「けものフレンズ」に関しては今まで3話ごとに記事を書いてきたのだけれども(第1〜3話、第4〜6話、第7〜9話)、まあ、1話ごとにブログ書いていたらこりゃ忙しくて体がもたん、的な感じだったわけだが…しかし11話を見て…なんたるこの衝撃!
たとえば、「魔法少女まどか☆マギカ」の頃の自分はほとんどアニメとか見てなかったのだけれども、伝説のまどか3話の衝撃って、リアルタイムではこういう感じだったのかなぁ、的なことを考えてしまうくらいの凄まじい衝撃だった(自分は放送から半年くらい経ってから見た「まどか」で、久しく遠ざかっていたアニメの世界に呼び戻されたフレンズなので…)。
一方で、何となくこの「衝撃」がネットで広がる様を見ながら、「それは違うんじやない?」と思う事も多少あり。
波乱を呼んでる11話ラストのこのシーン、表情やアングルが似てるからか、「私って本当にバカ」ってセリフ被せて書いてる人もいたけど、多分このシーンは同じ「まどか」で言えば「ほむらちゃんごめんね、私、魔法少女になる」のシーンだと思うんだよね。
この世界(ジャパリパーク)で随一の知将であるところのかばんちゃんは、勝ち目のない戦いはしないと俺は信じてる。ユリアンじゃないけど。まあ、こんな事を憶測で語るのが許されるのもあと数日。
というわけで、これはやはり、まさに今、書かないわけにはいかないだろう! ということで、第10話、第11話に関して軽い考察や感想などをまとめてみようかと思う。
第10話「ろっじ」
第10話は、一見プチ・ミステリー回、兼、休憩回と思わせつつ、ストーリーが何の予告もなく終盤の怒濤になだれ込んだ回だった。ボスの発案で泊まることになったロッジ。ゲームとかに出てきたら実にいい感じっぽい「中継地」だ。相変わらず美術のデザインは秀逸。
フロントで迎えてくれるのはアリツカゲラさん。
サーバルとかばんちゃんが泊まることにした部屋「みはらし」もとても気持ちよさそうなところ。
しかし俯瞰図になると、なぜかクレーンが(おそらく)放置されていることに気がつく。電気は右側の方に見える太陽電池っぽいもので供給されているのかもしれない。何しろこの低予算アニメ、画面に不自然に登場するものには必ず何らかの意味があると思って良いだろう。
このロッジに宿泊しているフレンズの一人、タイリクオオカミ。職業漫画家。はかせに漫画を本にしてもらっているらしい。「紫色のセルリアン」の怪談でかばんちゃんとサーバルちゃんをビビらせる。夢でそのセルリアンに食べられると夢から出られなくなるとのこと。
もう一人はアミメキリン。自称名探偵。サーバルのことを「ヤギのフレンズ」と断言する。サーバルちゃんの「ちがうよ!」の掛け合いが相変わらず面白い。
…という風に、ミステリーの所謂「館モノ」の文法に従って、舞台の館とキャラクターの紹介がなされることで、ああ、今回はミステリー回なのだな、と見るものを誘導し、一種安心させる巧みさ。しかしこの回で「けものフレンズ」の寓意は見る者にいつの間にか牙を剥き始めるのである。
こうして安心したところ、いきなりボスがミライさんの記録モードで発動する。
「こんにちはー。今日はロッジにやってきましたよ、木の上から動物を観察でき、フレンズさんとのお泊りも可能です。ピカピカですね~。いまはセルリアン騒ぎで忙しいですが、こうしてちゃんと、パーク再開にむけての準備も頑張っていますよ。ではまた。あれー。電子ボタンの調子が…。さっき雨に濡れたせいかしら」
なるほど。
- ミライさんもロッジに来たことがある
- ロッジはピカピカ
- パークは何らかの事情で閉鎖されていたが再開の準備をしていた
- ボスは防水性に問題があって調子が悪い
ふむ。
翌朝、アリツカゲラさんから、夜に謎の影と遭遇したことが語られ、名探偵アミメキリンさんが頑張り始める。
