さて、毎年恒例の俺が見たアニメ私的ランキング、行ってみようか。
まあ以前のランキングを見て貰えばわかると思うけれども、あくまで俺の独断と偏見による俺が気に入ったアニメのリストなので、世に言う明らかな失敗作だろうが駄作だろうが、俺が気にいったのであればバンバン上位に載せていくぞ。減点法よりも加点法、というようなポリシーで毎年好き放題書き殴っているので、まあ異論反論あろうが一切受け付けないのでご容赦あれ。
あと、今回はOP/ED曲がかなり豊作で絞りきれなかったので、例年ベスト3までにしているアニソンOP/ED曲部門をそれぞれベスト5まで挙げることにしたぞ。
というわけで、今回の目次。
対象作品リスト
評価対象は、2021年に俺が全話見た新作TVアニメと、俺が劇場に観に行った新作劇場版アニメだ。昨年からコロナ禍で劇場版を見にいく回数が寂しい限りだけれども、それでも昨年よりは多少マシになったかな。そういえば今年は映画館といえばチネチッタしか行ってない気がする。
- 2021年冬アニメ
- 裏世界ピクニック
- オルタンシア・サーガ
- 回復術士のやり直し
- 蜘蛛ですが、なにか?(第1クール)
- 弱キャラ友崎くん
- 進撃の巨人 Final Season(第1クール)
- BEASTARS(第2期)
- ホリミヤ
- 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~(第1クール)
- ゆるキャン△ SEASON2
- Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season(第2クール)
- ワンダーエッグ・プライオリティ(完結は6月に延期)
- 2021年春アニメ
- イジらないで、長瀞さん
- 86 ―エイティシックス―(第1クール)
- ゴジラ S.P<シンギュラポイント>
- シャドーハウス
- スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました
- スーパーカブ
- 聖女の魔力は万能です
- ゾンビランドサガ リベンジ
- SSSS.DYNAZENON
- ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
- Vivy - Fluorite Eyeʼs Song-
- 不滅のあなたへ
- 2021年夏アニメ
- 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X
- カノジョも彼女
- Sonny Boy
- 白い砂のアクアトープ(第1クール)
- 精霊幻想記
- 探偵はもう、死んでいる。
- NIGHT HEAD 2041
- 100万の命の上に俺は立っている 第2シーズン
- ぼくたちのリメイク
- マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-
- 2021年秋アニメ
- 86 ―エイティシックス―(第2クール、ただし最終2話が2022年3月に延期)
- 白い砂のアクアトープ(第2クール)
- takt op. Destiny
- 月とライカと吸血姫
- ブルーピリオド
- 見える子ちゃん
- 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~(第2クール)
- 2021年劇場アニメ
- アイの歌声を聴かせて
- サイダーのように言葉が湧き上がる
- シドニアの騎士 あいつむぐほし
- シン・エヴァンゲリオン劇場版
- 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア
- 竜とそばかすの姫
TVアニメ・ベスト10
ということで、毎年のことではあるけれども、出し惜しみなく1位からバンバンいってみようか。
1位:ワンダーエッグ・プライオリティ(冬)
まあ俺が2021年に一番盛り上がったアニメといえばこれだろう。ワンダーエッグ・プライオリティ。俺にとってはリアルで懐かしい野島伸司脚本の初アニメだ。
上のPVを見てもらうだけでもわかると思うのだが、TVアニメとしては最上級の凄まじい作画密度で、これ進行大丈夫か、と心配していたら、第8話として万策尽きた総集編を放送。そしてその後のスタッフリストからも明らかな総力戦体制でなんとか予定の話数をこなしたが、総集編の分がはみ出して、最終回が特別編の形で3ヶ月後の放送になってしまったという…(そういえばBEATLESSもそんな感じだったな)。
