xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

ドローン用の360度カメラ、Insta360 Sphereを数日使ってみて:評価の急上昇とドローン登録システムへの修正申請

さて、先日ファーストインプレッション記事を書いたドローン用の360度カメラのInsta360 Sphereに関して続報を書いてみよう。前回の記事はこちら。

xckb.hatenablog.com

で、単刀直入に書くのだが、このカメラやっぱり凄いぞ! といきなりの評価大幅上方修正だ(前回はコンセプトは良いが色々荒削りではという評価)。なぜここまで評価が向上したかというと、やはりというかなんというか、一度付けた粘着式レンズ保護カバーを外したのだ。

store.insta360.com

ファーストインプレッションでは、どうしてもスティッチング(2枚の魚眼レンズによる画像をデジタル処理で繋ぐ部分)の処理の荒さが気になっていたのだけれども、ほぼ同時に買ったInsta360 ONE X2(レンズ保護カバーをつけなかった)でのスティッチングの見事さを見るに、その欠点がレンズ保護カバーに起因するという疑いを捨てきれなかったのだ。

Insta360 Sphereは物理的な構造上、スティッチングの面がほぼ常にリフレーム済み動画で一番目立つ方向となるため、ONE X2以上にスティッチングの処理が目立つにもかかわらず、このレンズ保護カバーのせいでスティッチング処理が悪化している可能性を否定できなかったのだ(もちろん、Insta360 Studioなどのソフトなどからもレンズ保護カバーは自動検出され、それに合わせた処理を加えられるのだが、それでもどうしても気になってしまうのだった)。

というわけで、現在は保護カバーを外してレンズが直接露出しているこの状態だ。機体を地面に置いたときに、機体下部のレンズがカバー無しに接地する。

つまり、いくらランディングパッドを敷いていても、離陸時に飛び散った砂や風に吹かれて飛んできた砂ががランディングパッド上にあったら着陸時にザラっとレンズが傷つきそうだし、もちろん操作を誤ったり自動着陸をキャンセルできなかったりして少しでもランディングパッドをはみ出して着陸したらあっという間にレンズは傷だらけだ。やっぱり着陸時が危険だな。

ということで、現在は離陸はランディングパッドから行うが、着陸はハンドキャッチにしている。決してハンドキャッチをお勧めはしないし、そもそもInsta360 Sphereのガイドラインにもハンドリリースやハンドキャッチはしないようにと書いてあるのだが、まあそれはそれだ。怪我をしないように十分に気をつけてキャッチしよう。そういう点では未だ荒削りという評価は継続かも知れないのだが。

そんなことで、レンズ保護カバーを外して撮った動画がこれだ。まずはリフレーム版動画。いやーそうなんだよこれだよこれ! なんと言ってもInsta360とドローンの組み合わせだろ、俺はこういう動画をまさに撮りたかったんだよ。最高だな!

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ちょっと静止画を何枚か切り出してみるとこんな感じだ。通常のドローン撮影では非常に困難なダイナミックな構図の移動や、ありえないほどの超広角の魚眼表現が簡単にできるのが最高すぎる。そしてドローン自身の姿はまったく写らない。まさにinvisible droneだな。

こちらが単眼360度VR動画版。スマホやタブレットだとYoutubeアプリで見ないと360度動画に対応していない可能性があるので、埋め込み動画の下に併記したURLから、YouTubeアプリに移動してご覧いただければと思う。ぜひ視点をぐりぐり動かしてみていただきたい。PCのブラウザなら普通に再生でOK。

www.youtube.com
単眼360度VR動画のURL:https://www.youtube.com/watch?v=cMMa00ZGQGg

このように、前回のファーストインプレッションでは非常に気になったスティッチングのずれ(色々Insta360 Studioアプリでスティッチングの調整をしたがなかなか満足のいく具合にはならなかった)は、今回はほとんど気にならない。その多くはおそらくレンズ保護カバーを外したことによるものだが、さらに今回わかったノウハウとしてはこんな感じだ。

  • 急加速や急減速などを行うとスティッチングが乱れがちになる傾向があるようなので、それらの急な動作はなるべく控える
  • それでもスティッチングが乱れてしまったらリフレーム時に水平方向の画角から可能な限り外す

…と、いうわけで非常に満足度が向上したのだが、まああとはこの倍の解像度と倍のフレームレートがあればもっといいと思うよ。今の仕様だと5.7Kだと30fps、4Kだと50fpsいけるが、願わくば12Kくらいまでいけると、リフレーム時に拡大率大きめで切り出しても十分な画質が確保できて最高だと思う。さらにフレームも60fpsくあったら言うことない。まあこの仕様だとmicroSDがついてこれないと思うけど。