しかし、ここで雨が降ってきて、かばんちゃんとサーバルは足止めを食らう。館モノの館が一種閉鎖空間として機能するための舞台づくりであるところの悪天候。実に表向きはミステリーの文法に従っていて、見る人をすっかり罠に引きずり込んでいるのだが、これが同時に追跡者のアライさんたちが追いつくまでの時間をかせぐための時間稼ぎになっているという点、実に巧みなマジックである。
そしてBパート冒頭でそのアライさんパート。温泉を満喫中。そして完全に「かばんさん」に心酔しきってる。
「はー、かばんさんはすごいのだ。温泉の危機まで救うとは」
「というわけでー、はかせに許可貰ったからその泥棒を追いつつ、お宝に向かってるのさー」
「興味深いわね。最近のセルリアン騒ぎと関係あるのかしら」
「ある程度レアなアイテム持っていかないと死んじゃうよ」
「あなたそれゲームの話でしょう?」
しかし、第11話を見た後でもう一度見ると、実になかなかな会話である。「ある程度レアなアイテム」…はかせにもらったマッチだろうか。
夜。それぞれの格好で眠るかばんちゃんとフレンズ達。特にキリンさんが座った形で首を前に出しつつ眠る仕草が本物のキリンと同様と話題になっていた。こういうのがあるから「けものフレンズ」は侮れない。
この後で、かばんちゃんとボスが2人の時に、また突然ボスが覚醒。
「いやー、それにしても、…完全退去は大げさですよね。なにもそこまで」
「私たちはともかく、ミライさんは隠れたほうがいいよ」
「急ですよ。なんとかパークをずっと平和に続ける方法を…。あれ、今、また録画されてます? あー、完全に壊れてますね。あとで防水対策をしましょう」
「かわいいこだよねー、それ、どうなるの」
「これはですね、ゆくゆくはパークガイドとして…」
つまり、
ということが分かる。それにしても、
「たべないでくださいー」
「たべな……たべてないよー」
って、口の周りをジャパリまんだらけにしながらのサーバルちゃんの言い訳が実によい。
翌朝、アミメキリンさんも謎の影を見たとの報告があり、朝食のジャパリまんを囲みながら、タイリクオオカミさんから実に意味深長な言葉が語られる。
「こういう話を知ってるかい。フレンズ型のセルリアンってのが昔いたらしいんだ」
「ええっ、それってひと目で分かるの?」
「わからなかったら、フレンズと思って近づいて食べられたり…」
「こわい!こわい!こわい!」
「さー、そこはわからないな。ただ、これの恐ろしいところが、本人に自覚がなかったらしいというところ。つまり、自分がフレンズだと思っていたら、実は…、もしかしてお前もセルリアンなのかも」
「きゃーーー、もっとこわい!こわい!」
「冗談だよ、いい顔いただきました」
さらに雨は降り続き、このロッジを密室性を継続させる。そんな中、またボスが喋り始める。
「そうだ、どうせ調子が悪いなら、メモ代わりに使いましょう。生き物や、生き物だったもの、とサンドスターが反応してフレンズが生まれますが、セルリアンは無機物と反応して生まれることがわかってきました。ただ、別の研究で、サンドスターが一種類でないのでは、という話もあり、あ…以上、メモ終わり」
ミステリーの文法に従ったメインのストーリーにこうして異物が挟まれる。
- フレンズは生き物、生き物だったものとサンドスターが反応して生まれる(事実)
- セルリアンは無機物と反応して生まれるらしい(仮説)
- サンドスターに種類があるという説もある(仮説)
そしてサーバルちゃんからかばんちゃんに、旅が終わったらどうする、という質問とともに、
「ビーバーちゃんたちみたいに、一緒に住むってどう?」
との提案が(涙)。11話まで見た今、あらためて見ると実になんか色んなフラグが…。
