xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

羽沢横浜国大から鶴見への定期券は「隣駅」の武蔵小杉までの定期券よりずっと安い、が…

さて、一昨年ふと気がついて調べた、鶴見駅・品川駅間の京浜東北線の定期券で、なぜか横須賀線の武蔵小杉駅と新川崎駅に「途中下車」できるという問題がありました。詳しくはその時のブログ記事を参照してもらうこととして、2019年11月30日に開業した相鉄連絡線の羽沢横浜国大駅でも色々とおかしな現象が生じているらしいということで、調べてみることにしました。

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ということで、前回書いた論理的な路線図をもとに、少し加筆して羽沢横浜国大駅を追加してみました(そして話の大筋に関係しない鶴見線などを削りました)。今回の話で重要な役目を果たすのは、羽沢横浜国大駅、武蔵小杉駅、そして鶴見駅です。

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ということで、まずは羽沢横浜国大駅の切符売り場の料金表から。この表に従って、武蔵小杉、横浜経由で鶴見駅に行く場合、武蔵小杉(310円)→新川崎(220円)→横浜(310円)→東神奈川(220円)→新子安(220円)→鶴見(170円)と、なんかおかしい料金の変動をする。武蔵小杉、川崎経由で行く場合も同様におかしい。

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さて、ここで疑問となるのが次の点です。

  • 羽沢横浜国大・武蔵小杉間の定期券と羽沢横浜国大・鶴見間の定期券は、きっぷと同様に後者の方が安いのか?
  • もし羽沢横浜国大・鶴見間の定期券の方が安いのであれば、その定期で武蔵小杉などに下車できるのか?

もし後者が成立するのであれば、羽沢横浜国大・武蔵小杉間の定期券を買うくらいなら羽沢横浜国大・鶴見間の定期券を買ったほうがずっと安い、ということになりそうです。

ということで、定期の価格は「ネットde定期」サイトで調べてみましょう。

www.jreast.co.jp

羽沢横浜国大・武蔵小杉間は1ヶ月9,220円。

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羽沢横浜国大・鶴見間は1ヶ月5,270円。

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ということで、圧倒的に羽沢横浜国大・鶴見間が安いのです。ということなので、実際に武蔵小杉などに下車できるのか、まあ、誰かに聞けばわかるのかもしれないけれども、やはり自分でちゃんと試してみたくなるじゃないですか。

ということで、試してみることにしました。新川崎駅で羽沢横浜国大・鶴見間のSuica定期券を購入。たしかに5,270円だな。とりあえず1,000円チャージした状態でテストしてみましょう。

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…と思って新川崎駅の自動改札を通ると、さっそく「SF利用」の文字。定期券区間内ならば通常は「定期利用」の文字が出るはず。

まあ、鶴見・品川間の定期の問題を考察したときの経験から一番ありそうな定期券区間内の範囲は次の図の青い色の駅なのだけれども…。

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もし南武線経由のこちらの方が正しければ、新川崎では「SF利用」が出てもおかしくないかも。ということで、双方に含まれる区間である武蔵小杉・羽沢横浜国大駅間の移動が「SF利用」扱いされるのであれば、残念な定期券説が確定することになります。

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ということで、武蔵小杉で一旦途中下車しました。新川崎駅から武蔵小杉駅まで、ごく普通に136円課金されていました。そして肝心の武蔵小杉駅から羽沢横浜国大駅への移動です。この電車のデザイン、なかなかいいよね。

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それにしても、Twitterでも話題になっていたけれども、羽沢横浜国大駅のこの車内表示、本当に「2013年6月現在」(画面右下に小さく書かれている)となっているのね。

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はい、それはともかく武蔵小杉で「途中下車」ができるかという結果です。できませんでした。武蔵小杉から羽沢横浜国大まで、168円課金されました。ん、168円? 鋭い方は最初に示した切符の料金表で、羽沢横浜国大駅から武蔵小杉駅まで、310円だったということを記憶しておられるのではないでしょうか。IC運賃であれば308円となるべき場所です。

少し考えればわかりますが、この料金はおそらく鶴見駅から武蔵小杉駅までの料金でしょう。つまり、武蔵小杉から羽沢横浜国大まで行ったのだけれども、定期券の区間内で最も武蔵小杉駅まで安い駅は鶴見駅であり、そこから武蔵小杉駅までの料金が課金されているのです(2019年12月4日:鶴見から羽沢横浜国大と書いていましたが、修正しました。ご指摘ありがとうございました)。

まあ実際、武蔵小杉駅から羽沢横浜国大駅に行く場合、物理的にはまずは新川崎駅のところを通り…。

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さらに鶴見駅の横を通って行くわけで、実際の課金が鶴見駅から羽沢横浜国大駅になるというのはまあ物理的な構成を考えると全く直感に沿った運用だと思います。

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羽沢横浜国大駅、開業したてなので写真を撮っている人が非常に多いです。

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駅の前の道路は環状2号。しょっちゅう車で走っているところですが、こんな場所に駅を作っていたなんて全く気が付きませんでした。

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ということで、やっとまっとうに羽沢横浜国大から鶴見まで定期で行くことに。埼京線の電車が相鉄線に乗り入れているというのは、なんか以前西武線や東武線が東横線に乗り入れ始めた頃の衝撃に匹敵するな。