リフレーム動画は、撮影した動画情報のほとんどを捨てているというのも事実で、なんと勿体無い…という考えもあるだろうが、俺は最初にWebブラウザというものを見たときに、ネットから読み込んだ画像ファイルをチラッと見ただけで保存せずに捨ててるとか信じられない、とか思ったことを記憶している旧世代の人間というかインターネット老人会の会員なので、今ではそういう無駄は「良い無駄」だと積極的に考えるということを過去の人生から学んでいるぞ。

ちなみにハンドキャッチを行う場合は、やはりコントローラを首掛けすることは事実上必須だろう。自分はこちらのホルダー(DJI Air 2S対応)に適当なネックストラップをつけて首にかけているが、まあ類似のものは色々ある。

また、万が一ハンドキャッチできない事態に備えて、ランディングパッドも今よりも大きめのものを用意したほうが良いかもしれない(これはまだ買ってない)。今持っている一番大きいやつは直径80cmなので、これ以上大きいやつというと明らかに業務用のMATRICEとかも使える110cmとかになるのだが、明らかにAir 2Sにはオーバースペックな上に、歩く時にかさばるんだよなぁ…。

そういえば粘着テープが強すぎて、外す時にレンズ保護カバーが物理的にぶっ壊れてしまったのだが、これは多分Insta360 ONE RS用のカバーと同じものだと思うので、こちらを買えば多分なんとかなる(Insta360 SphereはONE RSの360度レンズをバラバラにしてドローンの上下に取り付けたもの、という認識だ)。

ところで国土交通省のドローン登録システムのマニュアルをよく読むと、機体寸法と機体重量に±10%以上の変動があった場合は機体情報の変更手続きが必要らしい。思いのほか厳しい。

登録時に申告された機体重量、最大離陸重量、機体寸法のいずれかの値に±10%以上の変動があった場合、機体情報の変更届出の手続きが必要です。なお、動力方式の変更(例:単発機から双発機、エンジン機から電動機への改造)、操縦方式の変更・追加(例:FPV機能、自動操縦機能の追加)などの大規模な改造の場合は、別型式の機体として自作した機体として新たに登録をし直していただく必要がございます。

出典:ドローン登録システム・よくある質問 https://www.dips-reg.mlit.go.jp/drs/question.html

まあこれを厳密に適用するとプロペラガードやランディングギアなども対象として入ってしまうと思うのだが、それでも重量197gで30%以上も重量がアップし、しかもサイズが上にも下にも合計60%も出っ張るInsta360 Sphereは、流石に申請しておいた方がいい、のかもしれない。

でも修正申請したら、今度はInsta360 Sphereを外して飛ばす時もまた申請し直しになるのだろうか。疑問は尽きないが、まあその辺りはプロペラガードやランディングギア相当にお目こぼしをいただきたい、ということで、一応修正の申請をしてみることにした。申請内容はこんな感じ。


  • 改造の有無は「あり」。まあこの規模のオプションをつけるなら改造と言ってもいいだろう。
  • 機体画像は、25kg未満の機体の場合は外面が分かる写真1枚で良いので、Insta360 Sphereを取り付けた状態の機体全体が写っている適当な写真を添付した。
  • 機体重量は本体595gとInsta360 Sphereが197gで合計792g、単位がkgなので0.792kg。
  • 最大離陸重量はもともとDJI Air 2Sには定義されておらず、わからない場合は機体重量を書けということになっているので同じく0.792kg。
  • 機体寸法は高さが変更となり、0.077mから0.125mに。
  • 改造の概要として「Insta360社のカメラInsta360 Sphereを取り付けた」
  • 安全性の確認はどちらもチェックOK。

これで申請してみたところ、一応3日くらいで申請OKとなった。とはいえ、これで実際に人口密集地やイベントなどで飛ばす場合に許可が出るかどうかは多分別問題なので注意が必要かと思う(自分は国交省の許可の不要なエリアでしか飛ばしていない)。

また、Insta360 Sphereを取り付けたことで、以前貼り付けた機体IDのテプラが隠れてしまったので、改めて別の場所に貼ることとした。一応、文字サイズのレギュレーションを満たす、テプラの6mm強粘着テープで機体IDを印字して、機体後方のこちらと…。

機体上方のこちらの2箇所に貼り付けることとした。電池に貼り付けるのはNGなので、まあ貼り付けられる場所はこのくらいしかないかと。

Insta360 Sphereは、少なくとも日本では現在のところ、まだInsta360公式サイトのストアのみでの販売のようだ。AmazonなどのInsta360公式では扱っていない。ドローン初心者には全くお勧めできないカメラではあるが、非常に面白い製品であると言えるだろう。

store.insta360.com

というわけで、現在自分はこのカメラが非常に気に入っている。どういう活用が可能か色々と考えてみたい(遠方まで持っていく用途はDJI Mini 3 Proにおまかせする事として…)。