そこで再度ボス発動。
「えーー、最初私が宇宙人だと?」
「だってわたしたち、この島の外にもちほーがあるなんて知らなかったもん。それに、飛んで来るんだもん、『食べられちゃうー』って言ってる子もいたよ」
「うふふー、宇宙人だぞー」
「きゃー!!」
アプリ版サーバルちゃんとミライさん楽しそうだ…。そして、ついにタイリクオオカミが謎のお化けを目撃、さらにかばんちゃんとサーバルちゃんまで目撃する。逃げようとするサーバルを押しとどめ、かばんちゃんはそれでもあえて相手を観察することを選ぶ。
そして、かばんちゃんはそこから事件の真相についにたどり着く。が、そこでアミメキリンさんが双子説、三つ子説、五つ子説を持ち出して、また見るものをミステリーの文法(といってももうベタすぎてアレなやつだけれども)に呼び戻そうとするところがまた演出として面白い。
そしてそこから「犯人は…多分僕です」にもっていく巧みさ。ミライさんのメッセージを聞いた場所でボスが反応して故障した状態の映像を出していたのだと看破。
それにしても謎解きフェーズに入ってからの、
「そういえば夜にジャパリまんが減っていた時が」
「(間髪入れず)ああ、それはサーバルちゃんなので関係ないかと」
「かばんちゃんなんで知ってるのー」
は大笑いだったな。そしてかばんちゃんは、
「自分がセルリアンだったらか…」
と考える。
ああ、この低予算アニメに無駄な演出なんて一つもない。11話を見たから今は確信を持ってそう言える。
そしてついに完全な映像付きでミライさんの画像が再生される。
「これって、このロッジですか?」
「なんか、ピカピカです」
「これは…時間ごとボスが飲み込んでいたということ?」
「またこわい言い方を…」
そして、問題の記録が再生される…(11話を見てからもう一度見れば意味は明らかだ)。
「まずいことになりました…。あのセルリアン、大きさもなんですが、問題は削っても削っても自己修復するところで…今週倒せない場合、わたしたちもパークから…いや、正直、もう少し長くこの島にいたかったですね。まさかこんなに早く」
「ミライさ~ん、早く、早く! カラカルがあのおっきいやつ山で見たって。みんなで連携してやっつけちゃお!」
ついに映像に出てきたアプリ版サーバルちゃん。
「そうですね、ここでやっつければ全部解決です。ぱっかーんといきましょう」
「そうだよ、ぱっかーんと!」
どうやら「ぱっかーんと」は、アプリ版サーバルの口癖だったらしいとの情報も。そして、「同じ種類のフレンズが生まれることもあるって言うし」と、自分がそういう記憶が無いことを現サーバルちゃんは言いながら、いつの間にかその目には涙が。
実際のところはまだわからないけれども、もしかすると、あのサーバルちゃんがその後セルリアンに食べられて元のサーバルキャットに戻り、そこからさらにサンドスターで産まれたのが今のサーバルちゃんになったのではないだろうか、とも想像させられるこのシーン。素晴らしすぎる。
そして、ミライさんの何らかの遺物から産まれた、おそらくヒト形のセルリアンがかばんちゃんなのだろうか。そして「あれ、おかしいな、早起きしたからかな」と、涙の訳を多分本気で理解できていないサーバルちゃんがまたたまらなく愛らしい。
つまりは、あまりにベタな「前世で親友だった二人が生まれ変わって偶然出会って…」的ストーリーである可能性も出てきたのだが、さらにこのひねり技でぐっと泣かせにきている。そして二人はフレンズとセルリアンながら、ちゃんと友達、つまりフレンズになれたんだな的なことを考えるとさらに涙腺が…。いや本当かどうかは最終回までわからないけれども、多分11話を見た限りではそうなんじゃないかな(でも違うかも)。
そしてあまりにあっさりと海に到着!