そんなわけで曰く付きアニメではあるのだが、それでも俺はこういうの最高に好きなんだよ。
出典:「ワンダーエッグ・プライオリティ」第2回
自殺した友人を持つ主人公の少女が、その友人を復活させられるという怪しい2人の男のマネキンの口車に乗って「エッグ戦士」となる。エッグ戦士が卵が入っているガチャを回すことで、かつて自殺した見知らぬ少女たちが謎の世界で束の間復活する。
その少女たちを「ミテミヌフリ」や「アンチ」などの雑魚モンスターの群れや、自殺の原因となったトラウマの化身である「ワンダーキラー」と呼ばれる怪物たちから救う。そういう形で自殺した少女たちを助けていくことで、エッグ戦士は友人を復活させるという目標に近づくという。
出典:「ワンダーエッグ・プライオリティ」第5回
一見、魔法少女モノの文法の延長線上の物語のように見せつつ、中盤から予想しなかった方向に物語が転がっていく。
色々と物議を醸したリアル最終回相当の特別編だけれども、俺はあれはあれでかなり気に入っているのだよ。詳しくは特別編の後に書いたこちらのブログエントリを読んでいただければと。
まあそこそこの近場(メインは千葉ニュータウン界隈)だったこともあり、2021年に聖地巡礼で一番舞台を訪問したアニメでもある。一体何度行ったんだろう印西。ワンエグに関しては、聖地巡礼関係のブログエントリも結局6回書いたな。カメラアングルを再現することで、あらためてこの作品の背景美術の素晴らしさを反芻できた感がある。
ところで、すっかり油断していたのだけれども、円盤第3巻の特典ドラマCDが無茶苦茶リアル最終回的な内容だったので、ああ、ここまで着地するまでの物語が見たいぞ、という気持ちにすごくなっている。
出典:「ワンダーエッグ・プライオリティ」第4回
ということで、まあ無理だろうなとは思うんだけれども、特別編のラストからこのCDにまで着地するまでのストーリーを、なんらかの形で見てみたいぞ、と思うのである。ということで、こちらの円盤のおまけCDは実にオススメなのだ。
ところで年末になってこんな動画(高橋沙妃 draws 乃木坂46「君の名は希望」| EGAKU #4)がいきなり発表されたってのはまたどういう経緯なのだろうか。そういえばキャラデザ、総作画監督の高橋沙妃さんという存在を認識したのもこの作品の収穫だったな、と。
Aniplex Online Fest 2021のメインイメージも高橋沙妃さんだったこともあり、今年一番印象に残ったアニメーターさんでもある。
2位:Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-(春)
2位はやはりVivy -Fluorite Eyeʼs Song-だろうか。「AIと歌」というモチーフとともに描かれるAIと人間の100年間の物語。
AI技術が進歩し続けて100年、人類をAIが滅ぼす事件が起こった未来。不幸な歴史を繰り返さないように、100年前の歴史に干渉しようとした科学者がいた。その歴史干渉の依代として使われたのが、史上初の自律型AIである歌姫AIのディーヴァ。彼女はヴィヴィという名前で、相棒AIであるマツモトとともに、人類滅亡を防ぐ「シンギュラリティ計画」を100年かけて遂行していく、というストーリー。
出典:「Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-」第2話
まあなんというか出てくる主要キャラクターの大部分がAIなんだけれども、実にみんないいキャラなんだよね。特にマツモト。あのうざい早口セリフが最高すぎる。実に良い語り部を演じていたと思う。
全体は概ね2話ごとに1部(第4部のみ第7, 8, 9話の3話)の6部構成の全13話なのだけれども、その間でさらっと普通に数十年単位で時が進む。そんな中で、第10話の「1話の中で数十年単位で時が進む」なおかつ「時が進んだ先でがっつりと伏線が回収される」ストーリーが特に素晴らしかった。こういう、ゆったりと時が流れているようで、実は数十年があっという間に過ぎていくような作品は昔から大好きなんだよね。つまり矢野絢子の「ニーナ」的なアレなんだよ。
出典:「Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-」第10話
