xckb的雑記帳

15年ほどWeb日記をつけ続けていたのですが2012年で一旦休止、1年半ほど休んで新天地でぼちぼちのんびりまた始めてみることにしました。

静岡の鳳凰は実は不死身:伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」を見て(屏風爛漫・静岡県立美術館)

さて、4月3日(水)に、うちの少年と二人で、静岡県立美術館に行ってきました。

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目的は「屏風爛漫」という企画展で、同美術館所蔵の伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」が2年半ぶりに公開されるとのことで、未だ実物を見たことがなかったこの作品をひと目見たかったからです(会期は2019年4月2日〜5月6日)。

www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp

この作品には、同様の構図、モチーフの作品として有名な「鳥獣花木図屏風」(プライスコレクション)という作品があり、そちらの方は何度も見ているのですが、Eテレ「びじゅチューン!」の「樹花鳥獣図屏風事件」でも元の作品となっているのはこの静岡美術館の「樹花鳥獣図屏風」なんですよね。

ということで、うちの少年に「樹花鳥獣図屏風事件」の本物を見せることのできる、この久々に訪れたチャンスを逃すべきではないということで、単純に自分が見たかったということと合わせて、新幹線で静岡までやってきたのでした。流石に静岡まで行く人は物好きな人が多いということやそもそも平日朝ということもあってか、都心で行われる若冲関連の展示とは全く違って、ほとんど客のいない中でじっくりのんびりと鑑賞することができました。

ということで、始めて見た「樹花鳥獣図屏風」ですが、私の最初の感想は「なにこれ、ぜんぜん違う!」でした。今まで小さな画像ファイルなどでしか見たことがなかったので、あまり「鳥獣花木図屏風」との違いがよくわからなかったのですが、もう本物を見ると、これは全く違う作品としか思えません。何年か前に最後に見た記憶の中の「鳥獣花木図屏風」と比較していたのではありますが、それでも違いは明らかでした(自信がなかったのであらためて画像検索して再確認した)。

一番印象が違ったのは鳳凰です。配色の問題もあるのかもしれませんが、「鳥獣花木図屏風」の鳳凰は、鳳凰の割にはそこまで目立っておらず、周りに溶け込んでいる印象があったのですが、この「樹花鳥獣図屏風」の鳳凰は、作品の左半分を支配するようなすごい存在感を持っていて、しかも実にスタイリッシュ。右半分のボスである白象も、上に布みたいなやつが乗っていないことも関係しているかもしれませんが、かなり印象が違いました。また、升目への塗り込みも、全体的な印象ですが、この「樹花鳥獣図屏風」の方が(適切な表現かどうかわかりませんが)自然な気がしました。

ということで、あらためて検索してみると、この2作品は結構真贋論争の的になっているらしく、若冲のWikipediaにもその旨を扱う項目があるくらいの問題のようです。なるほど。

プライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」は、若冲の代表作としてメディアなどで紹介されることが多い作品である。しかし、若冲研究の第一人者の一人佐藤康宏は、本作品を初めて見た時から一貫して若冲自身の関与を否定した見解を述べている。佐藤はプライス本と他の升目描作品を比べると、動植物が若冲らしからぬぶよぶよとした締りのない曲線で描かれ、形態も単純化し緊張感に欠けている事を指摘する。彩色も「樹花鳥獣図」より丁寧であるが桝目内部の彩色に一貫性がなく、グラデーションを用いず桝目に沿って塗り分けされるといった単純な手法で「白象群獣図」の彩色論理を全く無視した悪い意味での図案化・装飾化が見られる。

伊藤若冲 - Wikipedia

そういうことを知ってしまうと、びじゅチューン!の「樹花鳥獣図屏風事件」の「殺されたのは鳳凰 ♪」から始まる歌詞も、実は裏に深い寓意を持っているような気が…。まあ単純に自分の穿ち過ぎかもしれないけれども(鳳凰のイメージが違いすぎるというのは単に自分の感想だし)。

びじゅチューン! DVD BOOK

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最近、この「樹花鳥獣図屏風」は精密なレプリカが作成されたらしく、そのレプリカの方は写真撮影などができる場所に置かれていました(本物は撮影不可です)。

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うちの少年は喜んで眼の前で記念写真を撮ってました。

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ということで、会期は5月6日まで。可能ならもう一回会期中に、今度は一人で行ってみたいなぁ、と思いました。

ついで…と言っては失礼ですが、この美術館の代表的な展示であるロダン館も見てきました。ここには、びじゅチューン!的に言えばこれまた必見の「地獄の門」もあります。もちろん「地獄の門」は上野の国立西洋美術館にもありますが、こちらは室内ですし上野よりも自由なアングルから見ることが可能です。

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「考える人」の背中!

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この後、沼津で深海魚水族館に行き、そして新幹線で新横浜から帰るついでにラーメン博物館にも寄ってくるという、うちの少年との静岡小旅行でした。(写真は深海魚水族館の冷凍シーラカンス)

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ということで、楽しかったな!

ちなみに、このマグカップ愛用してます。