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鶴見駅到着。途中、二度鶴見駅を通過し、三度目にやっと到着するという実に釈然としないルートです。

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物理的なトポロジーを考慮した路線図を書くとこんな感じです。まずは羽沢横浜国大から武蔵小杉まで相鉄直通線で移動しますが(図中①)、この際に鶴見駅と新川崎駅の横を通過します。そして武蔵小杉から横須賀線で横浜まで移動しますが(図中②)、ここで再度新川崎駅と鶴見駅の横を通過します。最後に横浜駅から京浜東北線で鶴見駅まで移動します(図中③)。

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要するに、旅程中3度も鶴見駅を通過するルートとなっており、非常に車窓を見てイライラさせられるルートとなっています。まあこの図を見れば、なぜ羽沢横浜国大駅から鶴見駅のほうが、羽沢横浜国大駅から武蔵小杉駅よりも運賃が安く設定されているかはある程度納得できると思いますが、あらためてこの図を見直すと、鶴見駅界隈の悲願だった(らしい)、相鉄直通線の鶴見駅停車をもし実現してくれていれば、こんなややこしい事にはならなかったのにな、と思うのです。

まあ、現実問題としては羽沢横浜国大駅から鶴見駅まで通勤するなら、相鉄で横浜に出るルートのほうがずっとオススメなのですが、定期券台が1ヶ月で相鉄線の羽沢横浜国大・横浜駅間が1ヶ月8,960円、JRの横浜・鶴見間が1ヶ月5,270円、つまり合計14,230円と、JRのみで羽沢横浜国大駅から鶴見駅まで購入する場合の5,270円と比較して倍以上高いわけで、通勤経路は最低運賃以外認めないとかいう頭の固い会社だったりすると、通勤経路の選択に関して悩ましいことになりそうではあります。

というわけで、結論としてはこうなるわけですが…。

  • 羽沢横浜国大・武蔵小杉間の定期券と羽沢横浜国大・鶴見間の定期券は、きっぷと同様に後者の方が安い(前者は1ヶ月9,220円、後者は1ヶ月5,270円)
  • ただし、羽沢横浜国大・鶴見間の定期券は、一切途中通過駅で無料で途中下車できない、非常に使い勝手の悪い定期券である(ただし、鶴見起算で距離計算されるため、羽沢横浜国大・武蔵小杉間など、多少通常の運賃よりは途中下車の料金が安くなる場合がある)。

とても便利に使える鶴見・品川間の定期と違って、楽しいことのなにもない話ではあります。自分もこの定期、多分もう二度と使うことはないでしょう(武蔵小杉や新川崎に降りたいなら、既に鶴見・品川間定期を持っているので無料で「途中下車」できるのです)。

とまあ、実験してみた結果の話をしてきたのですが、JRの規則的にもちゃんと根拠はあって、品川・鶴見間定期の話のときに紹介した「運賃計算の特例」ページにも早速この区間が記載されています。

次の各区間をご利用になる場合は[ ]内の太線区間のキロ数は含めないで計算します。同区間内では途中下車できません。


...(略)...


横浜以遠(保土ケ谷または桜木町方面)の各駅と羽沢横浜国大駅との各駅相互間[鶴見~武蔵小杉]


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新川崎駅と羽沢横浜国大駅間との各駅相互間[新川崎~武蔵小杉]


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鶴見、新子安、東神奈川または川崎以遠(蒲田または尻手方面)、国道以遠(鶴見小野方面)もしくは大口以遠(菊名方面)の各駅と羽沢横浜国大駅との各駅相互間[鶴見~横浜、新子安~横浜、東神奈川~横浜、鶴見~武蔵小杉]


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出典:JR東日本公式サイト 「運賃計算の特例」

今回のケースは最後の1例が該当しますね。そしておそらく、南武線経由(武蔵小杉から川崎まで南武線で移動する)のルートは、やはり特例として設定されていないようです。

ちなみに、このようなケースは羽沢横浜国大だけがあったわけではなく、たとえば鶴見・横浜間の定期券(1ヶ月5,270円)よりも鶴見・新川崎間(横浜経由)の定期券(1ヶ月4,940円)のほうが安い、ただし横浜・東神奈川・新子安では無料の途中下車は多分できない、などがあったわけですが、今回の例ほど激しい価格差があることは珍しいのではないでしょうか。

なお、おそらく逆のケースとして、羽沢横浜国大駅から武蔵小杉駅への定期券を持っていた場合は、鶴見駅や新川崎駅に「途中下車」が可能と思われます。これは、武蔵小杉以遠にJRで移動する場合も含まれると考えられますので、たとえば相鉄区間から武蔵小杉経由で新宿方面に行く定期を持っていた場合、おそらく新川崎駅や鶴見駅で「途中下車」する権利が付録してくるでしょう。

そのような人たちにとって両駅がどれほど魅力に溢れたものはわかりませんが、一応地元住人としてはとりあえず、鶴見駅近くの鶴嶺峰ってラーメン屋は美味しいぞ、くらいは言っておきます。今回も寒かったので途中鶴見駅で鶴嶺峰のラーメンを食べてきました。つけ麺の有名なお店ですが、ラーメンも絶品です。

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まあ、あまりに使えない定期券なので、今回買った定期を二度と使うことはないでしょう…。