loundraw氏のキャラクター原案も実に俺好みなんだけど、作画やアクションも素晴らしかった。特に6話。流石のWIT STUDIOさん。あの赤く光るドローンの群れが襲ってくるシーンは、カバネリの襲撃をはるかにパワーアップした感じで最高。
出典:「Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-」第6話
このシーンはCGのメイキング映像も公開されているけれども、本当にすごい。
とはいえなんと言っても一番光っていたのはまさに「歌」だな。どのキャラクターたちも実に印象に残る歌を残してくれいている。Vivyのヴォーカル曲をまとめたこのアルバム、2021年のヘビーローテーション一番だったかも。このジャケットアートも最高だよね。
あと、円盤の各巻のジャケットアートも素晴らしかった。中でもこの3巻。
このジャケットだけで泣く。
3位:86 ―エイティシックス―(春、秋)
第3位には「エイティシックス」を入れてしまったけれども、こちらも第1位のワンエグ同様に進行がアレな状況で、最終2話が2022年の3月に延期になってしまっている。なのでまあ、今回は第1クールを中心に評価するのだけれども、それでも最高だったな。
「レギオン」という、人間の制御を離れた完全自律型の兵器群の圧倒的な戦力に攻略されているサンマグノリア共和国の人々は、都市に閉じこもった。そして髪の色や肌の色の異なる人間たちを「人の形をした豚」と定義して辺境の86区に隔離し、エイティシックスと呼称した。さらに共和国人は、エイティシックスたちを「完全無人兵器」の「制御装置」として搭乗させ、レギオンと戦わせていた。
エイティシックスたちを安全な首都からリモートから指揮する若い女性指揮官と、地獄の戦場において消耗部品扱いで戦うエイティシックスの少年少女たち(大人のエイティシックスはすでに死に絶えている)との、物理的、価値観的ともに遠い距離を隔てた関係から始まる物語、が第1クールのストーリーだ。
出典:86 ―エイティシックス― 第9話
なんというかさ、やっぱり第9話「さよなら」だろう。あれは反則だよ。今までのあれやこれやが一瞬で全部ぶっ飛ばされる瞬間の快感から、切ないラストに向かう過程が本当に素晴らしい。
出典:86 ―エイティシックス― 第9話
で、この第9話を見て早速原作を読み始めたんだけれども、まず気がついたのは第9話ラストの部分にそれなりにアニオリ演出が入ってるんだよね。アニメというメディアに適したアレンジを適切に加えているところが実に良いな、とあらためて認識した。原作の短編集からのエピソード挿入も丁寧になされていてそういう点で実に良いアニメ化がされていると思う。
まあそれ以外にも、エイティシックス自体のモデルの一つはやはり第二次世界大戦時の米国における日系人収容なんだな、とか、共和国の街並みがとっても中欧っぽかったりとか、個人的に気になる要素がかなりあったりして、そういう面でも気になる作品だ。ミリタリー面での小ネタもなかなか芸が細かい。
出典:86 ―エイティシックス― 第9話
とはいえ2クール目がラスト2話を残して中断していて、第1クールの一方の主人公的な役割のヴラディレーナ・ミリーゼさんがやっとたくさん出てきそうなところで「おあずけ」を食らってしまった形になってしまい、ちょっと消化不良になっているのは否めない。早く来るんだ3月!
4位:無職転生 ~異世界行ったら本気だす~(冬、秋)
申し訳ない、また「ゼロ話切り」していた作品を上位に挙げることになってしまった。いや、流石になんの知識もなしにしかもこのタイトルだと俺は第一印象で「うん、興味ないな」となってしまって見ないんだよ本当に。
その後割と俺のTLでこの作品が盛り上がっていて、試しに見てみたら…なんやこれいいやん…ということでだいぶ後悔したので、とりあえず最近はこの種のアニメも食わず嫌いせずに前よりは試しに見てみる率は上がったと思う。
まあどうやら、なろう系の中でも基本というべき作品的なものらしいのだけれども、この見る気のしない(失礼)タイトルと一部の品のない痛いネタなどにも関わらず、かなり丁寧にストーリーが作られていて、さらにアニメとしての出来も実に素晴らしいという、まあいわば逆タイトル詐欺的なアニメと言っていいのではないかな。いや、ほんと、こんな泣けるアニメだとは思っていなかったよ。あとやっぱり、エリスいいよね。
