さて、そろそろ8年前のアニメとなる「サクラダリセット」の、今更ながらというか、久々の聖地巡礼記事。だいぶ前から積み残していた2件の場所を2024年中に巡ってきたので、遅くなったけれどもまとめておこうと思う。それは咲良田のあの「灯台」のモデルだ。
なお、これ以外のサクラダリセットの聖地巡礼レポートは、概ね以下の2つの記事にまとまっている。
xckb.hatenablog.com
xckb.hatenablog.com
今回の目次。
注:記事中のAmazonへのリンクは、アソシエイトプログラムで収益化しています。
咲良田の灯台の特徴とモデルの候補
まずは以前の記事で触れた通り、灯台の遠景のモデルは茨城県の日立灯台と思われる。
だが、風景全体としては非常に近いのだが、肝心の灯台自体のデザインは大きく異なっている。

出典:「サクラダリセット」第8話
咲良田の灯台の、建造物としての特徴は以下のようになっている。
- 灯台の外側に階段があり、それを使って人が登れるようになっている。
- 外側の階段がなぜか塔を一旦貫通しているという、意味不明な構造をしている。
出典:「サクラダリセット」第7話
常識的には、この階段が塔を一回貫通する意味は全くないと思われるので、これに関しては劇中での使われ方(浅井ケイを一時的に閉じ込める)を前提としたただの舞台装置としての設定としか言いようがないな。
ところで、階段で登ることのできる灯台というものを検索してみると、全国で16基と言われているようなのだけれども、この中で外側に階段があるのは静岡県の初島灯台だけである。
ただしこれら16基の灯台には、たとえば人が登れることが確実であり、なおかつアニメの舞台としても何度も使われている神奈川県の江の島灯台(シーキャンドル)も入っていない。調べてみると、実はこれらの16基は「公益社団法人燈光会が海上保安庁から委託を受け、参観事業を行っている」灯台であり、独自に事業を行っている灯台や自由に登れるようになっている灯台は含まれていないらしい。
ということで、さらに探索の範囲を広げると、先ほどの静岡県の初島灯台に加え、長崎県の大バエ灯台(大碆鼻灯台)も候補に入りそうだ。そして自分の調査では、これら2基以外に日本で外側に階段のある灯台は見つからなかった。
そしてこれら2基の灯台のいずれも、サクラダリセットの灯台のモデルになっている可能性があるのでは、と思うのだ。特に共通点が多いと思われるのは大バエ灯台である。ではこれらの2基の灯台の双方に、2024年中に行ってきたので、それぞれ紹介しよう。
長崎県・大バエ灯台(大碆鼻灯台)
大バエ灯台は、正式名称は大碆鼻灯台(おおばえはなとうだい)といい、長崎県の生月島北端にある。佐世保方面から海にかかる橋を2つ越えて行けるのだが、公共交通機関で行くことは困難なのでお勧めできない。
崖の上に立っている灯台で、このように外側に階段がついており、誰でも自由に登ることが可能となっている。

特にこの灯台の上部は、灯台の光を出す部分や、その上についている避雷針などの構造物などから考えて、そっくりそのままではないものの、明らかにモデルになっていると言えるのではないだろうか。


出典:「サクラダリセット」第7話
大バエ灯台は、全体として平たい構造をしているが、咲良田の灯台はこれを丸くしているのも大きな違いである。。

なお裏側に回っても、避雷針などのところに登れるようにするためのハシゴは、大バエ灯台には存在しない。

避雷針の形は劇中とほぼ同じだ。その横の照明のように見えるものは、実際には航空障害灯だろうか? だとすると実際は夜は赤く光っているはず。

灯台の上から見た実際の風景との比較。まあ、似ていると言えば似ている気もするが…。

出典:「サクラダリセット」第7話
また、階段の最下部の形状も、劇中の灯台と似ているように思う。ということで、こちらも咲良田の灯台のモデルになっている可能性は高いと思われる。

出典:「サクラダリセット」第8話
静岡県・初島灯台
次は熱海の沖に浮かぶ離島、初島にある初島灯台。アクセスは熱海港から船が出ている。
こちらも小さな灯台である。

初島灯台が、劇中の咲良田の灯台に似ている点はこの下の方の建物である。壁の色と扉の雰囲気。どちらもちょっとずつ違うし、実際には庇がなかったりするけれども、全体としての雰囲気は結構似ている。

出典:「サクラダリセット」第7話
階段で登るところは、初島灯台は右奥に存在しているが、劇中では左側に存在している。まあ先ほども述べたとおり、こちらは初島灯台よりもむしろ大バエ灯台の方が共通点が多いように思われる。

出典:「サクラダリセット」第7話
「外側に階段のある灯台」から咲良田の灯台へ
外側に階段のある灯台ということで見つかった2基の灯台が、いずれも咲良田の灯台と共通点を持つことは、決して偶然ではないように思う。
原作第2巻での記述はこうなっている。
灯台には大きな扉があるけれど、鍵が掛かっていて開くことはできない。ケイは軽く扉をノックしてから、左脇にある鉄製の階段を目指す。灯台の外壁を折れ曲がって伸びる階段だ。ぞんざいに張られた黒と黄色のロープから、立ち入り禁止の看板がたれていた。一跨ぎでそれを乗り越える。
…(略)…
ケイは黙々と階段を上る。やがて階段が途切れて、灯台を周回する通路が現れた。階段と通路の間には鉄格子でできた扉があるけれど、その扉の鍵が壊れていることは、七坂中学校では常識的に知られていた。今だって扉は、大きく開け放たれている。
出典:河野 裕 「魔女と思い出と赤い目をした女の子 サクラダリセット2」(角川文庫)
このように灯台の外側に階段があることは、原作で触れられている事項なので、アニメ製作時にモデルとしてそのような灯台の存在を調べたことは想像に難くない(ただし、灯台を貫通してそこに扉があるような記述はないので、貫通まではしなくても良かったのではないかと思わないでもない)。
そうすると、おそらく同じ2つの灯台、大バエ灯台と初島灯台が発見されたのではないか。そのため、この2つの灯台から特徴を抜き出し、咲良田の灯台という1つのキメラ灯台を作り上げた可能性はあると思う。なんか同じルートを辿って同じ場所にたどり着いたみたいでなんか楽しいな。
ということで、サクラダリセットはいいぞ。
おまけ:針尾送信所(長崎県)
撮影のためにせっかく長崎まで行ったのだが、今だったら「きみの色」の聖地巡礼にもついでに行けたのにな、と思ってしまうのであるが、まあこの時は実は「ガールズバンドクライ」の熊本編の聖地巡礼もしてきたのである。
ともあれ、灯台ついでに塔の話だ。
実はこの時、ついでに佐世保の針尾送信所にも行ってきたのだ。かつて長波アンテナとして使われた135メートルの円錐状のタワーが3本、正三角形状に並んでいる旧軍施設である。

3号塔は中に入って見学することも可能である。写真だと巨大さが伝わらないかもしれないが、なんというか、デススターの砲塔内部、といった感じである。すごい迫力だ。

実は昔ハウステンボスに行った時に、はるか彼方に見えたこの3本の謎の塔がずっと気になっていたのだが、ついに内部まで入れたということで大満足である。これはその時(2011年)の写真で、右上に針尾送信所のアンテナが3本写っている。

あと、食べ物で言うと、佐世保駅前の「香蘭」というお店のちゃんぽんは実に最高だったな。








