xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

けものフレンズ:廃園の天使(第7〜9話まとめ)

2017年冬アニメ「けものフレンズ」に関しては今まで3話毎に1回書いているが、今回はその3回目。

(2017年5月10日追記)
GWに佐渡のトキの森公園に行ってきました。野生のトキさんにも遭遇。
xckb.hatenablog.com


さて、この「けものフレンズ」がいよいよ全12話中9話まで放送され、怒濤の勢いが落ちるどころかさらに目が離せない存在になってきている。オーソドックスに言えば起承転結の「転」までやってきたとも言えるのだが、幾つかの謎の答えが明らかになり、また新たな謎が供給され…というバランスも絶妙で、実に素晴らしい。そんな中でとても興味深い長文インタビューが先日公開されていた。

www.animatetimes.com

このブログで今まで書いてきた1〜3話相当4〜6話相当の答え合わせにもなるような部分もありつつ、そして新しくわかった部分も沢山ありつつと、とても面白いインタビューとなっている。詳しくは別途読んでいただくことにして、まずはいくつか特に気になった点をピックアップしてみたいと思う。

怒涛の3万字インタビューについて

――たつき監督の作業は、どこからどこまでですか? とても多そうに感じます。

梶井:声優以外は全部だよね?

一同:(爆笑)

福原:まぁ、わかりやすく言えばそうですね。全12話をひとりで演出してますから。お話も99%が吉崎先生とたつき君が考えてます。脚本からコンテまでをひとりでみているから、作業のカロリー計算ができるんです。例えばレイアウトひとつとっても、下半身を映さないだけでアニメーションは減ります。でも上半身ばっかりのシーンが続いたらつまらないから、どこを見せてどこを隠すか、それを不自然にならないようにコントロールしています。Vコン(ビデオコンテ)を作って仮の声をあてて尺を計算したり、プリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションといった、作業進行を、ひとりで行ったり来たりしてます。

――全部ひとりでやっちゃうなんて超人ですね。

福原:そこらへんはプレスコで作ってきた『てさぐれ!部活もの』の経験が活きていると思います。たつき君はその場のグルーヴ感で「これはやったほうがいい」と思ったら作業しちゃうんです。その後のカロリー計算も、しっかりできる人だから。本来だったら脚本を変えるときは、仁義を通す相手がたくさんいます。コンテマン、脚本家、に頭を下げて回らないといけません。ですが『けものフレンズ』は、その労力はほとんどいりません。

とにかく制作体制が少人数精鋭であるということは、前回書いた通りわかっていたのだけれども、その中でも要の場所にいる監督が、まさかここまでやっているというのが凄まじい。ここまでやって鳴かず飛ばずだったら本当に可哀想なんだけれども(1話が放送された後の反応とか想像すると、思わずもらい泣きしそう)、一世を風靡しているといっていい現在のブームを見るに、報われてよかったねぇ、と言うしか…。

私が「けものフレンズ」の前にドハマリしていたアニメというと「四月は君の嘘」(2014秋〜2015冬)とかになるんだろうけれども、あれにも共通している「制作プロセスの構築段階から制作側の情熱が見えていて、なおかつそれが作品のクオリティを上げるのに成功している」タイプのアニメってのが、きっちり商業的に成功をおさめるってのは実に良いことだと思う。

少人数による機動的なTVアニメ作成ってのは、今でこそ「けものフレンズ」レベルのCGクオリティ(笑)でしか実現できないかもしれないけれども、IT方面の技術の進化速度を考えれば、そう遠くないうちにもっと高度な作画のアニメが、こういう一種アジャイル的な、作家性を強く出すことのできる制作体制に持っていける可能性は十分にあると思う。

『次は「けものフレンズ」みたいなアニメを作ってくれ』、的な話じゃなくて、『X年後、どのようなアニメなら「けものフレンズ」みたいな体制で制作できるのか』、みたいな話に持っていければ、いろいろな意味でいいことだと思うし、面白いんじゃないかな。

――ちょうど1年前くらいだったのですね。

福原:『けものフレンズ』の構成は、「かばんちゃん」と「サーバルちゃん」が各地を廻るロードムービーっぽい作品なので、毎回登場したゲスト動物と「出会い・別れ」を繰り返していきます。