出典:「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」第9話
2クール目も本当に素晴らしかった。しかし原作を、現在出版されているところまで一気に読んでみたのだが、最新刊が25巻。2クール使って到達したのが原作第6巻だから、現在出版されているところまで追いつくのでもアニメだと単純計算で8クール以上も必要なのだ。しかもまだ原作が完結していない。まあ是非とも息長く続いてもらいたいシリーズだな。
ちなみに俺はメインキャラクターに関しては圧倒的にエリス派であるのだが、脇役キャラクターで何気に気に入っているのはパックス・シーローンである。人は変わることができるのか、というテーマ的には非常に重要なキャラクターだと思うんだよね、パックス。アニメの範囲ではまだロキシーにセクハラを続ける非常に残念な王子ポジションだけど。
5位:Sonny Boy(夏)
さていよいよSonny Boyだぞ。あのラストには色々と物議があったようだけれども、まあ今年最上級のわけわからんアニメであったと言ってもまあ問題はないだろう。そこがいいんだが。
あれ、前回どういうストーリーだっけ、という感じで飛ぶストーリー、シュールな絵づくり、昭和の怪作「漂流教室」を思わせる基本設定、これまた昭和から活動を続けている江口寿史(俺は大好きだ)によるキャラクター原案、非常に抑制された劇伴の使い方、素敵なボーカル曲など、実に魅力的な作品だったと思う。あと何気に瑞穂が俺の大好きな系統の悠木碧ボイスだったのと津田健次郎CVの犬が良かったのも、個人的にポイントだな。
出典:「Sonny Boy」第11話
でも通しで2回見たはずだけどまだストーリーを理解できた気が全くしない。まあ繰り返すようだけれども、そこがいいんだけどね。
6位:白い砂のアクアトープ(夏、秋)
コロナ禍で沖縄に2年以上行けていない俺にとっての一服の清涼剤であった「白い砂のアクアトープ」。第1クールはアイドルをクビになった少女、風花が沖縄にたどり着いて、閉館の危機にある知念の水族館で自称臨時館長の少女、くくると出会い、閉館の運命に2人で立ち向かう物語。第2クールは彼女らがさまざまな社会の荒波に揉まれつつ、最終的に自分の道を見つけ、進んでいくまでの物語だ。
第1クールでくくるがやっていたことは、実は飼育員の仕事よりも営業なり企画なりの仕事の方がウエイトが高かったんだよね。でも第2クールのくくるがそれを全く認識できていないのがまた、ありがちなことだよなぁ、と思って大人の視点で若者を暖かく見守ってあげる感じになるのがちょっと俺も歳を食ったかなぁ、とか思ってしまうわけだ。
出典:「白い砂のアクアトープ」第13話
ということで何気に俺は、この第2クールの物語が結構好きなんだよね。夢は必ずしもストレートに叶うわけではないし、社会に出ると思った形の仕事ばかりができるわけではない。でも実際は本人が思っているほど外れた道に進んでいるわけでもなくて、そのうちに自分の道を見つけていく、そういう意味で良い「お仕事系アニメ」になっていたと思う。まあプランクトン呼ばわりはちょっとアレだけどね。
第1クールは知念(南城市)、第2クールは読谷が主な舞台かな。コロナがなければ絶対聖地巡礼に行っていたんだろうけれども、まあそれは残念。
前半は沖縄料理的なものが色々出てきたのでアニメシ企画を久しぶりにやったけど、ちょっと後半ではそういうネタは少なかったな。
7位:ブルーピリオド(秋)
芸大受験という実にコアなネタを扱ったアニメ。それだけでも実にポイント高い。そういえば高校の頃、芸大に行った先輩がいたっけなぁ、などと懐かしい思い出をくすぐられる。
色々と美術に関する蘊蓄も自然に取り入れられて、美術素人にもわかりやすいエンターテインメントとして成立しているのが、実によく出来ていると思う。あと詰襟スカート男子(花守ゆみりCV)の龍二君が実に良いね(特に終盤のあのエピソード)。
8位:ゾンビランドサガ リベンジ(春)
ゾンビランドサガ、今回も色々と佐賀の小ネタを交えつつ楽しませてくれた。待望のゆうぎり編も実現したということで、あとは山田たえ編をなんとしても見たいところ。何気に今回は現アイアンフリルも結構活躍していて曲もとても良かったよね。
こちらも実に聖地巡礼したかったなぁ。フランシュシュマンホール見たかったぞ。実は2020年春に嬉野温泉の宿や足の予約までしていたのにコロナで流れたという件があったので実に残念みが深かったりするのだ。いつかリベンジしたいぞ。
