちに絡まれている場所(ファミリーマート横浜スタジアム前店)
ここはなかなかわからなかったのだが、どうやらコンビニっぽいとわかったので特定できた。ファミリーマート横浜スタジアム前店の前の横断歩道だ。
こちらの横断歩道には実際には信号がないが、作中では追加されている。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
窓ガラスに貼ってある宣伝の紙で結構隠れているが、ATMも右のPOSAの広告の「大切な人に想いを込めて」とか「注意!」とかもきちんと一致している。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
悟はこの横断歩道を渡って…。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
すぐ左に曲がって通り過ぎようとするわけだが…(この丸いガラスなどが特徴的)。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
ここのシーン、もしかすると単に偶然会ったふりで悟に話しかけようとしたのだけれども、何らかの偶然で邪魔が入ったのかね。この辺の相生亜希の発言が、改めて読み直すと実に良い。
広場のベンチ(横浜スタジアム前)
コンビニはハマスタの横にあるので、道を渡って広場でひと休止。
ここはなかなかピッタリ一致するアングルが見つからなかった。
こちらは非常に再現度が高い。
二人が座る場所。道の方にある。少し実際と形が異なる。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
実際のここの形は、座るにはちょっと低い。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
展望台(横浜ランドマークタワー)
そしておそらく根岸線で桜木町まで移動し、駅前からランドマークタワーへ。
一瞬挟まるコスモワールドの観覧車。
ランドマークタワーの入口。展望台に行くにはまっすぐ行かずに右に逸れる。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
右に逸れた先にあるのがこちらの入口。ここから少し行った先にあるチケット売り場でチケットを買うことが必要だけれども、先に買っておいたのかな。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
エレベータの階数、速度の表示は現在とは異なっている。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
だが、2014年当時だと作中と同様、こんな感じだったようだ(こちらは2017年のツイート)。なかなか芸が細かい。
日本一速いエレベーター!!
— トーテックアメニティ新卒採用 (@totec_recruit) 2017年10月22日
横浜ランドマークタワーにありますよ。
1分間に750メートル登っていくわけですが。もちろん耳がキーンとなります。。。(名古屋:s)
#横浜ランドマークタワー
#日本一速いエレベーター pic.twitter.com/YNbS614juG
エレベータを登った先のこの辺りは変わってない。
69階の展望台と双眼鏡。もう少し下かつ前から撮るべきだったな。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
エレベータの階数表示(外側)。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
この辺りも再現度が高い。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
良いシーンなのだ。特に読み直した時は。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
ここからの風景は超広角でないと撮影できない。オススメはiPhoneの広角モード(これはそうやって撮った)。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
佐久間亜希・捜査中(みなとみらい駅北交差点付近)
ランドマークタワーから歩く悟と相生亜希が佐久間亜希と遭遇しそうになるシーン。だが声をかけられない佐久間亜希。なんで佐久間亜希を知ってるんだ相生亜希、っていう第1巻ラストの絶妙なクリフハンガー。…の舞台は、みなとみらい駅北交差点の横断歩道付近。
みなとみらい駅の1番出口のところの横断歩道だ。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
背景のマンションの再現度も高い。
佐久間亜希登場。この歩行者信号機が背景。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
横断歩道の向こうに見えた悟の背後に見えるのはみなとみらい駅1番出口。
そして広角気味に。
声をかけようとする佐久間亜希、しかし…。
出典:三都慎司「新しいきみへ」第1巻・第4話
ということで、次は第2巻の聖地巡礼に続く。舞台は過去の小田原、そして新宿・中野へと広がる…。
紙書籍版:
Kindle版:
(ところで「新しいきみへ」の各単行本、表紙カバーのデザインがどれも実に秀逸だと思うんだけど、実は中表紙もちょっとアレなことに気付いておられるだろうか。電子書籍版にもラストに収録されているので、中表紙もぜひチェックを!)