xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

野付半島(北海道)の旅:砂嘴、海、空、夕日、朝日、鹿、狐、花、星、そしてオーロラ?

2024年5月10日から12日まで、北海道の野付半島まで旅をしてきた。今回はメジャーな観光地には全く目もくれず、北海道への入りと出も野付半島から一番近い中標津空港を利用し、ひたすら野付半島近辺を堪能するという、ある意味贅沢な旅だった。

そして、現在自分が使える状態にある写真機材をほぼ全て持っていくという、2泊3日の旅行にしてはおそらく人生で一番重い荷物を抱えての旅行であった(おそらく、しまなみ海道を2泊3日で飛行機輪行した時よりも、荷物は重かったと思う)。

そんな旅の記録(写真、動画などを含む)を、テーマ別にまとめてみよう。

今回の目次はこちら。

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野付半島とは?

野付半島とは、北海道の標津郡標津町と野付郡別海町にまたがる非常に特徴的な形をした半島であり、全長28kmとも言われる日本最大の砂嘴である。

とはいえ内地の人間には、北海道のスケール感が理解できていないことも多いので、地図を見ただけでは江ノ島や天橋立に毛が生えた程度だと思われる可能性もある。そこで、東京の地図に同縮尺で、縦に回転させた野付半島のイメージを置いてみた。


出典:Googleマップ (https://maps.app.goo.gl/tfwCByge8qw9ERce6, https://maps.app.goo.gl/6vXnodyqP68nxJWX6

このように野付半島のスケール感は、実は「東京の山手線とほぼ同一」ととらえると、関東民にはイメージしやすいだろう(山手線の一周は40.4kmだ)。半島の付け根が大崎駅あたりにあるとすると、半島の東端は池袋を少し越えて板橋駅や王子駅あたりになる。そこから山手線のようにカーブして、上野駅や御徒町駅あたりまで砂嘴が続いているのだ。

半島内での有名な立ち寄りポイントであるナラワラ、トドワラ(ネイチャーセンター)はそれぞれ、代々木駅、池袋駅付近となる。

ドローンでの空撮

今回は、野付半島の東端でドローン(DJI Mini 3 Pro)による空撮を行った(関係各方面に申請済)。動画は4KでYoutubeにアップロードしたので、ぜひ可能なら大画面でご覧いただければと思う。

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広角撮影で何枚か。満潮の夕刻。

それにしても地形が雄大すぎて、ドローンを飛ばす時の感覚が、地元で飛ばしている時と全然違って新鮮である。高度100m以上に飛ばさないと地形が見えてこない。

干潮の朝。干潟の面積がぐっと増えている。

遠くに知床の山並みも見えているのだが、ちょっと微妙だろうか。

360度写真も撮影したので、Kuulaでグリグリできるようにした。

野付半島を中心に、知床半島、国後島、根室半島が見渡せる360度写真となっているので、ぜひ見渡していただければ。

野付半島ドライブ

野付半島ドライブの動画を2分程度にまとめてみた。野付半島の付け根付近にある宿から、一般車が入れる東端の駐車場までの道約16kmの車載動画(Insta360 One X2で撮影)に、道中の簡単な説明を乗せてある。

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とにかく、道路左右が草原状になっている場所には鹿がたくさんいるおり、特に夕暮れ時と早朝に走った時はどんどん鹿が寄ってきた。宿の方によると、どうやら鹿はヘッドライトの光に引き寄せられるらしい。特に暗い時間帯は鹿の気配を感じたら最徐行だ。

3日目は、霧雨状態だった早朝時間帯にInsta360 X4を回収してこれたのだが、この時も視界の悪い状態から鹿が出現するのでかなり徐行して走った。その後霧が濃くなったので、再び半島先端部に行くことは断念した。濃霧の時にここを走ることはお勧めしない。

ちなみに、今回の旅のおともはこちらのインプレッサ(おかしいな、コンパクトカー頼んだつもりだったんだけど)。


朽ちていく森「ナラワラ」

実は野付半島に到着して、最初に訪れたのは「ナラワラ」だった。

正確にいうと、訪れたのはナラワラを対岸に望む「ナラワラ展望スペース」だ。ナラワラ自体は原則立ち入り禁止である。

野付半島という場所は、長さはどんどん長くなっているようだが、高さは次第に失われてきているらしく、そこかしこで湿原に呑まれて古い森が朽ちていっているらしい。

その一つでナラなどの森が朽ちていきつつあるのがこの「ナラワラ」の場所ということのようだ。

3日目は霧が出ていたのだが、午前4時ごろはまだ濃霧というほどでもなかったので、ナラワラにも寄ってみた。

霧の中のナラワラはとても神秘的だった。


朽ち果てて消えつつある森「トドワラ」

「トドワラ」は、すでにもう朽ち果てて消えつつあるトドマツなどの森である。トドワラに行くには、ネイチャーセンターから遊歩道を片道30分ほど歩くか、トラクターバスで送ってもらうことができる。時間はあるので、往復小一時間歩くことにした。