9位:シャドーハウス(春)
シャドーハウス。今回評価対象にした作品の中では一番設定がユニークだったように思う。まあその部分は原作が持っている力だと思うが、それを美しいアニメーションで実に魅力的に表現していたと思う。音楽も良かった。
2期制作も決まったようなので、楽しみにしている。
10位:ぼくたちのリメイク(夏)
こちらも原作既読(未完)なのだけれども、正直言ってグッと面白くなるのは最新刊あたりなんだよね。まだ第1ターニングポイントを越えたあたりでアニメが終わってしまっているのだけれども、考えてみるとこの辺り原作のどこで切ってもそこそこ不満の残る構造になっているのでちょっとアレだったりする。
まあそうは言っても、河瀬川が最高だったから俺は全て許した。河瀬川最高、と思う同志たちはぜひ、タイムリープしない世界線バージョンの原作スピンオフ作品「β」全3巻を読んでくれ。
珍しく古巣の登戸が終盤の舞台になっていたので、聖地巡礼もしてきた。
そして、京都に行ったついでに大阪の聖地巡礼もしてきたぞ。京都から大阪芸大界隈は実に遠かったけどな!
次点:月とライカと吸血姫(秋)、takt op. Destiny(秋)
そういえば今回はバカアニメ枠を入れている余地がなかったな、ということで、次点にもその系列のアニメがないぞ(「カノジョも彼女」も悪くなかったが「アホガール」の方が俺は好きだった)。
ということで「月とライカと吸血姫」。タイトルからはなんのことやらわからないと思うけど、旧ソ連を思わせる架空の国の宇宙開発の背後に、実験台としてライカ犬の次に吸血鬼の少女が使われていた、的な物語。異種族に人権はない、という設定はエイティシックスと似ているけれども、旧ソ連という普通の人間にすらろくに人権のなかった国がモデルなので、絶対にこれは悲恋からのバッドエンドだぞ、と身構えて見始めたら…的なアレやコレやだ。淡くも実に良い恋物語であった。
「takt op.Destiny」。まあなんというか、今度はクラシックの名曲が擬人化された、謎の怪物D2と戦う名曲少女たちだ。主人公は「運命」とその「コンダクター」である朝雛タクト。設定は正直無茶苦茶なのだが、圧倒的なアクション作画と物語の勢いで実に目が離せないアニメ。俺にとっては「東京クロノス」や「アルトデウスBC」のキャラクターで馴染み深いLAM氏がキャラクター原案なところも注目ポイントだ。
OP曲ベスト5
さて、今回はTVアニソン大豊作(俺がそう思うだけ)なので、OP/ED曲どちらもベスト5まで紹介していこう。
1位:ヴィヴィ(八木海莉)「Sing My Pleasure」
1位はVivyのこのOPだ。いやーOPのアニメも含めてこの疾走感が良いよね。まあこの曲に限らずVivyのボーカル曲は本当に素晴らしかった。この曲自体が「過去の名曲」扱いされて物語に関わっていくのも実に良い演出だったな。この作品がデビュー作となる新人の八木海莉さん、今後に注目だ。
2位:大原ゆい子「旅人の唄」
無職転生から何を選ぶか本当に悩んだのだけれども、結局2位に「旅人の唄」をセレクト。無職転生のOP/EDはどの曲も本当によかった。結局2クールでOPが6曲、EDが2曲あったんだよね。実にアニメの世界観にあった素晴らしい曲たちだった。全てをまとめたCDも出てる。オススメ。
3位:アネモネリア「巣立ちの歌」
3位は「ワンダーエッグ・プライオリティ」から「巣立ちの歌」。卒業ソングを主人公4人のCVのグループで歌う、だけなのだけれども、これが実に良いのだ。OPアニメの素晴らしさも相まって、良い「卒業の歌」になっていた。CDには各キャラクターのソロバージョンが4トラック入っている。
4位:YOASOBI「怪物」
4位はBEASTERSのOP「怪物」。いやー、これは実にカッコいい。見惚れる。
5位:ryo (supercell)feat. まふまふ, gaku「タクト」
5位はtakt op.DestinyのOP「タクト」。SupercellのOPといえば俺にとってはギルティクラウンの「My Dearest」なんだけど(実はアルトデウスBC制作のMyDearest社は、この曲から社名を取ったらしい)、今回のこの「タクト」、素晴らしいOPアニメと合わせて、割とそれに近いくらい気に入っているかも。
この曲、CDでのリリースはされていないのかな?
