xckb的雑記帳

15年ほどWeb日記をつけ続けていたのですが2012年で一旦休止、1年半ほど休んで新天地でぼちぼちのんびりまた始めてみることにしました。

この音楽が埋もれなくて本当に良かった:Rayons「サクラダリセット・オリジナル・サウンドトラック」

埋もれてほしくない音楽

世の中には、もっと多くの人に聴いてもらってしかるべきと思うのだけれども、音源を手に入れる手段もなくそのまま埋もれてしまう音楽がたくさんある。たとえば無名のインディーズのアーティストたちが小さなライブハウスや路上で奏でる音楽として、そういう作品が絶えず生まれ、そして多くの人の目に止まらず埋もれていく。

だが、地上波のTVでかなり広範囲に長期間放送されたにもかかわらず、ほとんどの人に届かず、音源を入手する手段もなく埋もれてしまう音楽もあるのだ。そして、まさにそうなりそうだった音楽の一つの例が、ここで紹介する「サクラダリセット」のサウンドトラックだ。

2017年の4月から9月にかけて放送された深夜アニメ「サクラダリセット」は、明らかに見る人を選ぶのではあるが、完成度の高い素晴らしい作品である。興味があれば、本放送中盤に書いたこの記事をぜひ読んでいただきたい。

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そしてその素晴らしい作品を形づくる一つの大きな要素として、(これがアニメの劇伴は初めての担当となる)Rayonsによる美しい音楽が当時から注目されていた。

しかし残念ながらアニメ自体は商業的には成功したとは言えず、そのためか放送当時にサウンドトラックが発売されることもなく、さらにBlu-rayの付録としてサウンドトラックがリリースされるパターンを期待したものの、Blu-rayの売上が全く振るわなかったということもあってか、実現しなかった。

そこで、たとえば(RayonsはインディーズのFLAUレーベルからいくつかのアルバムをリリースしているので)インディーズ盤としてリリースするということも考えられないか、と一縷の望みを託したが、おそらく権利関係がいろいろと複雑なことは容易に想像できたので難しいだろうな、と思っていた。

たしかその頃、Rayons公式Facebookページで、「サクラダリセットのサントラのリリース予定はない」旨のコメントがあったこともあり、アニメが終了して半年も経つと、常識的な判断として、サウンドトラックのリリースは限りなく難しいな、と自分も考えていた。

それでも諦めの悪い自分は、Twitterやこのブログなどで、事あるごとに「サクラダリセットのサントラはリリースするべき!」としつこく言い続けていたし、他にも多数同様の人がいたのを記憶している。

そしてついに、アニメ放送開始から約2年、終了から約1年半が経った2月末に突然、まさにそのFLAUレーベルから「サクラダリセット」のサントラがリリースされるという情報を知ったときには本当に嬉しかった。その日の狂喜乱舞ぶりは、まさにその当日に旅先で勢いに任せて書き殴ったこの記事に現れている。

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あの日、この先行公開トラックをYoutubeで聴いた時は本当に嬉しかった。当たり前だが待ちに待った「サクラダリセット」の音楽そのものだったからな。まあ、発売日の4月10日まではまだあと1ヶ月以上あったけれども、今まで2年近く待ったことに比べたら些細なものだ。

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4月10日、ついに発売

そんなわけで4月10日、ついにリリースされたこのCDが送られてきたのだ。ジャケットは一見アニメのサントラらしからぬ上品なデザインだが、しっかりとアニメの重要な舞台である「テトラポッドの河口」を素材にしているところが良い。

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ジャケット右下をよく見ると、きちんと対岸の景色やあの鉄橋のシルエットも入っている。まさに、那珂湊の河口をベースにした「サクラダリセット」で最も印象的な舞台だ。

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ちなみに右の写真を撮影した、昨年12月の那珂湊再訪時に書いた記事はこちら。

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クレジットにはきちんと河野裕さん、椎名優さん、そしてKADOKAWAや製作委員会も入っていて、関係者の方々本当にありがとうございました的な感じ。

…そんなわけで、ここ数日、まさにヘビロテでこのアルバムを聴き続けてみたのだが、これが大幅に期待のハードルを上げまくっていた自分のような人間にとっても、その予想を越えて素晴らしいアルバムだった。

これらの音楽は、劇伴としてもあの「サクラダリセット」の物語をしっかりと支えてくれた美しいメロディーであり、ほとんどの曲が「あの時の曲だ」と情景が浮かぶ。

そしてあらためて単体の音楽として聴いたとき、さらに分かりやすくなったアナログな楽器たちの奏でる息づかいや、Predawnの声の透明感がはるかに強い印象を残すのだ。ピアノやストリングスが素晴らしいのはアニメを見たときからわかっていたが、音楽単体として聴くと、クラリネットやフルートなども、要所要所で実に素敵なメロディーを奏でていることがわかる。

本当にこれらの音楽が埋もれなくて良かった。そして自分が声を上げ続けたことは、このCDのリリースにはまるで誤差の範囲内のような影響しかなかったと思うけれども、それでも諦めずに言い続けてよかったと思う。あらためて書くけれども、番組開始から2年、終了から1年半経った、ほとんど売れなかったアニメのサウンドトラックが今更発売されるなんてのは、本当に奇跡的なことだ。

自分と同様にしつこく「サクラダリセットのサントラ欲しいぞ」と言い続けてくれた同志たちと、実現に向けて動いてくれた多くの方々に深く感謝したい。

印象的なトラックへのコメント

ということで、心からの感謝の念を表しつつ、特に一言言っておきたいトラックについて、印象に残ってる本編での使用シーンなどを参照しつつコメントしてみよう。…と思いながら書き始めたら、結局半数近いトラックに一言申す感じになってしまった。

(いいんだよそれくらいこのアルバムが好きなんだよ!)

