xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

コザのキャバレー跡に泊まろう「トリップショットホテルズ・コザ」:小1少年との沖縄旅行(2)

今回の沖縄の旅、先ほどの記事で書いたとおり、初日の宿はゆいレールの駅からの近さで選んだのですが…。

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それ以降の宿2件は「廃施設をリノベーションしたホテル」に泊まるというテーマでプランを組みました。ということで、2泊目に宿泊することにしたしたのは、コザのパークアベニュー界隈の、廃業したバーやステーキハウスや理容室などの施設をリノベーションしてホテルとして営業している「トリップショットホテルズ」です。

そしてその部屋の中でもひときわ異彩を放っている、フィリピンキャバレー跡をリノベーションした「CENTRAL」という部屋が空いていたので、迷わず予約しました(一応、子連れで泊まっても良いことは確認しました)。

コザの街に関する知識がないとちょっとわかりにくいかと思いますが、コザは嘉手納基地の城下町的な街であり、昔から米軍関係者対象の店がたくさんある、アメリカンな雰囲気の漂う街です。その中のフィリピンキャバレーってところが実に濃いと思うのです。

そんなわけで早速チェックインしました。室内はこんな感じ。すごいぞこれ!

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THETA Vで360度写真を取るとこんな様子です。できるだけ店内のもとの美品や装飾、そして落書きなども生かした形でリノベーションしているとのこと。

トリップショットホテルズ・コザ「CENTRAL」 - Spherical Image - RICOH THETA

宿の人に聞いたのですが、実は最近出た宮本浩次の新曲「昇る太陽」のMVに、この「CENTRAL」の部屋がロケに使われたらしいということで、早速部屋でYouTubeで検索してMVを見てみると…本当にそのまんまだ! まさにこの部屋で宮本浩次を撮ってるじゃないか。しかも本当に1、2週間前にリリースされたばっかりじゃないか。すげえタイミング。

www.youtube.com

ここの目の前の通りであるパークアベニューも無茶苦茶カッコよく撮影されていて、さすがプロはすげえなぁ、と思った次第。

昇る太陽(初回限定盤)(DVD付)

昇る太陽(初回限定盤)(DVD付)

  • アーティスト:宮本浩次
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: CD

バーカウンターから客席側を見るとこんな感じ。バーでバイトとかしたことがないのでこの視点はなんか新鮮。ちなみにキッチンにはIHや電子レンジなども用意されていて、冷蔵庫もちゃんと冷凍室と冷蔵室の分かれたものが置いてあるから、簡単な調理なら十分できそう。

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このボトルとかも、もともとのキャバレーに有ったものを再利用したとのこと。うちの少年、バーカウンターに入って、なぜかむっちゃ楽しそうにバーのママのように演技していたんだが、一体どこで勉強したんだその知識?

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沖縄Aサイン連合会のマーク。リアルな軍政時代のAサイン認定証明書じゃなくて、連合会による米軍関係者歓迎のマークですね。とは言え、実際にこの店は本物のAサインの店だったようですが、それについては最後の方で触れますね。

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カウンター横には、風俗営業管理者講習のマークが平成4年と平成14年のものが残っているので、おそらく平成14年から24年の間に閉店したのでしょうか。特別地方消費税とか、懐かしい!

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バーカウンターからのTHETA写真。

トリップショットホテルズ・コザ「CENTRAL」 - Spherical Image - RICOH THETA

ベッドはこの室内に用意されていて、今回は子供の分のエクストラベッドを1つ足してもらって利用しました。トイレはもともとの男子トイレが浴室に、女子トイレが本当のトイレに改修されています。室内には従業員用のロッカーも残されているのですが、うちの少年が全部開けてしまいました(笑)。各種アメニティなどの収納に使われているようです。

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懐かしのブラウン管ビデオゲーム内蔵テーブル。昔のゲーセンとかこういう筐体ばかりだったよね。もちろん今は動かないけれども、ゲームは「ギャラガ」と「1942」。ギャラガは無茶苦茶懐かしいけれども、1942って米軍機(P-38)に乗って日本軍機を落としまくるゲームだよな(カプコン制作)。