ボスの操作で起動する船。
「サーバルちゃん、僕は海の外にヒトを探しに行ってみたい」
サーバルちゃんはかばんちゃんと一緒に住むことさえ考えていたのにね。かばんちゃんの気持ちもとてもわかるだけに、サーバルちゃん可哀想…。
「海の外? それって…」
そこで突然鳴り響く謎の爆音。
本当にこの作品は引きがうまいなぁ。この状態で一週間お預けを食らうのは本当に苦痛だった。
エンディングでは、今回は2人目のサーバルのところに野中藍さんがクレジットされていたね。しかし今更ミライさんとラッキービーストの声が内田彩さんであることを隠す意味ほとんどなさそうだけれども…。
そしてCパートで今回もアライさんパートその2。
「アライさん、ちょうど噴火した山にびっくりして、崖から落ちたんだって」
「その時確かに見たのだ! 黒い影が、ぼうしを持ち去ったのだぁ〜!」
「黒い影…気になるねぇ…」
「新作の参考になりそうですか! 先生!」
「あれー、それってその時生まれたフレンズなんじゃ…」
第11話「せるりあん」
さて、そして問題の第11話。謎の爆音が響いた港からいきなり始まる。現れたのは黒いセルリアン。サーバルちゃんのパンチも効かない。そして今回はオープニングもないけれどもあまりの緊迫感にそんなことさえ気が付かない勢い!
そこに現れたのは孫悟空ことキンシコウ。セルリアンハンターの一員らしい。
「そういえば、セルリアンに食べられたらどうなるんですか?」
「死んでしまう、というと言い過ぎかも知れませんが…」
「お話できなくなるし、私達のことも忘れちゃうもんね。…でも、なんでセルリアンってこっちに向かってくるんだろう?」
「サンドスターを食べてるって話もありますね。何にせよ、山火事のようなものですから、逃げることです」
そもそも、セルリアンの行動原理ってどういうものなのだろうか? なぜフレンズを襲うのか。たとえば、エヴァの使徒がなぜ人間を襲うのか、ゴジラがなぜ都市を壊すのか、それらにはどちらも一定の寓意があり、作品のテーマにも関わってくるのだが、ならばけものフレンズにおけるセルリアンの原理は何か。もしかすると、読んで字のごとく、「フレンズ」つまり「友達」が欲しいんじゃないかな、とか想像してしまうのだが、どうだろうか。
セルリアンの巨大足あとを見つけたところで、もう一人のセルリアンハンターのヒグマに遭遇。「食べないでく…」までしか言わせてもらえないかばんちゃん(笑)。いや、何と言ってもヒグマだからなぁ…。セルリアン本体はハンター仲間のリカオンが追いかけているらしい。
そんな時、地響きとともにサンドスターの山が噴火。ボスが緊急警告を発する。
「サンドスター・ロウの濃度が高くなっています。大規模な噴出の可能性があります」
ところでサンドスター・ロウって何だろう? Raw, Low, Law, ...? まあ多分Rawなんだろうな(下に追記。どうやらRhoらしい)。後で出てくるように、サンドスターの山にはフィルターが設置されており、サンドスター・ロウはこのフィルタで濾されてサンドスターとして放出されているらしい。何らかの事情でこのフィルタに隙間が開くと、生のサンドスターが放出されることになり、これは巨大セルリアンのエネルギーとなる。こういう設定ということでいいのかな?