次点:Poppin'Party「ここから先は歌にならない」
次点は「ぼくたちのリメイク」OPの「ここから先は歌にならない」。バンドリ界隈にはほぼ近付いていないのだけれども、いい曲だねこれは。
ED曲ベスト5
1位:SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki「Avid」
1位はやはりエイティシックス第1クールEDの「Avid」。澤野節が光るこの曲がまさに最高の使われ方をしたのが、第1クールで最高の盛り上がりを見せた第9話だろう(EDではなくAパートのラストに使用された)。
ところで、SawanoHiroyuki[nZk]:mizukiのmizukiさんって「イツエ」のボーカルの瑞葵さんだったのね。実は数日前にやっと知った。イツエもいいよ! SawanoHiroyuki[nZk]は、小林未郁さんとか俺の好きなボーカリストを起用してくれていて嬉しいな。
2位:YOASOBI「優しい彗星」
2位はBEASTERSのED「優しい彗星」。特に、最終回でこの曲がOPとして使われた後で「あのシーン」に繋がる使い方が本当に素晴らしかった。
3位:安藤裕子「衝撃」
実は安藤裕子の音楽は昔から結構好きだったのだけれども、多分アニメの主題歌を歌うのはこれが初めてじゃないかな。まさかの進撃の巨人だったけれども、Final Seasonにはこれでとても合っているように思うな。Final Season Part 2でもそのまま使われるらしい。
4位:Sarah Àlainn「Simple Life ~ My Beloved」
「月とライカと吸血姫」では第4話の挿入歌と最終話のEDに使われたこの曲を推したい。もうすぐ発売のサントラに入るらしい。
5位:アネモネリア「Love is サイダー」
5位は「ワンダーエッグ・プライオリティ」EDの「Love is サイダー」を。終盤ではどんどん重い話になっていく中でラストにこの軽やかなメロディが流れると「ふう」と息をつく感じだった。EDのイラストも良かったな。
次点:ReoNa 「ないない」
次点は「シャドーハウス」EDの「ないない」。これは実に本編からスーッと入れる良いEDだった。
劇場アニメ・ベスト3
今回はやはりコロナ禍のためにさほど多くの劇場作品を見られなかったのだけれども、ここで挙げる3作品はそのコロナ禍の中でも、いずれも複数回、劇場に通った作品だ。
1位:アイの歌声を聴かせて
1位はやはり「アイの歌声を聴かせて」だな。
- ミュージカルってなんで突然歌い出すんだろう? → ポンコツAIなんだから突然歌うくらいあるんじゃね。
- 歌うだけならともかく伴奏まで始まるのはなぜ? → 優秀なAIなんだから放送設備をハックするくらい楽勝だろ。
的な感じで、ポンコツなんだか優秀なんだかわからないAI「シオン」(CV 土屋太鳳)が歌うミュージカルシーンが実に印象的な作品。アニメでの土屋太鳳は、「僕街」の時は正直あまり気に入っていなかったのだけれども、このシオン役は最高のはまり役だな!