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こんな感じの壁の落書きとかはそのまま残しているようです。

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建物の入口はどんな感じかというと…これはまさに廃業状態的な感じ。この扉を開けて階段を登ると2階に部屋があります。

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階段を登ったところにあるネオンサインなど。残念ながらもう光らない。うちの少年「十八才」「立入禁止」くらいは漢字が読めたようで、「十八才未満立入禁止」を指して「どういういみ?」と訊いてきました。

「18歳より若い人は入っちゃ駄目って意味だよ」
「えっ…」(←6歳)
「あ、もとのお店がそういう場所だったということね」
「どういうお店なの?」
「いい質問だ! …大人にお酒を飲ませるお店だよ」

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2階から反対側を見るとこんな感じ。ここも落書きがそのまま残されています。

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ここもTHETAで360度写真を撮ってみました。

トリップショットホテルズ・コザ「CENTRAL」 - Spherical Image - RICOH THETA

さて、ここでちょっとこの部屋の前身の店について興味が出てきたので、調べてみるとこんな資料が見つかりました(なお「センター通り」は現在の「パークアベニュー」に相当する)。

『クラブと同様、米兵の利用するレストランもまた、Aサイン制度にもとづく営業であった。センター通りには、西側に「NEW YORK RESTAURANT」、「TIGER RESTAURANT」、「琉球レストラン」、「MG RESTAURANT」、そして東側に「US RESTAURANT」、「レストランぎおん」、「CENTRAL RESTAURANT」が立地していた。「NEW YORK」と「US」を除くと、いずれもクラブとの併設である。』

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「第3図 センター通りにおける商業構成(1970年8月)」の一部


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「付表2 センター通り(北・東側)の商業構成」の一部


出典:基地都市コザにおける歓楽街「センター通り」の商業環境 ―1970 年「事業所基本調査」の分析から―

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/649/649PDF/kato.pdf

なるほどこの図中の「CLUB CENTRAL」(1960年開店)がこの部屋で、1階はかつて「CENTRAL RESTAURANT」(1952年開店)という名前の、同系列のレストランだったのね。表で100とか0とかなっている項目は外国人顧客率。ということはこのクラブもレストランもどちらも100%米軍関係者向けの店だったということか。なんかこういう歴史が見えてくるのって面白いな。

まあ、建物自体は一度建て替えされている可能性もあるとは思うけれどもね(もし1階のレストランと一緒に1952年に建てられたなら、そのままの建物だと築70年近いことになるし、2階のクラブ開店時に建てられたなら、1960年でやはり築60年近いので)。

ちなみにかつて「CENTRAL RESTAURANT」だったかもしれない1階は、現在は新しい飲食店がオープン準備中でした(その前はタトゥーショップだった模様)。

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夜は、このトリップショットホテルズ・コザのフロントも兼ねているプレイヤーズ・カフェというお店で、店員をされているスタッフの方に、このホテルに関する話とかを伺いました。コザは結構商店街もパークアベニューもシャッター街化している傾向があるので、こういう試みはとても良いと思います。

あ、そういえば隣がライブハウスのようで、壁の向こうから爆音が漏れ聞こえてくる中で、男子トイレ跡でシャワーを浴びるとか、なかなか稀有な体験もできました。でも寝るのに問題があるというほどの音量ではなかったですよ。

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ちなみに朝食はついていない素泊まりのみのため、今回は朝に少年と一緒に近くの「上間てんぷら店 ゴヤ市場」に行って朝食を買ってくることに(コンビニでもいいのですが、やっぱりこっちのほうが風情があります)。ここは沖縄天ぷらとか…。

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弁当・おにぎりなどが売られています。

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なんかこういう沖縄B級グルメ的な食べ物を、こういう部屋で食べるのはなんか面白い。しかも宮本浩次の座ってたテーブルで(笑)。

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ということで、コザの街が好きで、ちょっと変わった宿に泊まってみたい…という人にはとてもオススメだと思います。ちなみに「CENTRAL」はこのホテルの中でも一番広い、なんと面積98平米。ぜひ!

hb.afl.rakuten.co.jp

さらに沖縄のリノベーション系ホテルに関して続きます。

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