(3月24日追記)中国語版の字幕によるところでは、サンドスター・ロウのロウは「ρ」、つまりRhoらしい。それは予想していなかった。アルファベットで言えば「r」だな。通常のサンドスターにも名前があるのかな?
blog.livedoor.jp
ボスが「少し様子を見てくる」と言って山の方に行く。かばんちゃんやサーバルはそのままの場所にいて、と言われるけれども、ボスの様子が変だし何の様子を見てくるのか謎なので、結局ついていく。セルリアンの足跡は山の方から来ている。そして足跡はだんだん小さくなっていく。
そしてヒグマとキンシコウの向かう先はだんだん足跡が大きくなっていく。リカオンと合流し、巨大セルリアンを迎え撃つ。「野性解放!」なる技を使い、 石のカバーまで削る。そんないいところでCM。
あ、リカオンでズーラシアが出てた。ちょっとズーラシアが出ると嬉しくなる横浜市民。暖かくなるのでまた子供を連れてズーラシアに行こう!
ちょうど頃合いもよく新しいリカオン兄弟がズーラシアで公開らしい。かわいい。でも去年ズーラシアに行った時は、リカオンは奥に入ってて出てきてくれなかった気がするんだよなー。
お待たせいたしました!
— よこはま動物園ズーラシア≪公式≫ (@zoorasia424) 2017年3月17日
2016年10月20日生まれのリカオン兄弟、3月25日(土)より公開です★
【公開日時】3月25日以降の土・日 9:30~11:30予定
運が良ければガラスビューの間近まで遊びに来ることもありますよ~(*≧∀≦*)
#ズーラシア #リカオン pic.twitter.com/DbRwptiW4M
山を登ってきたかばんちゃんとサーバル。足元に散らばる砲弾か爆弾のようなもの。
「五合目」の石碑の後ろに見えるB2らしきシルエットを持つ残骸と垂直尾翼、水平尾翼を持つ残骸。ジャパリパークがミニ日本列島を表現しているとすると、やはりこの山は富士山に相当するのかな。
ところで、見た瞬間「これはB2!」だと思ったのでB2と書いたんだけれども、当然ながらB2には尾翼はないので垂直尾翼、水平尾翼が謎だ…別の機体なのかな? …と思ったら、こういう解釈もあるらしい。しかし輸送機ってところがなぁ。多分この後の展開を考えると、ここで落ちているのは爆撃機だと思う。そしてサーバルちゃんもかばんちゃんもこの遺物が何の意味を持つのか全く把握していない。
けものフレンズに映った飛行機、指摘してくれた方の情報でロッキード社のステルス輸送機『スピードアジャイル(speed agile)』も近いかも。コンセプトイラストだと水平尾翼もあるし、エンジンのレイアウトも似ている。完全に忘れていた機体だったからとてもすっきりした。 pic.twitter.com/C7EBQ28j9J
— Hound@C91金曜 東e-14 (@Hound_7) 2017年3月21日
そしてミライさんのメッセージ。
「巨大セルリアンですが、やはり山から何かしらの供給を受けていました。黒いセルリアンは、あの能力があるため、攻撃せずに、先に山のフィルタを張り直す必要があったんです。無事四神を並べたので、私たちはこれから下山します。なんとしても、私達で先に退治しないと。フレンズの皆さんを避難させてからといえ、この島にあんなものを。」
「あんなもの」とは何か。この山に転がっている様々なものを素直に解釈するのであれば、大規模な空爆のことなのだろう。そしておそらくセルリアンに返り討ちにされている。1話でセルリアンが紙飛行機を警戒したことを、この空爆に結びつける意見もあるようだが、俺は考え過ぎではないかと思う。
「後日まとめますが、今のところ、いくら攻撃しても山からサンドスター・ロウを吸収すること、太陽の方向に向かっているということ、海を嫌がっていることなどが見て取れます。あ、カラカルさん、サーバルさん、いけますか?」
「はい、行きましょう」
「あ、四神の場所は、以前記録した『貴重な物』の場所そのものでした。また後ほど」
つまり、今ハンターたちが戦っているセルリアンは、火口でサンドスターのフィルターを修復しない限り、攻撃しても無意味ということか。ハンターたちを助けに行こうというサーバルちゃんの意見に対して、かばんちゃんは「先に山頂に行こう」と、ミライさんからのメッセージを正しく解釈して山頂付近に向かう。
フィルタの脇が空いていて、黒いサンドスター(おそらく、サンドスター・ロウ)がそこから溢れ出してきている。
