すっかり日本での提供はないだろうなぁ、とほぼ諦めて存在すらも忘れていたiTunes Matchの日本版がGW中の5月2日に突然開始していたので、早速登録してみました。
いつまでも終わらない初期化作業…
まあ、使ってみた人の「いつまでたっても終わらねぇ…」ってのがTwitterやらFacebookのTL上に溢れていたわけですが、私もその例に漏れずいつまでたっても終わらない。全体工程としては3ステップあるらしいのですが、まずは最初の1ステップ「iTunesライブラリに関する情報を集めます」の最後のところで、いつまでたっても進まない状況に。
しばらく悩んだのですが、ググりつついろいろ試してみた結論としては、一旦iTunes Matchを停止して、「Store」メニューから「iTunes Matchをアップデート」すること。
これをやると、一旦ステータスバーは元に戻ってしまうのですが、その後止まらずになぜかステップ2まで進めるようになりました。
ステップ2は「iTunes Store上で配信中の曲とのマッチングを行います」と書いてあるのですが、この進行状況は「X曲中Y曲をスキャンしました」と表示されます。このうち、iTunes Storeでの購入曲は最初からスキャン済み扱いとなるので、「Y曲」のところは購入済みの数字から開始するようです。私の場合、約16,000曲中3,000曲強がiTunes Storeからの購入曲だったので(そんなに買っていたのか…)、その分は最初からカウントされた状態で始まったようです(「ようです」というのは、放置していたらいつの間にかステップ2になっていたので、その瞬間は見ていないため)。
で、このステップ2は結構複雑な処理を行っているようで(そりゃ、空の音声ファイルに曲名つけて置いておいたら何でもiTunesのファイルがダウンロードできたら困るからね)、バックグラウンドで実行するiTunesの処理も重くなるので、もしかしたらMavericksだとiTunesのApp Napを切っておいたほうがいいかも知れません。アプリケーションフォルダからiTunesの情報を出して、「App Napを切にする」をチェックしておけば大丈夫です。
で、それでもこのステップ2でも途中で止まることがあるのですが、その場合はまたiTunes Matchの処理を一旦中止して、また「Store」メニューから「iTunes Matchをアップデート」で再開すれば良いようです。この場合は一旦ステップ1に戻るのですが、ステップ1の処理はすぐに終わります。
問題は再開後のステップ2なのですが、これは前回までにスキャンした曲すべてがスキャン済みとして扱われるわけではありません。おそらく、「購入した曲」+「今までのスキャンでマッチした曲」のみがスキャン済みとして扱われ、「アップロード待ちの曲」は再度スキャン対象となるようです。なので、地道に3歩進んで2歩下がる…という感じを繰り返すことになりました。
そんなこんなを繰り返しつつ、ステップ3の「アートワークと残りの曲をアップロードします」へ行くわけですが、ここでもまたストップ。そして「iTunes Matchをアップデート」すると、またステップ1からのやり直しで、さらにステップ2が走ります。この際は、スキャンした曲の数は「購入した曲」+「今までのスキャンでマッチした曲」+「すでにアップロードした曲」として扱われるようになるようなので、一応ここでは3歩進んで1歩下がる程度の感触になってきます。
そして、私の場合は初めてから3日ほど経過した朝に目覚めると、すべてのアップロードが完了していました。15,960曲がiCloudから利用できるようになったようです。素晴らしい。
iPhone/iPadからの利用
iPhoneやiPadは、iTunes Matchを有効化すると、音楽がiTunesの同期対象から外れます。すでにアプリに関してはあまり同期の意味が減っていましたし、写真の同期は私はDropbox経由のOTAでやっているので、これでほとんどiTunesとiPhone/iPadを同期させる必要性がなくなってしまいました。
ただ、そのままの状態だと今までのオーディオファイルがiPhone/iPadに残ったままです。これを消すには、「設定」→「一般」→「使用状況」にある「ストレージ」の「ミュージック」を選択し、「すべてのミュージック」を左にスライドし、「削除」を押すことで削除が可能です。ちなみにこのスクリーンキャプチャは後で取ったものなので3.7GBしか容量がありませんが、それまでは24GBほどミュージックライブラリがストレージを食ってました。素晴らしい。
これで、WiFi環境の場合は「ミュージック」アプリからiTunes上にあるすべての曲をストリーミング的に聴くことができます。そして一旦聴いた曲はローカルストレージにキャッシュされるようです。
WiFi環境でない場合は保存されていない曲は聞くことはできませんが、3G回線からもダウンロードすることは可能です(曲の横の雲マークをタッチすればダウンロードされます)。プレイリストやアルバム等はまとめて「すべてをダウンロード」することも可能です。表示されていない場合は、アルバムやプレイリスト等を下にスライドすると、上に隠れていた「すべてをダウンロード」が出てきます。
ちなみにこのCDは台湾で発見したチベットのシンガー央金拉姆のデビューCD。般若心経の真言の歌詞の曲まであるよ。そしてこれもiTunes MatchでiTunes Storeの曲とマッチした。実は2011年にグラミー賞を受賞していたのね。知らなかった。ちなみに般若心経はこちら↓
iTunes Match導入後のCDからの音楽追加
iTunes Matchを導入後は、CDから音楽を追加した後、自動的にiCloudにアップロードされる…はずなのですが、実際にはまた初期化の時のようにステップ1で止まってしまいます。
「iTunes Matchをアップデートする」を実行するとアップロードされるのですが…導入当初の混雑のためと思いたい…。
アップロードが完了すれば、それらの曲はiPhoneやiPadの「ミュージック」に出現します。ダウンロードが必要であれば、雲マークのクリックでダウンロードできます。もはや音楽に関するiTunes同期は必要ありません。これはいい!