――いま放送されている構成ですね。

福原:でも、この流れで作ってしまうと、シリーズを通してみると、常に登場しているのは「かばんちゃん」と「サーバルちゃん」の2キャラクターだけになってしまいます。そこで、常にふたりに絡んでくるキャラクターとして、「アライグマ」と「フェネック」、「PPP(ペパプ)」を考えました。こうすることにより、「かばんちゃん」と「サーバルちゃん」が縦軸で出演し続け、「アライグマ」と「フェネック」、「PPP」が横軸で絡んでくる。その結果、三次方程式のような複雑な構成ができあがりました。

そうそう、「けものフレンズ」のロードムービー的側面ってのを考えると、やっぱり自分が子供の頃にテレビで毎週楽しみに見ていた「銀河鉄道999」を思い出すんだよね。鉄郎がかばんちゃんでメーテルサーバルちゃん的な。色合い的にも帽子的にもなんか似ているし。

そこに追跡者としてのアライグマとフェネックが絡むことで、物語に毎回謎のスパイスを加え、なおかつ以前の回に出てきたキャラクターを振り返ることができる…という一石二鳥の構成は実に素晴らしいと思う。アライさんパートマジック。

このままの調子で最後までいってくれれば、子供にも安心して見せられるようなアニメになるんじゃないかな(目指せEテレ再放送!)、と思ってしまうんだけれども、惜しむらくは1クール作品であるところかな。1クールで話をちゃんとつけて欲しい気持ちと、今後もこのゆるい旅を続けて欲しい気持ちのせめぎあいになってしまっている。

ちなみにうちの息子にはまだ見せていないんだけれども、まあそれは今彼がEテレの「びじゅチューン」に大ハマリで、ただでさえ保育園の他の子供と話が合うのか心配しているところに、さらにこれを見せたら泥沼化するのでは的な危惧があるからで(笑)、そのあたりが問題なさそうであれば「けもフレ」を見せて反応を聞いてみたいな。

福原:関わってる自分が言うのもおかしいですが、『けものフレンズ』って、なんか変わったツクリの作品ですよね。ゲームのときの「サンドスター」は空から降ってきたんですよね? でもアニメは火山から出てきてる。

梶井:うん。あれは火山から出てきている理由があるんです。きちんと説明したら、きっとわかってもらえると思います。なかなかシビレる内容で、特にゲームやってた人には……。

おおっとそこにどんな謎があるんだ…。

とは言っても、ゲーム未プレイ組としては、既にゲームがプレイできないというところが実にもどかしく、ネットに転がる資料やら体験談やらを集めて考古学的に真実に近づくしかないんだけれども、それがまた面白い。このインタビューでも、アニメ放送開始直前にゲームが終了したのはただの偶然だ、と触れられていましたが、期せずして(?)謎解きに関してはその方が明らかに楽しくなる方向に作用しているし、おそらくゲームプレイ組に関してもそれはそれでワクワクさせられる要素が増えているのだろう。偶然にしてはあまりに巧みすぎる、としか言いようがない。

そんなわけで、おそらく今までで一番濃い「けものフレンズ」に関するインタビュー記事、未読の方は是非。

では、7話〜9話について、ざざっと見ていくことにしよう。

第7話「じゃぱりとしょかん」

じゃぱりとしょかんのデザインは実に魅力的だ。齧られた林檎に知恵の樹の組み合わせが完璧すぎる。

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中央の樹は中から見ると、周囲の書庫とあいまって、世界樹のような荘厳さがある。ラピュタ世界樹のようだ。色々CGの質に関して言われるこのアニメだが、少なくとも美術の質はかなりのものだ思う。

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そんなわけで、文字が読めるということで、ジャパリまんを食べ飽きて「せっかくこの体になったので、この体でしか食べられないものを食べてみたい」状態になっているはかせと助手に料理をつくることになったかばんちゃん。

そしてそんなことになっても「たいへんだねー、なんでそんなことするんだろう」と、料理の価値を一切認めない、というか認識できないサーバルちゃんが実にいい。

やはり、ヒトの文明を作った大きな要素は火なわけで、火を怖がらないかばんちゃんは実にヒト。そして火をおこす際に、一番手間のかからなそうな虫眼鏡を選ぶかばんちゃんなかなか賢い(そういえば、このアニメでは太陽が出ていないから屋内で太陽はないのでは的な考察があったけれども、だとするとこの火をおこすシーンと矛盾するように思うので、それはないはず)。

