xckb的雑記帳

15年ほどWeb日記をつけ続けていたのですが2012年で一旦休止、1年半ほど休んで新天地でぼちぼちのんびりまた始めてみることにしました。

ついに復刊! 古屋兎丸『Marieの奏でる音楽』

私がふと思い出したようにAmazonを検索してしまう本がいくつかあります。好きだったけれども廃刊してしまった何冊かの本を、「復刊していないかな、しているといいな」…そんな儚い希望で検索するのです。

そして4月19日、ふと偶然検索したそんな一冊が、なんとまさにその日に復刊していたことを発見しました。古屋兎丸の初期の漫画「Marieの奏でる音楽」です。

Marieの奏でる音楽

Marieの奏でる音楽

というわけで、早速家に帰って昔のオリジナル版を読もう、と思ったら…本棚をいくら探しても…ない。この作品だけではなく、古屋兎丸の初期の作品「Palepoli」「Garden」「Wsamarus 2001」あたりが全部まとめてない! 本当にない!!

Palepoli

Palepoli

Garden (Cue comics)

Garden (Cue comics)

Wsamarus 2001 (Cue comics)

Wsamarus 2001 (Cue comics)

なんかそういえば、記憶をたどると昔の引っ越しの時か何かで、このあたりがまとめて無くなったことがあったようななかったような。どうも嫌な記憶なので封印していた気がします。人間の記憶って本当にポンコツですね。

とりあえず今だとこれら3冊は電子書籍で出ているので、とりあえずKindleで買い直しました(でも「Garden」に収録の、あまり一般にはお勧めしがたい恐るべきエログロ作品の「エミちゃん」の袋とじは、電子書籍だと当然再現不能だし、かと言って古書だとまず袋とじは破られていると思うし…と、少々悩ましいところです)。そして「Marieの奏でる音楽」は、新装版の到着を待ったのです。

そんなわけでポチった復刊新装版が届きました!(仮に旧版がなくなっていなくてもポチってましたが…)

旧版だと上下巻に分かれていたものを1冊にまとめ、なんと528ページのずっしりとしたボリューム。旧版のカラフルな装丁も良かったけど、背景が白黒になったこちらもとてもいい。一瞬別の絵かと思ったくらい印象が変わっています。表紙は旧上巻表紙のピピで、裏表紙は旧下巻表紙のカイの絵です。

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帯に「ひさびさに読み返してみたら自分でも泣いてしまいました」なんて作者のコメントが書かれていますが、私も早速久々に読んでみました…。


これはいい! やっぱりいい!!


久々に見るピピとカイ、そして精緻に描かれた歯車たちの乱舞がやはり物凄い。なんだろうなこれは、やっぱりラブストーリーなんだろうな。流石にオチも何もかも知っているんだけどやっぱり久々に読むとワクワクするし、忘れていたたくさんの途中の伏線に気づいてああ!となって、そして最後の章ではやっぱりホロリとさせられてしまう。

そしてこの作品もやはり、王道のテーマを正面から構えて描いた作品ってところが非常に私の好みです。なにかといえばやはり、人間と科学技術。

この王道テーマをがっつり描いた作品で、他に私の印象に残っているのは、やっぱり宮﨑駿の「風の谷のナウシカ」(特に最終巻)や上橋菜穂子の「獣の奏者」ですかね。

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

この3作品はどれも、そのテーマに対して主人公が下す結論は異なるんだけど、いずれの作品もその結論が絶対だ、という終わり方をしていないと思うんだよね。まあ、正解のない問題なので当たり前なんだけれども、どれも物語が終わってからの先の未来の世界に「次の問題」や「次の結論」を投げているように思います。それがこの「Marieの奏でる音楽」ではさらにはっきりとしていて、最終章が「次の結論」が出るのであろう「時」で終わっている(しかも「次の結論」は出ていない)ところが実に面白いと思います。

そしてやっぱり、こういう重厚なテーマを描きながら、同時に一捻り二捻りあるラブストーリーに仕上がっているところが、やっぱり傑作といえるんだろうなぁ、と思うのです。

未読の方でここで挙げた作品が好きな方には特にオススメです!

しかし古屋兎丸は本当に作品の幅が広いよなぁ。そしてそれぞれ結構深いし(「Garden」の錬金術ネタの「月の書」とか最高だね)。

ああ、そういえば古屋兎丸氏といえば、こちらの映画にも実にアレな感じの役で出演していましたね。関係ないけど俺はこの映画のつぐみが大好きなのだ(その後ちょっと残念な方向に進んで引退してしまった人ではありますが)。




ちなみに同じ日に私が「復刊しないかなぁ」と思いながら検索したそれ以外の作品の一つはこれ。篠田節子の「弥勒」。

弥勒 (講談社文庫)

弥勒 (講談社文庫)

日本人の男の主人公が、ブータンチベットを思わせる山奥の国で革命が起きたことを知り、かつてその国に関わったことから、主に美しい美術品を守ろういう動機で潜入する。当然ながら結局捕まり、ポル・ポト文化大革命が一緒にやってきたような革命に巻き込まれるのだが、その果てに見たものは…的な実にハードなお話。こういうキーワードに反応してしまう方には超おすすめかと。

ISやら何やらが跋扈する今日この頃、読むとまた色々考えることがあるかもしれない。また読んでみようかな。



でもこちらはまだ復刊していませんでした(残念)。


(延々と休み休み続いているブラタモリ那覇の件はあと1回で終わるのでこの後頑張って書きます!)