そんなところに、アライグマさんとフェネック、ついにかばんちゃん&サーバルに追いつく! よくがんばったね。しかしやはり残念なアライさんは、かばんちゃんのことをぼうし泥棒だと思って追ってきただけだった模様。そして、
「嘘なのだ、お宝を独り占めするつもりなのだ。うわーはははは、ついに取り戻したのだー、さっそくこれを着けて、と」
もう一つの羽根を帽子に取り付ける。多分アライさんは、ボスからミライさんのメッセージを聴いて、中途半端に「お宝」の事を知ったんだろうな。
そして、崇拝していた「かばんさん」が、「ぼうし泥棒」と同一人物であるとやっと理解し、フェネックに諭されるんだけれども、またこのフェネックちゃんの適度な棒読みっぷりが何ともいいんだよね。
「アライさん、またやってしまったねー。この子がかばんさんだよ。やけに帽子の子と同じ場所で話が出ると思ったよ」
「…で、でもこれはアライさんが最初に見つけたのだ。アライさんが取られたのだ」
「でも、かばんさんってそんなことする子かなー。アライさんもべた褒めで、恩人だっていってたじゃないかー。きっと何か事情があるんだよ」
「うんぬぬぬー……はい。いったん返すのだ」
「ありがとうございます」
「飛びついたりして、ごめんなさいなのだ」
実は思い込みが激しいだけで素直でいい子のアライさん、かわいいな。
そしてやっと羽根が2本ついて、ミライさんとほぼ同じ形になった帽子を見て反応するボスは、再びミライさんのメッセージを流し始める。やはり、ボスが反応していたのは「ヒト」ではなくこのパークガイドの帽子に対してだったのかな? これさえあれば、アライさんしかいないところ(と思われる)でもボスは喋ったらしいし。
なので…かばんちゃんは別にヒトやヒトのフレンズでなくてもよい? という事になるんだろうな。
「その場所は火口の中心から東西南北、えっと、パンフレットで言うと「う」の「3」の交差点が、まさに中心点ですね。この像が東の青龍なので、あと3つ、埋まっていると考えられます。本当に、サンドスター・ロウの粒子をここでフィルタリングしているのだとしたら、まさにこの島にとっての宝ですね」
つまり…、
- 火口の東西南北に「四神」がいる(東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武)
- この「四神」が作るフィルターが、火口からのサンドスター・ロウの粒子をフィルタリングしており、パークの安定を保つのに重要な役割をしている
ということだったのか。そして発見される「四神」の姿はなんとモノリスだった! それぞれの四神の姿に似せたプリント基板の配線のようなデザインがなされたモノリス。
ここでアライさんが探していた一つが見つからず、そこでかばんちゃんが何かに気がついて、地図の向こうの沖合の島を見ながら、
「一つなくなっている? もしかして、この薄いものと関係が?」
とつぶやくんだけれども、ここは全く意味がわからない。薄いものって何だ? モノリスのことと考えるとちょっと文脈に合わないような気がするし。
そして、ものすごい勢いで吹き出し始めるサンドスター・ロウ。
これを受けて、まるで3Dモデルをぐぐっと拡大するように急激に巨大化するセルリアン(笑)。でも、サンドスター・ロウの粒子がどんどんセルリアンに集まっていくさまはなかなかすごい。
石のカバーが復元され、さらに硬化することで、もう容易には破壊できなそう。
そんなところで、やっとアライさんとフェネックが最後の1枚を発見。
「かばんさん、あったのだー!」
そして、ボスの「耳」のところが赤くなり、緊急警報をボスが発し続けるようになる。
「大量のサンドスター・ロウが放出されました。超巨大セルリアンの出現が予想されます。パークの非常事態につき、お客様は直ちに避難してください。ここからの最短避難経路は日の出港になります」
「ラッキーさん、今はそんな場合じゃ」
「駄目です。お客様の安全を守るのがパークガイドロボットの僕の努めです。直ちに避難してください。ここからの最短…」
「ラッキーさん。僕はお客さんじゃないよ。ここまでみんなに、すごくすごく助けてもらったんです。パークに何かが起きているなら、みんなのためにできることをしたい」
かばんちゃん…もうかばんちゃんの正体なんてどうでもいい。俺はここで恥ずかしげもなく泣いていた。そしてボスの目にうつるのはまさにミライさんの再来のようなかばんちゃんの姿!