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そんなこんなで出来上がったカレーを食べるシーンに関しては、この動画が実にツボだったな。いやーまさにその通りとしか言いようがない。

www.nicovideo.jp

はかせと助手に「かばんちゃんがヒトだ」と聞かされた時に、事前にハシビロコウに聞かされていたので驚かないものの、「ヒトはもう、いないのです」「ヒトはもう、絶滅したのです」と聞いた時にすぅーっと目から光が消える演出(この作品では絶滅種・絶滅危惧種のフレンズの目のハイライトは薄い)は、既にいろいろな人が指摘しているけれども、実にいい。

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そういえば、1話でかばんちゃんがサーバルに対して「あなたはここの人ですか?」と聞いているので、ハシビロコウから自分が「ヒト」と聞いて驚くのはおかしい、という意見もよく見る気がするが、「ここの人ですか」の「人」と、動物の種としての「ヒト」は同じ発音だがぜんぜん違う概念で、たとえば昼飯と言いつつご飯ではなく麺類やパンを食っているようなものではないかと思う(と、やや強引なフォローをしておく)。

そんなことを言うと、「ヒトの近くにはなぜかよくセルリアンがいたそうです」「見かけたらすぐ逃げるのです。美味しいものを食べてこその人生なのです」だって「人」生だしね。それはともかくとしてセルリアンの正体って何なんだ…。

第7話アライさんパート

「サバンナでその帽子を見つけた時、そこを通ったボスがなんと喋りだしたのだ!」
「俺っちもみたっすよ。ボスが喋るところ」
「アライさんには何っていったでありますか?」
「えっとー、なんだっけフェネック?」
「フレンズや私達にとって、とても大事なものが埋設されていることがわかりました。その場所は…」

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さて…。相変わらず絶妙なあんばいで謎を振りまいてくれるアライさんパート。

  • 実はボスが喋るのは人間に対してではなく、帽子に対してなのか? あるいは1話の表現からすると羽根に対して?
  • 「フレンズや人間にとってとても大事なもの」がどこかに埋設されているが、場所は話の展開上まだ明かしたくない

結局アライさんあのログハウスに泊まったのかな。

第8話「ぺぱぷらいぶ」

予告編の段階から「この回どうなるんだ」と戸惑いを生んだアイドル回。色んな意見があるようだけれども私は結構好きだ。なにより、この低予算アニメでライブのあるアイドル回をぶっ込んできた度胸には敬意を表したい。この回のお陰で「ようこそジャパリパークへ」の間奏のセリフのところで、やっと声と顔が一致するようになったし(笑)。

(それにしても初回限定盤のはずがさらに増産しているようだが、まあよいことだな。けもフレの場合に限っては)

ライブ会場ではボスが初めて複数登場。いくらなんでもはかせと助手だけであのライブ会場が設営できたとも思えないので、そのあたりはボス軍団も働いていたのかも。

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「でも珍しいね、同じ場所にボスがいるなんて」
「今日はフレンズがたくさんいるからね」

通常はボスは1箇所に複数いないらしい。なぜだろう。

ところで、この木の上のシーンで、マーゲイの鼻息に反応して耳をピクリとさせるサーバルの動作が実に素晴らしい! と思うのだが…。

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褒めた途端にモブの2Dになると途端に色々雑になるところがこのアニメの実に潔いところだ(笑)。セーラー服ジャイアントパンダかわいい。

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それにしてもマーゲイのオタクっぷりも大概だけれども、考えれば考えるほどロイヤルペンギンも凄い。マーゲイが「PPPは初代は4人、二代目は3人、三代目は5人なんですよ」って言っていたけれども、どうもゲーム版ではPIP (Penguin Idol Project)という4人組ユニットだった模様。

