xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

東京湾要塞・城ヶ島砲台跡を訪ねてみた

さて、最近ドローンを飛ばしたりする時に時々行っている城ヶ島だが、実はここに「城ヶ島砲台」という戦跡があるということを偶然知ったので、再度城ヶ島に行ったついでに寄ってみることにした。

これは首都防衛のための「東京湾要塞」を構成する一施設であり、城ヶ島はまさに東京湾への入り口に位置する場所だ。

ja.wikipedia.org

以前訪れた猿島の砲台なども、これらの戦跡の一つである。

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そんな城ヶ島砲台の砲台跡の一つは、なんといつも車を停めている、現在の城ヶ島公園第一駐車場の中にあるらしい。

この、駐車場の中に不自然に位置している円形の花壇。どうやらここが砲台の跡らしいのだ。言われてみるとここの駐車場、ちょっと不自然な形をしている。

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そしてこの円形の花壇の周り、石が敷き詰められている部分も、なぜかわからないけれどもちょっと歪な形をしているのは、何か当時の構造物の痕跡を示すものなのかもしれない。

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城ヶ島砲台には、2基の砲台があったらしく、それらは戦艦安芸の副砲が流用されていたそうだ。

設置砲は1923年のワシントン海軍軍縮条約の調印により廃艦枠に指定されて除籍された薩摩型戦艦「安芸」の副砲である「25.4cm(45口径)カノン砲」は重量235kgの砲弾を最大仰角30度で撃ち出せば射程距離24,600mまで届かせる性能で、この砲を収めた舷側砲塔をそのまま流用して設置された。

出典:城ヶ島 - Wikipedia

そのうちの1基の跡が上の花壇なのだが、もう1基の場所にに関しては、結構なブログなどで誤った場所が広まっているようだ。何しろGoogleマップで「城ヶ島砲台」と引いて出てくる位置も写真も多分間違っている。

ということで、戦後間もなく1946年に米軍が撮影した航空写真(上左)と、現在の航空写真(上右)を比較してみたい。戦後間もない写真には明らかに円形の構造物が2つ写っており、そのうち1基は駐車場の花壇に相当するものだが、写真を重ねてみた結果、もう1基の砲台も現在の駐車場の近くに位置しており、公園に入ってすぐのトイレの前の広場あたりが相当するようだ。

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上の2つの写真を合成したもの。
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出典:国土地理院の空中写真(https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do#1

  • USA-M46-A-7-1: 1946/02/15(昭21)
  • CKT20194-C13-95: 2019/08/07(令1)

つまりこの辺りだ。現在は砲台の跡を思わせるものは何も残っていない。

だが、ここからほんの少し左の奥に入った場所には、おそらく当時の構造物の可能性もありそうなコンクリートが残っている。

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そしてさらにその奥に行くと、地下壕への入り口が見えてくる。なんか輪郭線っぽいものがあるせいか、一瞬グラフィティっぽく見えるこの柄だが、当時の迷彩らしい。

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どうやら弾薬庫跡らしいこの施設。現在は扉が付けられていて、鍵も閉まっている。見学会などがある時だけ開かれるらしい。いつか中を見てみたいな。

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公園の奥の方まで歩いて、城ヶ島公園の第1展望台。先程言及した、誤っている「砲台の位置」のすぐそばにある。展望台だけあって非常に見晴らしの良い断崖の上に作られているが、言われてみるとたしかにこの1階部分と上の展望台で違う建物のように見える。上の方がずっと新しそう。下の方はコンクリートの仕上げが先ほどの地下壕と非常によく似ている(迷彩柄は残っていないが)。

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ここは観測所跡の上に展望台が建築されたらしい。今はこの部分は倉庫に使われているとのこと。他の観測所はどこにあるのかというと、島外にいくつかあったらしい(どうやら三浦半島先端西側の小網代と半島先端東側の江奈湾の高磯あたりにあったようで、広い範囲の位置測定ができたということなのかな)。

その後も、赤羽根海岸に初めて降りてみたら、いかにもという感じの壕が降りた階段のそばに開いていたりとか…。この辺り、実に色々と戦跡があるのね。

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中に入れそうだけど、まあ覗くだけにしておく。とりあえず、今回は簡単にアクセス可能な場所だけということで。

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Wikipediaの「城ヶ島」を見ると、このあたりのエピソードがなかなかすごいな。まさに軍事拠点だったのね。

城ヶ島砲台の存在により、三崎の住民は城ヶ島を眺めていると官憲に注意されたという。元より要塞地帯であるため、小道1本作るにも軍の許可が必要であった[14]。城ヶ島の存在や地形が地元以外に知られないように軍や警察は留意しており、1928年に発行された三崎漁港修築記念の絵葉書には、城ヶ島が描かれていない[15]。 当然ながら、外国人の場合は更に厳しい処置が取られた。築造期間中、貝殻収集目的で城ヶ島に来訪したアメリカ人の大学講師は、城ヶ島からの渡し舟を下船後に乗合自動車乗り場で身柄を確保され、警察署にて取り調べと身体検査・所持品検査を受けた後に嫌疑不十分で釈放された。この時には米国人講師に宿を提供した島民も取り調べを受けており、本件の一部始終が神奈川県知事から内務大臣、外務大臣、陸軍大臣、海軍大臣宛に報告されている[16]。
出典:城ヶ島 - Wikipedia

…ということで本日のドローン写真をピックアップ。久々なのでまあ、感覚を取り戻す練習的な感じ。

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最近は島での食事だと「磯料理 魚のかねあ」さんが割と気に入ってる。まあせっかくこの辺りに来たので、鮪は外せないな。

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城ヶ島はいいところだぞ。

(2021年6月8日追記)少し続報も書いてみました。
xckb.hatenablog.com