「わかったよ、かばん。危なくなったら、必ず逃げてね。かばんを暫定パークガイドに設定、権限を付与」
そして、アライさんが掘ってた「青龍」がやっと発動し、火口のフィルターが復活する。サンドスター・ロウの放出も収まったらしい。そして、ハンターたちと戦っていた巨大セルリアンがこれにより停止、太陽の方向に方向を変える。ところで、かばんちゃんにパークガイドの権限を付与したということだけれども、具体的に何ができるのだろう?
かばんちゃん一同、ハンターたちと合流して作戦会議。日が暮れたらバスのライトを使ってセルリアンを誘導、問題が起きたら火で誘導する作戦。フレンズたちはみんな火を怖がるけれども、ただ一人ヒグマはそうでもないらしい(もちろんこれは実際のヒグマの習性から来ている)。
セルリアンは自分では海に入らないとようなので、船に明かりで誘導し、足が乗ったところで沈めるという作戦。
「え、船、ダメだよかばんちゃん、だってかばんちゃん、あれに乗って外にヒトを…」
「いいの、サーバルちゃん、そんなことより今は、みんなとパークを!」
かばんちゃん…。未だ性別はわからないけれども、君は漢だ!
「うまくいくかわかりませんが…いえ、これでうまくいかせましょう!」
サーバルちゃんがハンターたちに「ありがとう」というところとか、もう勝手にかばんさん伝説が出来上がりつつあるところとか、このあたりの会話が実にいいね。胸が熱くなる。
「パークの危機はみんなで解決しないと」
「今まで見えないところで頑張ってくれていたんだね! ありがとう」
「かばんさんも言ったそうなのだ。困難は群れで分け合えと」
「え、ぼくそんなこと言ったっけ」
「さらにかばんさんに加えてアライさんまで! 無敵の布陣なのだ」
「え、お前特技ってあるのか」
「あさっての方向に全力疾走ができるよ!」
作戦開始。ジャパリバスの前方を切り離して、バックしながらライトでセルリアンを誘導する。ああ、2話でジャパリバスが発見された時、川の対岸に前部があって、橋が落ちていたのは、もしかして同様の作戦で橋の上にセルリアンをおびき寄せて橋を落としたんじゃ…とか想像させられる伏線の張り方、本当に凄い。
「ボス! 今日はかっこいいね!」
「まかせて」
そんなことをいうからフラグが立つんだよ…。
というわけで、途端にセルリアンにやられてしまう。
そしてバスから放り出されたサーバルちゃんは、襲ってくるセルリアンの腕からかばんちゃんとボスを守るために投げ上げ…。
自分はセルリアンに取り込まれてしまう(涙)。
ヒグマは冷静に、サーバルのことは諦め、本来の作戦である松明での誘導をするように言うのだが、かばんちゃんは諦められない。作戦を実行するヒグマに抱えられたボスの目は不思議な色に光りだす。何をしているのかな。他のボスたちに通信して招集をかけているのかな?
そしてかばんちゃんは、ロープ状の枝を体に縛り付け、木を登り、セルリアンの中に飛び込んでサーバルちゃんを救い出す!