野付半島はこれから花の季節を迎えるようだが、もうすでに気の早い花は咲き始めているようだ。

トドワラへの道の風景。

この辺りは野鳥も多く、バードウォッチングで訪れる人も多いようだ。

キタキツネ。息が白いぞ。

などと、周囲の動植物などを眺めながら歩いていたら、意外にあっけなくトドワラに到着。

トドワラ。現在はかなり森は完全に朽ち果てつつあり、朽木も多くが崩壊してしまっているらしい。

寄って見る崩壊に向けての過程。こうして何年かかるかわからないが、これらのかつて木々だったものは完全に土に戻っていくようだ。

こういう風景を見ると、この野付半島がアニメ「宝石の国」の舞台のイメージになったということがなんか納得できる気がする。先ほどのドローンで撮影した地形もよく考えるとそうだ。

今の時期はまだ枯れ草の多い草原を見たときも、これ夏になって緑に色づいたらきっと「宝石の国」の月人と戦う草原のようになるんだろうな、と思った。

まあある意味聖地巡礼なわけではあるが、せっかくなので次はぜひ雪のある季節に来たいと思う(雪道の運転は自信がないのでなんとかせねば)。


出典:「宝石の国」第7話 ©︎ 市原春子・講談社 / 「宝石の国」製作委員会

真っ白になって朽ちていく木の幹や根が、まるで動物の骨のようである。

トドワラからは、こんな感じで知床の山々が綺麗に見えている。

星の写真とスターラプス動画

野付半島は、5km先に標津の町があり、20kmほど先に中標津、海の向こうに羅臼と根室の街があるが、それでもかなり良い星空が見える。宿のそばで、三脚にカメラを乗せて適当に20秒ほどシャッターを切るだけでこんな写真が撮れる(しかし最近はこんな短時間露出でも人工衛星がいくつも入るのか)。

対角魚眼レンズにすると、やはり雲が結構入ってしまうなという感じではあるのだけれども、あっさりとこれだけ撮れるのはすごいな。一番上に北斗七星が写っている。

ということで、野付半島の東端に、買ったばかりのInsta360 X4を一晩放置してスターラプス動画を撮影してみることにした。ここからだと標津の町まで20km、中標津の町まで30kmとなるので、宿のあたりよりは空の条件がずっと良い。…と思ったのだが、撮影場所の周囲はこんな感じなのである(今回、本当に撮影場所近くで撮影した写真だ)。

さらに、口に獲物を咥えたキタキツネも走り回ったりしているわけで、そういう奴らに蹴っ飛ばされると買ったばかりのInsta360 X4が無事では済まなそうだ(スターラプスのような微妙な撮影をする場合は、レンズのプロテクターも外して撮影するのでレンズを守るものは何もない)。

ということで、周囲に鹿が食べそうな草がなく、キタキツネもあまりこなそうな海岸近くに置くことにした。夕方に満潮だったので、おそらくここまで海面が上がってくることはないだろう(まあ、高い波が来た場合はその場合ではないだろうけれども)。

そうやって撮影した動画がこちらだ。まあ、スカッと晴れたわけではないけれども結構いい感じに撮れたと思う。露出情報 ISO6400, WB 5000K, 13秒(インターバル3秒)。

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静止画キャプチャ。最近人工衛星増えたよね。これ1枚で6個も人工衛星写ってるのすごいよな。1コマだから13秒間にこんな見えているのか。

後処理で星の軌跡を引けるのはなかなか面白い。

天の川はこのくらい映る。素晴らしいな。雲がなければもっとはっきりしたと思うし、露出時間はさらに伸ばせる空の暗さだと思う(スターラプスの場合、露出時間を伸ばすとコマ数が落ちるというトレードオフ関係にあるので若干微妙ではあるのだが)。

朝焼け。肉眼ではこのくらいの時はまだほとんど見えないよね(ISO6400の13秒露出なので)。

というわけで、Insta360 X4なかなかいいな(Insta360 One X2からの買い増し)。

Insta360 X4のスターラプスに関しても、そのうちちゃんとまとめようかな。X2の頃よりはだいぶ楽なのでいいかな、とは思うけれども、X2の時にまとめたのはこちら。

xckb.hatenablog.com

朝にX4を回収に行ったのだけれども、その時の日の出。しまったこれはもう少し早く撮り始めていればグリーンフラッシュとか見えた可能性もあるな。残念。

一晩頑張ってくれたInsta360 X4と日の出の朝焼け。よく見ると近くのコンクリートまで波飛沫がかかっている。波を被らなくてよかったし、鹿やキタキツネに蹴り飛ばされなくて本当によかった。

