(2019年12月18日 追記)カップ麺の方も食べてみたのでその旨を後の方に追記しました。
さて、仕事で福岡に来たわけなんだけれども、ちょっと時間ができたので福岡の街で何をしようかな、などと考えましたが…、特に福岡が舞台のアニメとかですごく好きな物があったりするわけではないから聖地巡礼モチベーションもないし、そもそもそんな時間もないし…と思ったところで見かけたのがこのカップ麺の話。
cupmen-review.com
なんと、あの2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の伝説のコピペの一つ「高菜、食べてしまったんですか!!!!????」のラーメン屋さんのカップ麺が出ているらしい。高菜はだめでもカップ麺はいいのか、と思って調べると、最近は写真とか撮れるようになっているし、昔ほどいろいろ厳しいわけではないという。
ちなみに10年前くらいに流行った伝説の高菜コピペはこれだ。ちょっと長いが、見つかった限り一番長いやつを引用する(最後の部分だけコピペしているブログが多く、たとえば「18センチのまま一気にかましながら」の部分が意味不明になっていたりする)。
目的地に着いた。普通の何も無い住宅地。僕はここに「看板の出ていないラーメン屋」があるのを聞いて来たのだった。そこはとても美味しい店で、とことんスープにこだわった店で、開店時間はスープが出来上がった時間(だいたい昼の12時頃らしい)。その日のスープがちょっとでも美味く仕上がらなかった日は営業しないですと公然と伝えている店だという(実際にそれで休んでしまう日もあるらしいのだ)。テレビの取材も受けないし、こだわりの人だけしか来れないように、看板も出さない。実際に、何だかよくわからない店構えだし、人の行き来が無ければ、1ヶ月前に閉店したラーメン屋のように見える。「大切なのはスープだけだ」という思想の下にすべてが動いている店。ワクワクしながら入店した。
店内は普通の中華屋さんで、テレビもあればラジオもかかっている。こだわりゼロ。店員の女性の方のひときわ甲高い声での「いらっしゃいませ!」にちょっと緊張をもよおすが、まあ、そういう人もそういう店もたくさんある。個人的にはいちいち甲高い大きいな声で応対され、緊張感に溢れた軍隊口調で返事をされると、リラックス出来なくて居心地が悪くなる。東京でも「ラ・ボエム」とか「モンスーン・カフェ」とか、あの手のチェーン店カフェのアホデカい声には時々苛つくことがある。一世風靡セピアかよ、お前らという感じだ。このラーメン屋はそういうマッチョな声ではないが、その分ストイックさがヒステリックに響いてなおさら戦場っぽい感じがした。いつしか気付いたが、どう見ても作ってるのが旦那さんで、店を仕切っているのが奥さんで、その間を繋いでいるのが長男だ。家族でやっているのだろう。ならばもっとリラックスしてればいいのに。
店の中にはメニュー以外にもう一つの張り紙があり、そこには「当店はスープが第一で、まずスープを味わって欲しいです。スープが命ということに理解できない人は当店ではご遠慮願います」みたいなことが書いてあった。これが僕が聞いたこだわりの素か。でもあまりゴツい書き方ではないし、店も強面ではなくちょっとヒステリックに規律の正しさを出し過ぎるとこがあるものの家族だし、思ったほど特殊な感じはしなかった。
「ラーメンください。きくらげ一杯!!と背脂一杯!! してください」と頼んだ。そして待った。店の中は何も無く、テーブルの上は博多ラーメンご用達の「高菜の唐辛子漬け」だけが置いてあった。適度に脂がまぶしてあり、そのオイリーな光沢が胃をくすぐった。ので、高菜を2つばかし口に入れた。とても美味しかった。その辛さを含め、胃に刺激を与えることを含め、最高の前菜になったと感じた。直後にラーメンが届いた。
ちょっと背脂の凄まじさにびっくりしたが、とてもいい感じの濁り方をしたスープが目の前で湯気を立てている。コクもありそうだし相当、骨も髄液も煮込んでいるらしい濁り方をしていたが、思ったほど店の中は臭みがない。
期待できるぜ、とワクワクすると、奥さんがその独特の怯えたような心を許していない視線で「まず背脂をまぶさないで(追加の背脂一杯は、丼の一ヶ所に固められて鎮座していたのだった)スープをすすってください。それから―――」
ここで奥さんの心許さじ視線が瞳孔を開ききった状態になり、顔の神経は引きつったまま顔面を僕の顔面に18センチほど前方に接近させ、こう言った―――。
「高菜、食べてしまったんですか!!!!????」
多分、僕の口の周りに微妙に唐辛子の味噌がついていたのだろう。はい、食べました。美味しかったです。と答えた。すると、「うちの店は初めてですか?(答える間もなく)何故高菜を食べたんですか? スープを飲む前に何故高菜を食べたのですか? ルールがあるじゃないですか。まずスープをというルールがあるじゃないですか!」と18センチのまま一気にかましながら、持ってきたラーメンを手放さずにこう言った。
「これをお出しすることは出来ません。マナーに反する人はお帰りください」
唖然とした。「だってここに高菜が置いてあるから、食べちゃいけないなんて書いてないから食べました。じゃあ、今から水を飲みまくりますよ。で、口の中を洗いますよ。それでも駄目なんですか?」と訊ねたら、また同じことを言われた。長男を見たら、長男は「あちゃー」という顔で奥でもじもじしている。そっか、わかった。次は旦那さんだ。3秒ほど無表情で見詰めたら、反応があった。
「お客さんは酒を呑みますか? 利き酒って知ってますか? 利き酒をする前に高菜を食べますか? そういうことです。そんな神経の人に食べてもらっては困るのです」
ここでまた奥さんがかまし始める。
「うちは看板も出さずに必死にやっているのですよ。スープを認めてくれないなら、やっていけないんですよ。唐辛子が口の中に入っていたらまともにスープを味わってもらえないじゃないですか? そんな人にスープを呑んで味を判断されたら、もう終わりなんですよ、はぁーはぁーはぁっ」
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