iTunes Matchで嬉しい事・そうでもないこと
iPhoneにiTunes上のすべての曲を転送できて、なおかつストレージの容量に余裕のある人には、iTunes Matchはほとんど何の意味もない機能でしょう(合法的に美味しいのは、昔リッピングしたファイルが256kbpsのAACになることもある、という点くらい?)。それとは逆に、iTunes上の曲をすべて転送できず、いつもストレージがカツカツな私のような人には、最高な機能です。
WiFi環境でないと、iPhone/iPadで聴いたことのある曲やダウンロードした曲以外は再生できないことに関しては正直今ひとつだとは思いますが、LTEのモバイルルータをWiFiで繋いでいたら、結構普通にシャッフル再生でストリーミング的に再生が可能でした。なんかこの機能のためだけに、モバイルルータを常時ONにしておいてもいいかも、と思わせる機能です。
今まで、iPhoneには最近の曲を中心にして、あとはお気に入りのプレイリストを幾つか転送して聴いているという感じで、マンネリ感が出てくることも多かったのですが、16,000曲すべてのライブラリを持ち歩いているも同様の機能があると、全く違った音楽の楽しみ方ができます(なのでWiFiだけではなく3G/LTE回線でも、ぜひiTunes Matchのストリーミング再生が使えるようなオプションを提供してほしいところです)。
細かい問題としては、スマートプレイリストに「プレイリストはミュージックである」という条件が入っていると、プレイリストがiCloudにアップロード対象とならないところが困ってます。
実はこの「プレイリストがミュージックである」は、iOSのいくつだか忘れましたがかなり以前のバージョンから、スマートプレイリストをiOSデバイスで再生する際に、プレイリスト内の曲順が狂うというバグ?に対するワークアラウンドとして長らく利用されていたものなので、これが使えないとなると、スマートプレイリストの魅力がかなり低下してしまいます(シャッフル以外に使えない)。
せっかくなので大元のiOSのバグ?の方の修正を今更ながら望みたいところです。
iTunes Matchの利用料金は高いのか?
iTunes Matchについて色々読んで回ると、3,980円/年の利用料が高い高いという話がよく出てくるのですが、本当に高いですか? US版は25ドルなのでそれに比べれば高いですが、そもそもこのサービスがありがたいのは、普通に考えて膨大なCDコレクションを持っている人でしょ? そんな人がたかが年にCDにして2枚分ほどの値段でそこまで文句を言うのかしら?
たとえレンタルからダビングで済ましている人でも、それらが正規の高音質ファイルになるわけだし、仮に不正コピーで持っている人だって、それがロンダリングされるわけなんだから一層お得でしょう(おい…)。高い高いって言ってるのはどういう層なんだろう? まあ、そういう人は使わなきゃいい、というだけの話なのかな?
iPod登場時の夢と今の現実
ところで私は初代iPodからのユーザーです。当時、iPodを初めて使った時の衝撃は今でも忘れられません。そして今回のiTunes Matchの導入で、ようやく当時夢想した形にかなり近づいたと言えると思います。
携帯端末でネットから直接音楽を購入、携帯端末でネットから自分のライブラリをストリーミング再生。たったこれだけの事が実現するのに十年以上の時間が必要だったのですね。あとは当時夢想した話で(Appleのエコシステムとして)実現していないのは定額配信ですかね。
一方で当時の夢想で全然想定していなかったのは…、非技術的な面だと、
- CCCDだのレーベルゲートCDだのと信じられない悪あがきを繰り出してきたこと
- 着メロの後継の着うたが、着うたフルなんぞという妙な形で国内の音楽配信に主流となり、しかもガラケーとともに絶滅しつつあること
- 日本のSony MusicがあそこまでiTunes排除に頑張ったこと
- それら全ての余波か、iTunes Storeが日本では特別に不振となったこと
- そもそも他の娯楽に押されての音楽業界自体の衰退が予想以上だったこと
技術的な面だと、
あたりですかね。
まあCCCDのあたりから、上得意の客を泥棒扱いする娯楽産業には未来がないと思っていましたが、それにしても非技術的な面がひどかったこの十数年ではありました。そんな中での大きな一歩だと思います、日本版iTunes Match。