以前釜石の河川敷でスターラプスを撮った時は、近くまで鹿が近づいて草を食んでいるのが写っていたけれども、今回はそんなこともなかったし。

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朝焼けの国後島

2日目朝に半島東端まで、スターラプスの撮影に使ったInsta360 X4を回収に行く途中、宿を出発したばかりの場所にある「第二しべつ展望パーキング」のあたりで、左に見える朝焼けがとんでもなく綺麗なことに気がついたので、車を止めてみた。

空はかなり曇っていたのだが、水平線近くだけ晴れ渡っており、朝焼けが綺麗に見えていた。そしてその中に大きな島が見える。国後島である。

野付半島は、北海道で最も国後島に近い場所である。距離は20kmほど。本当に綺麗。

iPhone 14で撮った写真。とても真っ赤だが、実際の風景ここまで赤くはなく、上のX-T30で撮影した方が実際の色に近いとおもう。でも心象風景的にはこっちだな。


この紫色の光は低緯度オーロラだったのか?

さて、2日目の夜は、全世界が低緯度オーロラで大騒ぎになった日だったので、天気予報は曇りだったものの、せっかく北海道にいるのだからチャレンジしなくては、ということでもう一度スターラプス撮影に挑戦したのだが、見事に日没後すぐに曇ってしまった。というか日没前に少し晴れただけでも儲け物、という感じだったのだが、問題はその曇る直前に写っていたこの紫色の光は、果たしてオーロラかどうか、ということだ。

日没後の薄明にありがちな色にも見えるのだが、写真の方向は真北である。

どうしたら検証できるだろうか、と思ったのだが、よく考えたら前日も360度動画でスターラプスを撮っていたのだから、その空の色と同時刻で比較すればいいのでは、と気がついた(まあほんの少しは日没時刻などがずれるが、大きな問題にはならないだろう)。

こうして同じ時刻の全天写真を比較してみると、特に3番目4番目の写真では、明らかに2日目の5月11日の方が全体的に紫色がかっていることが確認できると思う。

やはりあれはオーロラだったんだと思う。ということで、動画にまとめてみた。

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ちなみにこの後深夜に天気は霧雨となり、朝にInsta360 X4を回収した時はこのようにびしょ濡れの状態だった。外部電源のためにL字型USB Type-Cケーブルで繋いでいたのだが、接続端子を開けた場合は防水仕様ではなくなるので、本当にこの雨で壊れなくてよかった。

(おまけ)宿と食事

今回の宿は、野付半島の付け根に位置する「のつけのつけね」さん。基本は素泊まりで、色々と宿の流儀があるけど、公式サイトを読んで問題ないと思うなら、良い宿だと思う。特に今回は自分の旅の目的に合致していたので非常によかった。次に野付半島に行くことがあったらまた泊まりたいな。

notsuke.net

一応こちらの宿にもお風呂とシャワーはあるのだが、どうせなら大きな風呂に入りたいな、ということで、「標津川温泉 ぷるけの館 ホテル川畑」さんの日帰り入浴を利用した。こちらは朝から日帰り入浴ができるのがまた素晴らしい。

hotel-kawabata.com

で、宿は素泊まりなので、食事は外で食べるか買ってくるしかないんだけれども、一番近い標津の街までは宿から概ね5km離れているので、ふらりと歩いて食事して、またふらりと歩いて宿に戻る、ような行動は推奨されない。かといって車に乗るなら酒は飲めない。

ということで、今回の旅の食事のポリシーとしては、外で食べるときも宿に戻って食べる時も、禁酒、ということにした(天候の悪化予報などで、いつ車に乗らないといけないことが起こるかわからないからね)。

初日の夕食は標津の「郷土料理 武田」さんで。この辺りはどうも、サーモンと帆立が名物らしいので、サーモンとホタテの丼に、ホタテ稚貝の味噌汁。美味かった!

2日目の朝食は標津のセイコーマートで、ホットシェフのすじこおにぎりと、山わさびハムきゅうりサンド。

2日目の昼食は、野付半島ネイチャーセンターの食堂で、ジャンボほたてバーガーのセット。ホタテは春巻きになっていて、自分で組み立てるという面白いバーガーだ。

2日目の夕食は、オーロラ撮影のためのカメラを18:30頃に設置に行くのだが、標津で日曜夕方に開いているお店は19時台で終わってしまう店がほとんどのようなので、17時台に「そば処 福住 総本店」に行ってきた。ホタテと海老の天丼と蕎麦のセットを頼んだ。天丼も美味しかったし、蕎麦は更級系な感じのつるっつるの蕎麦だった。

3日目の朝食は、またしても標津のセイコーマートで。山わさび醤油漬けおにぎりとポテトサラダ。

3日目の昼食は、レンタカーを返す直前に「根室花まる」の中標津店で回転寿司。できるだけ北海道系のものを選んで食べた。美味かった!

最後に、空港に到着して、もう運転しなくていいな、ということでセルフお疲れ様ビールを一本。最高だった。

というわけで野付半島は本当に素晴らしかったが、やはり次は雪がまだある時期に来たいぞ。アンタークチサイト的にも。

www.land-of-the-lustrous.com