少々ブログの更新を滞らせて申し訳ない。ちょっと色々と理由があるのだが、こちらのブログの引越しを今更画策していたりするので、その準備というのも理由の一つだったりする。
というわけで、実際に行ったのはだいぶ前なのだが、まだギリギリ開催している「第26回・岡本太郎現代芸術賞展」(太郎賞展)のレポートを書いておこう。ここしばらく毎年、このイベントには必ず行っている気がする。今回もうちの小学生男子を連れて行ってきた。彼は多分1歳の頃から毎回このイベントに来ているはず。
会場は写真撮影OK(最近、岡本太郎美術館では以前写真撮影が基本NGだった常設展も、一部展示物以外の撮影がOKとなった)。
ちなみに今回の写真は、X-T30と先日購入のタムロン18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) で撮影している。
概ね会場内を巡った順に、自分が気になった作品を中心にいくつか紹介したい。
- 三塚新司「Slapstick」(岡本敏子賞)
- 中澤瑞季「Forest」
- 高田茉依「8,000,000」
- Yoko-bon「Reincarnation」
- GengoRaw(石橋友也+新倉健人)「蒼頡AI」
- 村上力「異形の森」(特別賞)
- 硬軟+stenographers「速記美術のエレメント」(特別賞)
- 与那覇俊「巨人病院⑤(1%の体験記)」
- 青山夢「弥勒モラトリアム」
- 角文平「Fountain」
- 吉元れい花「The threat is Eros, It's love !」(岡本太郎賞)
三塚新司「Slapstick」(岡本敏子賞)
会場に入った途端に目の前に広がるバナナの皮。
近づいても実にバナナの皮。これは巨大なゴミなのか、それとも何か巨大な存在の足を滑らせようとしているのか。そんなバナナの皮。
ちなみに材質は送風機をつけたバルーンである。岡本太郎美術館で送風機+バルーンといえば、一昨年夏の高橋士郎氏の「古事記展」が強烈だったなあ、などと思い出す。
中澤瑞季「Forest」
うむ、謎の立像。それも単に立像が積み重なっているだけではなく…。
このなんというかマトリョーシカ的な、人の皮の中に人、的な構造が実にもぞもぞする。
外側の人体が割とリアリスティックだけれども中身は幻想的なのが、さらにもぞもぞ感をましている原因かも知れない。
高田茉依「8,000,000」
タイトルはヤオヨロズということだろうか。ということは神々? 仮面の神々。
なんかこの仮面の質感からか、大英博物館で見たインカ文明のテスカトリポカとかケツァルコアトルとかのアレを思い出してしまい、ちょいとざわざわする。
Yoko-bon「Reincarnation」
流れ出す血のように垂らされた赤い糸が広がっている。
中央から広がる糸は動物や人や謎の物体を経由してさらに広がっているように見える。
赤い糸の起点はここかな。やはりCOVID-19をテーマの一つとした作品のようだ。
その上では謎の物体(花のようにも見える)がモビールになってぶら下がっている。
GengoRaw(石橋友也+新倉健人)「蒼頡AI」
「蒼頡」って漢字を作ったとされている人?
なんか、左にある写真を見て…。
AIが右側にある漢字のようなものを生成し続ける、というAIアートらしい。
CPUという漢字?
村上力「異形の森」(特別賞)
ちょっとこのでっかい爺さんの存在感が気に入った!
写真だと今ひとつこの異様さが伝わらない気がするけれども、実物はなかなか凄いのだ。
与那覇俊「巨人病院⑤(1%の体験記)」
障害者アーティストの方らしい。「生き霊」と会話し、その世界をカラフルな油性ペンで大きな紙にみっしりと描き込む。
近づくとこういう一枚一枚ちょっとづつ変わる絵が続いている。なんだかわからないけど超すごい。
ご本人のWebサイトは発見できなかったので、取り上げられた記事を。
青山夢「弥勒モラトリアム」
皮で作られた、腑分けされたケルベロス的な何かの背景に様々な絵が。
ここには結婚式的な絵が並んでいるのだが、初音ミクと結婚するVRゴーグルを被った男がちょっと気になる。
角文平「Fountain」
今回個人的に一番気になったのはこれかな。日本、中国、米国、インド、サウジを示すと思われるドラム缶の上に…。
各国を象徴するような物体が縦に積まれ…。
その上からまさにファウンテンのように油が流れていく(多分重油)。
こちらは中国様。油ぎっとりチャーハン。
そして米国様。いや、アートとしてはいいのだが、重油が臭いのは如何ともし難い。
角文平さんってなんか聞き覚えあると思ったら、以前「鉄道美術館」の時に作品が展示されていた人だな。
吉元れい花「The threat is Eros, It's love !」(岡本太郎賞)
こちらが最優秀賞に当たる岡本太郎賞の作品。刺繍だ。
Dynamite Strippers。なんかわからないけれども勢いのある刺繍だ。
見上げる位置まで続いている糸エロス愛!
ひたすら縫いに縫った巨大刺繍作品。うむ。
というわけで、今回は自分的には一番気になったのは角文平さんの「Fountain」、次点は与那覇俊さんの「巨人病院⑤(1%の体験記)」だった。恒例の投票もしてきたぞ。
今公式サイトを見ると、この投票の結果発表もされていたけれども、結果は以下の通りだったそうな。
- 1位 三塚新司《Slapstick》 ☆オーディエンス賞☆
- 2位 村上力《異形の森》
- 3位 因幡 都頼《幸辛物語》
1位と2位の作品は本記事でも紹介したものだな。
帰りに、以前向ヶ丘遊園界隈に住んでいたときによく行っていた、讃岐うどん「宗」さんでうどんを食って帰った。相変わらず美味かった。