これがアニメの設定だと、ロイヤルペンギンが初代を好きすぎて同じ種類のペンギンたちを集めて新生三代目PPPを結成。しかし初代にはロイヤルペンギンはいなかったという点が心に引っかかっていて…的な設定にうまく適応されているわけで。やはりオタクからマネージャーに昇格したマーゲイより、メンバーでありながら事実上プロデューサもやってるロイヤルペンギンのほうが色々と濃いと言えるだろう。

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それにしても、ライブのシーンはCG兵団よく頑張った。今回はモブシーンがどれだけ雑でも許そう(笑)。

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ライブ終了後、PPPメンバーから色々と重要な情報が明かされる。

「次は海の近くでライブがしたいな」
「それでは泳ぎもパフォーマンスに」
「海?」
「知らないのか?パークの周りはぜ~んぶ海なんだぞ」
「ヒトの住んでるところを探してるのか?」
「たしか最後、港で目撃されたのよね」
「でもそうとう昔よ、もういないでしょ」
「僕もヒトらしくって、ヒトの住んでたちほーを探してるんです」
「なわばりが思い出せないなんて大変ですね」
「でもヒントが見つかりました」

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つまり、

そして港への旅が始まる…。

第8話アライさんパート

そして今回はちびちびと真実が明らかになるアライさんパート。

「つまりそいつはぼうし泥棒なのだ!」
「みえんな」
「そんな子じゃないよねー」
「あんな巨悪を許してはパークの危機なのだ」
「勘違いじゃ?」
「多分勘違いなんだけどねー」
フェネックまでー!」

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あららら…なんか以前から「パークの危機!」とか言ってるから凄い情報を握ってるのかと思ったら、単なる勘違い? アライさんの視点から見て「ぼうし泥棒」と認識された人物を、「ぼうし泥棒」したという理由でアライさんは追っている、ということか。

第9話 「ゆきやまちほー」

ところで、今あらためて読むとなかなか趣深い、内田彩さんの「けものフレンズ」放送開始前(2016年10月)のツイート。

さていよいよ9話。

今回は「ゆきやまちほー」。実際の大型動物園にありそうな地方が一揃い出てくるのが実にいいな。それにしても雪山に軽装備すぎる…。まあこの回の後で分かることながら、服の概念がないのであれば致し方ないか。ここの看板は日本語で「登山コース」なのね。

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案の定遭難して、かばんちゃんの知恵でかまくらを作ってやり過ごすのだけれども、そこにやってきたギンギツネとキタキツネの2人に対して久々の「たべないでくださいー」が聞けてよかった。

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ところでキタキツネが磁場云々と言っていたけれども、実際にそういう研究があるらしい。

karapaia.com

ちなみに動物の磁場感覚については先日読んだこの本が面白かった。この本がどの程度真実に近づいているのかは残念ながら専門外なので全くわからないけれども、はるか昔に物理学科にいた人間としては結構ワクワクして読むことができた。

量子力学で生命の謎を解く

量子力学で生命の謎を解く

ああ、話を戻そう。この、ボスが足湯で雑に解凍されているシーンは思わず笑ってしまった。

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サンドスターの山に4話の溶岩、そしてこの9話の温泉ということで、火山を連想させるものが「けものフレンズ」には多く出てくるが、3万字インタビュー記事にもあったようにここらへんに色々と謎が隠れているようなので色々と楽しみである。

それにしても、地熱発電所らしい施設がギンギツネとキタキツネでメンテナンスされていると推定できる描写があったが、「こうざん」のジャパリカフェの電源やジャパリまん製造工場と同様、結構なインフラがフレンズとボスのメンテナンスで生きているっぽいなぁ。

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日岡田斗司夫が、「けものフレンズ」に「サイレント・ランニング」を引き合いに出していたって話をどこかでチラ見した気がするけど、そういう線もあるのかな。あ、Blu-rayが出てる。「ラピュタ」のラストシーンはこの映画のラストシーンへのオマージュだと私は今でも信じてる。

こうしてみると、以前からエンディングの映像の廃墟の遊園地に混じって、一つ異色なローマ水道の遺跡が混じっている、という指摘がされていたけれども、あれもそういう生活インフラも生きているぞ、的な意図で入れられたものなのかもしれないな。

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そして突然のボス覚醒に引き続き、ボスから衝撃の録音が再生される。

