さて、毎年行っている気もしますが、今年も川崎市岡本太郎美術館で開催されている、「第21回岡本太郎現代芸術賞」展に行ってまいりました。今回もうちの少年と一緒です。しかも既に2度も行ってしまいました(最初と2度目に行った時で全く展示が異なる作品もありました)。基本的に今回の「太郎賞」の受賞作品がすべて展示されているのですが、非常に数が多いので、気になった作品を中心に紹介していきましょう。
入り口そばで異彩を放っていた市川ヂュンさんの「白い鐘」。アルミ缶15,000個を溶かして鋳造したらしいアルミニウムの鐘。多分「アルミニウム製の鐘」という概念に相当する物自体、世界でここにしかなさそう。
自由にこの鐘を突いて鳴らせるんだけれども、思ったよりも普通だけれどもやっぱりアルミっぽい音がするところが風流。そして貼ってある千社札はストロングゼロだったり、金麦だったり。それにしてもこれ、むちゃくちゃ金かかってないですか…。
その隣にあったこの空き缶っぽいやつは、つい同じ作品の一部と思ってしまうんだけれども、実は塩見真由さんの「Mixed Juice」という別作品。空き缶っぽい物体の飲み口のところから流れ出すように置かれた謎の缶バッヂ?
ちなみに2度目に行った時は、こんな風に全く様変わりしていました。
床にズラッと並べられたこれ、木暮奈津子さんの「くらげちゃん」。材料は新聞紙で木工用ボンドで固められているらしい。
なんやわからんけど、とてもかわいい。
こちらが岡本太郎賞受賞作の、さいあくななちゃんの作品「芸術はロックンロールだ」。
THETAによる360度写真。何だかわからないけど結構な迫力だ。
さいあくななちやゃん「芸術はロックンロールだ」 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
こちらは吉田芙希子さんの「lovely lovely」。自身の憧れの男性像がモチーフの作品らしい。
結構ちゃんと立体してるところが面白い。ちょっと写真だとよくわからないかも知れないけれども、かなりの存在感のある作品でした。
近藤祐史さんの「Concretion Cave〜凝結の洞窟〜」。なんだろうこれは。なんか凄い苦しそうなんですけど。銅像が朽ちた状態の銅像…なのかな?
こちらもなんか手のあたりが…。
これは特別賞受賞作の、冨安由真さんによる「In-between」という作品。扉を開けて中に入るとなんか夜の部屋みたいな空間。
しばらくいると、電気製品がついたり消えたり、電話がいきなり鳴ったり、窓ガラスのあたりからラップ音がしたりと、ポルターガイストっぽい現象が時々起きる作品。実は今回の展示の中で一番気に入ったのはこれでした。うちの少年も気に入ったようで、出口の投票コーナーでは彼もこの作品に一票入れてました。
岡本敏子賞の、弓指寛治さんによる「Oの慰霊」。「O」って何かと思ったら1986年に自殺したアイドルのあの人らしい。2015年に作者の母が自殺し、そこから生まれた鳥のイメージを作品にしたらしい。
壁を埋め尽くす無数の鶏、足元に落ちていくテトリスのブロック、蛇のような、あるいはサソリのような謎の生物。
全体像はこんな感じでした。
弓指寛治「Oの慰霊」 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
笹田晋平さんの「シャケ涅槃会」。そこがシャケなのかよ! と思わず突っ込みたくなる仏陀のお召し物。いや確かにシャケだ。
前に並んでいる供物っぽいものもやっぱりシャケだ。
荒川朋子さんの「毛と肉」。なんか色々と…毛なのだ。
たとえば真ん中の灯籠のあたりを拡大すると…毛なのだ。他にも壁の「肉」という文字にも毛がいっぱい生えていたり。そんな「毛」ばっかりの作品。
ユゥキユキさんの「ユキテラス大御神✡天岩戸伝説」。なんか、妙にアニメ的と言うか、そんな絵柄の絵が飾られた部屋の右に、なんか異様な空間が。
どうもここは天の岩戸らしい。2回目に来た時は、多分作者のユゥキユキさんだと思うのですが、この岩戸の奥から、女性がこちらの方を「ちらっ…ちらっ」と覗いたりする、というパフォーマンスをされていました。そうか…これがいわゆる天の岩戸、…なのか。
藤本りかさんの「butterfly effect」。巨大な毛糸で編まれた服がぶら下がっていて…。
そこから下に置かれた椅子のところに毛糸を巻き取っていきます。つまりだんだんこの服は消滅していく…。うちの少年も少し引っ張って毛糸を巻いていました(もちろん、観客がそのように解いていくことを前提とした作品ですので勝手に破壊していたわけではありません)。
ちなみに2度目に来た時はこの有様…。会期終了にはまだ時間があるはずなのですが、既に消滅しかけていました。どうなるんだ?
橋本悠希さんの「拓」。作品の素材は和紙にインク、スマートフォン…。
割れたiPhone3GSの魚拓…的なものと、その現物などが織りなす謎のマンダラのような人の形。
さらにガラスに彫り込んだような様々な模様。しかしこれだけの「材料」、どうやって手に入れたんだろうな。
ということで、今年もなかなか面白い作品がいろいろ展示されていて充実の作品展でした。会期は2018年4月15日(日)までです。お早めに。