TVアニメ部門の第2位に挙げた「Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-」とも共通する「AIと歌」というモチーフを描きながら、全く違った方向性の作品となっているのが面白い。
笑って泣いてほんわかして、もう一度最初から観てみるといろんな伏線やら演出やらが見えてきて切なくなる作品。そして素敵なミュージカルソングは全部サントラに入っているぞ。
舞台のモデルは学校以外は佐渡っぽいね。エセ新潟県出身者としては、何かのついでにでも是非とも訪問したいところ。
2位:シン・エヴァンゲリオン劇場版
2位は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」だ。まあ、エヴァに関しては(何度も書いている気がするけれども)リアルタイムの頃は俺がアニメからかなり遠ざかっていた時期で、後で話題になっていたから、何度目の再放送かわからないときに観たくらいだし、新劇場版にしても「序」「破」はアニメから遠ざかっていた時期なんだよね。まあそれでも一応劇場には観に行ったけれども。
そんなわけで個人的にはリアタイ的な盛り上がりの記憶ってのにはちょいと欠けるわけだけれども、やはりついに完結したというのは色々と感無量なものなのだなぁ、と思うのだった。それにしても「序」から数えてさえ14年が経過したのか。
Qの新バージョン3.333も観たかったけど結局観に行けなかったな。やはり円盤買うべきか。
3位:サイダーのように言葉が湧き上がる
イシグロキョウヘイ監督、愛敬由紀子キャラデザ・総作画監督という「四月は君の嘘」のご夫妻コンビ劇場作品。鈴⽊英⼈的というかわたせせいぞう的というかの80年代風の色使いとデザインを使い、21世紀的な地方の巨大イオンモールを舞台にした俳句と恋の物語。
なのだが、思い出のLPレコード「YAMAZAKURA」をめぐるストーリーも実に良いのだ。今の若者がLPレコードの扱いを知らないことを含めて、色々重要な話の要素になっていて、LPレコードを聴きまくっていた世代のおっさんにとっても色々と刺さるものがある。
ちなみに、リアル「YAMAZAKURA」が付いてくるのはビクターオンラインストア限定版のBlu-rayのみだ。一応まだ予約できるみたいだぞ。
舞台のモデルはイオンモール高崎らしいが、これも行ってみたいな。
その他小ネタ
ということで、ランキングとは直接関係しない小ネタをいくつか。
NIGHT HEAD 2041とNIGHT HEAD
NIGHT HEADには俺は旧シリーズリアタイ世代としてそれなりに思い入れがあるのだ。DVD BOXも持っているしな。まあそんなことで結構ちゃんと今回のNIGHT HEAD 2041も見ていたぞ。
出典:「NIGHT HEAD 2041」第1話
いや、白組がCG担当して無茶苦茶カッコよくなったNIGHT HEADとして結構楽しんで見ていたよ。でもまあ、何というかな、旧シリーズを見ていたときの方がずっとワクワクしていた気がするんだよな。
今回2041を見るにあたって旧作のDVD BOXをもう一度通しで見たんだけど、いやー面白いわこれ。そしてこの時代(90年代初頭)の深夜の低予算ドラマという位置付けを今引き継いでいるのが、まさに深夜アニメという存在なんだろうな、と改めて認識する。
2041を見て曽根崎雰囲気変わりすぎ! とか奥原昌子は2041版カッコいいな、とか、茅野佐智恵回は2041にはないんですか? とか色々アホになりながらそれなりにちゃんと楽しんでいた。まあラストは結構綺麗にシメたよね。
(補完に旧シリーズのノベライズを今回初めて読んでみたんだけど、花輪正太郎編はノベライズ版にはないのだな。びっくり)
2021年アニメから入って原作を読んだラノベ
例年、アニメを見た影響で全巻ぶっ通しで原作ラノベを読むことは結構あったんだけど、2021年は特に多かった気がする。ちょっと対象リストから抜粋してもこんな感じだ。ちなみにどれも原作未完だな。
- 弱キャラ友崎くん(全11巻)
- 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~(全25巻)
- 86 ―エイティシックス―(全10巻)
- 精霊幻想記(全20巻)
- ぼくたちのリメイク(全9巻)
まー全部で75冊、よく読んだものだ。
「弱キャラ友崎くん」と「ぼくたちのリメイク」は奇しくも、いずれも最新刊でガッツリと起承転結でいう「転」だよなー、的な急展開を迎えているので、色々な意味で序盤を描いたアニメ版がまだまだ本番はずっと先だなー的な印象になってしまったかも知れない。
「エイティシックス」は今回アニメ化されるところの先をぜひ見てみたいんだよなー。あの2人のその後とか、動くレルヒェとシリン達とか、アニメで見たくないか? 見たいよな?