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「やー、セルリアンの調査に来て、温泉が見つかるとは。ふわーー…あ、じゃ、なくって、おほん。昨日の事件を見るに、セルリアンはサンドスターを奪っている、というか食べているのでは、と考えられます。ですので、万が一フレンズさんが食べられた場合、サンドスター由来の技や個性が消滅、元の動物に戻る、消滅してしまう、などが有り得るのではと。まだ予測の域ですが。はー、こんな可愛らしいフレンズさんたちを脅かすなんて許せません。なんとか原因を突き止めないと。」
「ミライさ~ん、見てみて、これって海じゃないの?」
「えー、それは海じゃないですよ」

これを聞いてサーバルちゃんが「あー…、今の声…」ってつぶやく。ゲーム未体験組の私にはわからなかったけれども、どうも「ミライさ~ん、見てみて、これって海じゃないの?」って喋っていた声が、アプリ版のサーバルちゃん(野中藍さん)らしい。そして温泉を海と勘違いするという、現在のサーバルちゃんと同じ勘違いをしているところからもそれを示唆されている。

なんという衝撃の事実。

  • ミライさんとサーバル(先代?)はセルリアンの調査にこの温泉を訪れていた
  • セルリアンはサンドスターを食べているらしい
  • 当時、セルリアンがフレンズを捕食した場合、どのようなことが起こるのかわかっていなかったが次のような予測をしていた
    • サンドスター由来の技や個性が消滅
    • 元の動物に戻る
    • 消滅してしまう

こうして繋がるゲーム版「けものフレンズ」とアニメの世界。インタビューでもゲーム、漫画、アニメの世界は繋がっていると語られていたのを読んだ直後だったこともあるのだが、なかなかの衝撃だった。そしてこれを受けて続く会話で、サンドスターの山に関しては、ギンギツネやキタキツネとの会話で次のように触れられていた。

「あの山、他にも色んな逸話があるわよね。一度見てみたいわ」
「あの山ってどうなってるんだろう? ギンギツネ知ってる?」
「私もまだ行ったことないわ。ちがうちほーだしね。それに、神聖な場所だから、入るにははかせの許可が」

はかせの許可があれば入れるんだ…謎の権力者だなはかせ。あと3話だがその中であの山に入る日が来るのかな?(インタビューの記事から考えれば十分ありそう)楽しみだ。

そしてそこに襲ってくるセルリアン。

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かばんちゃんの知恵で、(やや無理がある気がするのではあるが)即席のソリを作って逃げる。それにしても「ソリ」って言葉を誰が知ってたのかな? かばんちゃん?

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一件落着した後で、ギンギツネさんが「後でハンターにも連絡しておくわね」なんて言っているけれども「ハンター」なんて組織もしくは個人が存在するのか? 調査兵団みたいな奴らだったらどうしようとか一瞬思ってしまった(カバネリの狩方衆の件がややトラウマになっている感)。これ以降の3話中で出てくるのかな?

そしていよいよ温泉回本番…と思ったらみんな着衣のまま入浴している! そして温泉ということで一瞬登場するカピバラは、2Dで顔だけ描いている。相変わらず潔いが8話のモブよりはかなりクオリティ高い。

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それにしてもここからの会話は本当に衝撃だったな。

「これ、服のまま入っていいんでしょうか…」
「服って何?」
「えっ、これですけど」
「えーー、それって取れるの? 私のも?」
「すごい発見だわ!」

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「それって取れるの」っていう返しが、7話でかばんちゃんが文字を読んだ時のサーバルちゃんの反応の「えー、かばんちゃん、急に何言い出すの」と同様、実にいい。

「え、でも人前で全部脱ぐのもなんというか…」
「へー、服を脱ぐとツルツルになるのね」
「かばんちゃんも脱ぎなよ」
「脱ぐとお湯が暖かい」

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…と続くわけではあるが。

ここであえてペダンティックに突っ込むならば、裸になって恥ずかしいという感情のシンボルは、まさに第7話の知恵の木と林檎であるわけだが、まあ多分それは考えすぎだろう。

ちなみに、以前「かばんちゃんは帽子を取ったことがないのでかばんちゃんは帽子のフレンズだ」という考察が一部にあったようだけれども、この温泉シーンでかばんちゃんは初めて帽子を外している。サーバルやギンギツネ、キタキツネの耳は外れていないようだし、多分その考察はハズレではないのだろうか。アライさんの「ぼうし泥棒」発言にもちょっと合わない気がする。