色んな人が指摘していたけれども、1話でカバさんに
「あなた泳げまして? 空は飛べるんですの? じゃあ足が速いとか? あなたなんにもできないのね…」
と言われていたかばんちゃんが、走って、サーバルから習ったように木を登り、飛んで、泳いで、そして自分の知恵でサーバルちゃんを救い出すという、胸熱展開が物凄い! ここまで計算して1話のカバさんのセリフを作ったとしたら本当に最高のアニメだ。
サーバルちゃんを救い出した直後、巨大セルリアンの足に現れていたキューブのようなものが一瞬で地面にめり込んだように、体全体がずっと沈む。
なぜだろう。サーバルちゃんを抜いたからか? いや、俺はこれは「かばんちゃんが抜けたから」なんじゃないかと思う。根拠は薄いけど。セルリアンの中に入ったフレンズであるサーバルちゃんは意識を失った。でもかばんちゃんは意識を保ったままサーバルちゃんを助けた。かばんちゃんはやはり「フレンズ」ではないのではないか? そしてかばんちゃん自身も中に入って何かを感じたんじゃないか。そう思うのだ。最終回まだやってないから勝手な憶測を書いているけれども。
サーバルちゃんは、かばんちゃんの呼びかけに答えて少し眉が動いたようだ。だが意識はなさそう。記憶はどうなのだろう。
そしてセルリアンの目が再びサーバルちゃんの方を向いた時、かばんちゃんは決断する。松明に火をつけ、セルリアンを自分の方に誘導する。
「サーバルちゃん、見るからにダメで、なんで生まれたかもわからない僕を受け入れてくれて、ここまで見守ってくれて…」
おいやめろ…。
「…ありがとう。元気で」
おいおいおいおいおいおい…あああああああああああああああああああああ!!!!!!!
みんなそう思っただろ、そうだよ俺もだよ。
でも俺は信じているぞ。冒頭に書いたようにユリアンの言葉を借りれば「かばんさんは勝算のない戦いはなさいません」。そうだ。きっと大丈夫だ。大丈夫だよ…な?
そしてエンディング。フレンズの影が廃墟から消えてる…。きっと…きっとこれはみんなかばんちゃんを助けにやってきてくれるんだよ。そうだよ。な?
あと、スタッフロールの順番が、原作:けものフレンズプロジェクト、コンセプトデザイン:吉崎観音、から始まって通常の順番と異なっているのだけれども、これは単純にオープニングが今回なかったからという理由だと思う。深読みは多分なし。
そして次回予告。ボスしかいない…。PPPはどこいった。でもここでボスが出している音が、ヒグマの脇に抱えられて目が虹色に光っている時の音と多分同じだ。きっと…水辺にいるボスに連絡して、PPPがかばんちゃんたちを助けに走ってきてくれているんだよ。だよね?
前回のと比べると、看板も朽ち果て、ヤシの木は伸び、花畑は草ぼうぼうになっている。相当な時間がたった後、という設定なのか。まあそもそも人形劇なんだけれども。
そして肝心の最終回のタイトルは「ゆうえんち」。そうかそうか、この3話のトキに釣れられて「こうざん」の上まで登る時のシーンの右端に見えるこれ。
この観覧車!
(見る者の視線を画面左側のトキとかばんちゃんに集中させながら、右端にこんな異物を突っ込んでくるこのアニメは本当によく練られていると思う)
この伏線まできっちり回収する気なんだな!
というわけで、次回最終回。皆の者、刮目して待て!
(2017年3月26日追記
そういえば、4話の「溶岩」って黒セルリアンが溶解したんじゃないのか? と思った。
- 黒セルリアンと色が似ている
- 溶岩が入ってきた割には周りが焦げていない(常識的にありえない)
- 出入り口付近から入ってきているのに、平面状ではなく小山のように固まっている
つまり、これは出入り口から入ってきた複数の黒セルリアンが何らかの理由で融解したのではないか…。そんな気がするぞ!