2. もうすでに失ったもの (what I've lost already)

なんかすごく良いタイトル。劇中、あまりにいろいろなところで流れていたので、これがメインテーマだと思ってた。というか今でも事実上そう思っている。なんと言ってもPredawnの声のはまり具合が素晴らしい。24話で相麻菫と春埼美空の「和解」のシーンで流れるところが一番印象に残っているかな?

もうすでに失ったもの

もうすでに失ったもの

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4. ねたみ・執着・執念 (jealousy / persistence / obsession)

この曲も、Youtubeで公式にフル公開されている。

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濃厚なメロディーに重厚なストリングス。なんと言っても、19話で止まった時を再び動かす加賀谷さんのシーンが思い出される。終盤のあの緊迫感あふれる次回予告で流れた曲でもあるな。

ねたみ・執着・執念

ねたみ・執着・執念

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5. ケイの決心 (kei’s determination)

19話の相麻菫の「シャワー」のシーンでかかる悲しい曲なのだが、23話ラストで咲良田に戻ってきた相麻菫が記憶を取り戻すシーンでワンフレーズだけ使われた時のイメージも強烈すぎる。相麻菫の切ない運命を象徴するかのような曲。

ケイの決心

ケイの決心

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8. 灰色の記憶 (gray memory)

2話で相麻菫が死んだことをケイが知った時の曲。美しいピアノの旋律とPredawnの声。一見、死のイメージとは合わないようで合ってしまう不思議な曲。この曲もタイトルが実に良い。

灰色の記憶

灰色の記憶

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9. 悲痛なサスペンス (grievous suspense)

20話で春埼美空がリセットを取り戻す時の曲。そして失われたはずだったリセットによって静止する相麻菫の涙。23話で、ケイと浦地正宗の対決シーンで「カルネアデスの板」の時に使われた時の印象も強い。あの時の同時に挟まれた加賀谷と春埼美空が対峙するシーンもこの曲から容易にイメージされるな。

悲痛なサスペンス

悲痛なサスペンス

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16. 後悔・慚愧 (regret / humiliation)

(終盤を除く)次回予告の時に流れた曲。「サクラダリセット」の次回予告の入れ方とそれを演出するこの音楽の絶妙な使い方、本当に素晴らしかったよな。フルで聴くとまたこれが良い曲なのだ。

後悔・慚愧

後悔・慚愧

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17. バトル 〜勇壮〜 (battle ~ brave ~)

21話、最後に残った「写真」の中でケイが未来視能力を使う時の疾走感あふれる曲。時間の限られた中で知力を尽くした戦いをするシーンを盛り上げる素晴らしい曲。何気にクラリネットが実にいい仕事をしていることを再認識した。

バトル 〜勇壮〜

バトル 〜勇壮〜

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21. ミチルの世界 (the world of michiru)

ミチルの夢の中で、ミチルが出てくるシーンで何度もかかっていたちょっと愉快な曲。中でも、ケイと春埼が「デート」で食べたのと同じメニューをぼっち飯する相麻菫のところにミチルがやってくるシーンでの使い方がとても好き。

ミチルの世界

ミチルの世界

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23. サクラダリセット (sagrada reset)

ミチルの夢の世界でのケイと春埼の「デート」の時に使われた時のイメージが自分にとっては真っ先に浮かんだが、他にもいろいろ使われていたと思う。タイトルを冠した曲がこれだとは思ってなかった。しかしこの曲、ほとんど本編で使われた記憶がない後半が実にいいのはなぜだろう。

サクラダリセット

サクラダリセット

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24. 最終作戦 (last strategy)

21話と23話で、相麻菫とケイがそれぞれ浦地と相対する時に使われる素晴らしい曲。また独立した一曲として聴くと実に素晴らしい。なんと言っても階段の上で浦地と対決する相麻菫のシーンでの印象がものすごく強い。リリース決定時の記事で、まさにこの曲は入っていて欲しいと書いたのだが、ちゃんと入っていてよかった。

最終作戦

最終作戦

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25. 叶えられる願い

24話、「夢」から目覚めて病室を出ていく相麻菫と、残った春埼美空がケイと会話するところでかかった曲。本編ではそれほど長い時間かかっていなかったが、あらためてサントラでフルに聴いて、いい曲だったんだな、と再認識した曲。これもタイトルがいい。

叶えられる願い

叶えられる願い

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26. 流れゆく日々 (days passing by)

これも様々なところでかかっていた曲なのだが、静かなピアノのメロディにPredawnの声が本当に良い。自分としては24話で全ての記憶を取り戻す春埼美空のところでかかっていたイメージが強い。まさに「流れゆく日々」だな。

流れゆく日々

流れゆく日々

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そんなわけで

サクラダリセットのサントラは本当に良い。本当に埋もれなくてよかった。ぜひ聴いてほしい。

サクラダ・リセット オリジナル・サウンドトラック

サクラダ・リセット オリジナル・サウンドトラック

iTunes StoreやApple Musicでも配信されている。iTunes Storeのリンクは上にたくさん置いたし、Apple MusicであればRayonsで検索するとすぐに見つかると思う。

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音楽単体としても素晴らしいけれどもアニメ本編も(当時は全然売れなかったけれども)本当に良いので見てもらえると嬉しい。Amazonプライム・ビデオやdアニメストアで配信されている。

www.amazon.co.jp

ぜひ!