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「そういえば、港にさっきのソリの大きいのがあるみたいよ」
「えー、ほんとに?」
「海の上を移動できるんだって」
「なんておそろしいことを…」
「海ってソリじゃないと入れないの?」
「入れるけど…あなた泳げるの」
「え、海ってそんなに大きいの?」
「ヒトは動かせたって話もあるから、カバンなら動かせるかもね」
「え、そうなんですか?」
「ますます港が楽しみだね」

サーバルちゃんの妄想の中での海は最高にかわいい。

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ソリみたいな船って双胴船か水中翼船かな。海に着くのは第何話だろう。

第9話アライさんパート

今回は2回アライさんパートがあった。ということで、だいぶ追い詰めてきた感じ? それにしてもバスもないのになんでそんなに速いの? もしかして、かばんちゃん&サーバルちゃんが寄り道し放題でのんびりしているだけ?(笑)

まずはアライさんの「なんかいい匂いがするのだ」から始まるじゃぱりとしょかんにて。

「というわけで、詳しい場所はわからないけれども、山に入りたくって」
「あれは神聖な場所なのです」
「はいってはいけないのです」
「えーーーー」
「気になるですね。これはもしかすると」
「もしかして、四神の位置がわかるのでは?」
「このまま追わせたほうが良さそうですね」
「ですね」

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「四神」というのは東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武の四神なわけだけれども、これはゲーム版で「四神クエスト」というのがあったらしい。導入は2016年3月で無料化の直前。

エストの内容は古文書(四神クエスト -けものフレンズ攻略Wikiまとめ - Gamerch)に残されていたりするのだが、出現時間に制限があったりしたらしい。こんな風に。

さて、この「四神」が物語にどう絡んでくるのか、楽しみだ(それにしても龍のフレンズはどっか「別の番組」に出張中なので出ないんだなぁ、なんて言っていた気がするけれども、この調子だと青龍のフレンズは出るのかな?)。

そして初の第二アライさんパート。今度はPPPのライブ会場。

「そう、まさにこの前の噴火の日に盗られたのだー」
「ああ、この前の。結構大きかったですよね」
「今年は新しいフレンズがたくさん生まれてそうだな」
「どういう時に生まれるんだっけ?」
「サンドスターが動物に当たると、フレンズになるんだ」
「あるいは動物だったもの、とかね」
「そう、ここだけの話、ジャイアントペンギンさんがそのタイプらしいですよ」
「えええーーーーー!!!」
「どおりで、見た目と裏腹に貫禄があると思ったのよね」
「歴史の重み、的なものがあるな」
「カバンさんも今年生まれなんでしたっけ」
「へー、カバンさんも通ったのか。何かと縁があるなぁ」

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また、さらっと衝撃的な事実が…。

  • 先日の噴火の日に帽子が盗まれたとアライさんは考えている
  • サンドスターが動物、もしくは動物だったものなどに当たるとフレンズになる
  • ジャイアントペンギン(3000万年以上前に絶滅し、既に化石しか残っていない)もフレンズになっている
  • アライさんは「かばんさん」のことを、橋を作ってくれた恩人と思っており、ぼうし泥棒と自分が考える「かばんちゃん」と同一人物であると思っていない?

兎にも角にも、おそらく10話か11話で追いつくであろうアライさんがどういう形でかばんちゃんとサーバルちゃんに絡んでくるのか、実に楽しみだ。

というわけで…

あと3話しかないなんて信じられない。どうしよう。

ちなみに今回のブログのタイトルはこちらから取ったのだけれども、「けものフレンズ」との直接の関係はもちろんない。しかし、ある事情で利用者が来なくなった仮想空間に取り残されたAIたちの姿を描いている作品なので、「けものフレンズ」視聴者が読むと、なかなか趣深いものがあるかも知れない。現実世界よりもずっと速く時間が流れる仮想世界なので、利用者が来なくなってから既に数百年〜千年の時が仮想世界には流れているのだ。

面白い作品なので、興味を惹かれた方は是非。Kindle版もあるぞ。

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

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ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)