無職転生と精霊幻想記はいずれも20巻超、特に一冊あたりのボリュームがでかい無職転生はよく読み通したなー。
無職転生は上の方で色々書いたので精霊幻想記に関して。まあアニメも一般的にはやや微妙な評価ではあったりするのだけれども、俺はああいうのも悪くはないと思うよ。まあ無職転生と比較してしまうとアニメ化に関するツメがかなり甘いのは否めないけどな。主人公がCV含めてキリト化が激しいのもまあここでは置いておこう。
とはいえ、俺の一推しのリーゼロッテ(CV 東山奈央)の出番があれだけってのは実にいただけないだろう。2期がないと困っちゃうよ、と思ったらちゃんと2期をやるということで安心。やっと主要キャラが揃ったところでのラストだったからな。
そういえばリーゼロッテのお店「リッカ商会」がどう見てもロンドンのリバティだったのは笑った。今のコロナ禍のご時世、相当に聖地巡礼難易度が高い。
出典:「精霊幻想記」第4話
ちなみに同様に漫画原作を全部読んだのは以下の2作だ。こちらもいずれも原作未完。
- イジらないで、長瀞さん(全12巻)
- カノジョも彼女(全9巻)
まさかの「うる星やつら」リメイクですと?
正月気分に浸っていた元旦、突然の大ニュースが降ってきた。「うる星やつら」が2022年ノイタミナでリメイクですと?
え、なに、4クールもやるの? マジですか?
制作はdavid productionということで、「炎炎ノ消防隊」の方が世間には通りがいいんだろうけれども、俺にとっては「サクラダリセット」(この俺的ランキング2017年版の1位)のイメージが強い。
CXさんも、2021年に90年代の「NIGHT HEAD」のリメイクをやったと思ったら、2022年は80年代の「うる星やつら」のリメイクか。とはいえおっさん世代としては「うる星やつら」への思い入れというのはかなり深いわけだ。色々な人がツイートしていたけれども、中でも大きく頷いたのはこの2つ。
まずこちら。うる星やつらが当時のファンだけではなく、アニメーターたちにとっても色々な意味でフリーダムに暴れられる「場」となっていたことについて、当時はそれが普通だと思っていたが、それ以前のアニメにとっても、それ以降のアニメにとっても、特別なものだったのだなぁ、と今更ながらに思う。
不思議なのは、初期の「うる星やつらアニメ用キャラ」を見て
— 宮尾岳 (@GAKUJIRA) 2022年1月2日
【俺ならこう描く】が、必ずしも【高橋留美子の絵に寄せる】では無くて
【俺の描くラムがいちばんイイんじゃあっ】に、なって行ったこと。
キャラ表を無視し
さらに原作を無視し
オレ様いちばん。
分かるかい?
今の初音ミクだ。
それは「素人なら好きにおやんなさい。だってあなた達似せるの無理でしょ」なんだけど
— 宮尾岳 (@GAKUJIRA) 2022年1月2日
仮にもプロのアニメーターとして飯食ってる人間が【キャラ表無視する】なんてのは、アニメーターとして失格だ。
その人だって他の作品じゃそんなワガママ言わないだろう。
うる星やつらが特殊だったんだ。
それゆえに、原作者としては色々と思うところもあったのであろうことは想像に難くないし、それが行き着く先まで行ってしまったのがおそらく「ビューティフル・ドリーマー」なわけだ。まあ、俺は超大好きなわけだけれどもな。
で、そんなことを色々と考えていた時に、すっと見かけたこのツイートに、ああ、確かに! と合点がいくのだ。
誤解を恐れずに言うと、押井守時代の『うる星やつら』にいちばん近いノリの近年のアニメ作品を挙げるなら、『ポプテピピック』だったんです。
— foxhanger💙💛 (@foxhanger) 2022年1月1日
ということで「うる星やつら」のアニメは80年代の初音ミクでありポプテピピックであり、さらに現在につながるアニメの多くのスタイルを残し、多くのクリエイターを輩出した、いわばアニメ界のレジェンドなのだ。
まあ、どんなリメイクになるのやら、まあおっさん世代としてはあまり過剰な期待はせずに、でも密かに楽しみにしておこうかと思う。
ということで、本年もよろしくお願いします。