xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

「僕だけがいない街」アニメ版最終回感想:いいんだけどなんかもやもやする…

というわけで、ついに最終回を迎えたアニメ版「僕だけがいない街」ですが、全12話の第11話からオリジナル展開が入ってきてはてさてどうなった…。とりあえず第5話まで見た時の感想はこちら。

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最終回を見て…なんというか、悪くないんだけどもやもやするんだよね。

アニメから知って、アニメだけ見ている人には割といい最終回だったとは思うんだ(twitterとか検索してみるとわりと好評のようだし)。でも原作6巻〜8巻の展開が好きすぎる原作厨気味の俺にとってはかなり微妙。


10話までは、多少の不満はあるものの、それを補って余る形でとても良かったんだけど、11話以降には正直不満の方が多い。それでも「極黒のブリュンヒルデ」の時ほど酷くはないのは今回はオリジナル展開を採用したからとも言えるんだけど(ブリュンヒルデは原作通りに終盤を詰めた場合のかなり最悪に近いサンプルだと思う)。

そもそも、やっぱりこのアニメの企画を聞いた時に一番不安だったのが「1クールで尺足りるの?」だったのですが、結局全体の進行はこんな感じでしたね。

アニメ 原作
1話 1巻
2話 2巻
3話 2巻
4話 2巻
5話 3巻
6話 3巻
7話 4巻
8話 4巻
9話 4〜5巻
10話 5巻〜6巻
11話 6巻〜7巻+アニメオリジナル
12話 6巻〜8巻+アニメオリジナル

結局、大体1巻2話くらいかかる計算と、原作の各巻が実にいい「引き」で終わっているのでその「引き」を各話の最後に合わせようとすると、全8巻で16話くらいないと収まらないんだよねこの話。まあ、1巻と7巻は1話でできそうだからそれでも14話か。ノイタミナにしては1話長い全12話でも1時間ほど尺が足りない。

こうしてみると原作全11巻を2クール22話に収めて原作とアニメがほぼ同時に終了した「四月は君の嘘」とかは本当に企画段階の段取りが見事だったんだな。

というわけで、実に事前に予想された危惧が、最悪(ブリュンヒルデ状態)よりはだいぶマシな状態(そこそこ良くできたオリジナル展開)で解決されたものの、かなりもやもやしている私なのでありました。





以後、原作最終話までへのネタバレはありますので、原作を読む予定のある方は、できれば原作を最終回まで読んでからこちらを読まれることをお勧めします。っていうかみんな原作も最後まで読んで! お願い。





最終話界隈に感じた最大の不満原因はやっぱりこれに尽きるなー、と思うところは3点あって、これらはどれも実に不満です(特に1.の件)。

  1. 終盤に愛梨の登場がほとんど無かった(もともと少ない出番がラスト以外全部消えた)。真のヒロインなのに終盤で重要な役目をさせてもらえず、ラストシーンで唐突に出てきた感。ましてや愛梨の行動を八代が奪うのはさすがにないと思った。あの展開ならパパラッチの件丸ごと不要だったんじゃない? そしてせっかくワクワクさせられた6巻の「引き」がなくなってしまったのも悔やまれる。だって一応、7巻の表紙を主人公より大きく飾ってるキャラなんだぜ。同じ部分を描いたアニメに出てこないってのはないよ。
  2. ケンヤとの共同作業がほとんどなくなってしまった。せっかくあれだけ固い絆で結ばれたのに、実際のところあまり事件の解決に役立っていない。しかも八代の弁護士をする件がカットされた。
  3. 俺の超大好きな、加代と「クリスマスツリー」のシーンが2つともカットされた。あれがあるから序盤の「クリスマスツリー」のシーンがなお輝くのに。

僕だけがいない街(7) (角川コミックス・エース)

僕だけがいない街(7) (角川コミックス・エース)

うん。だいぶ吐き出した。

というわけで、最終話界隈に感じたその他気に入らなかった点、良かった点をいくつか。

  • 気に入らなかった点
    • やっぱり加代には帰ってきて欲しかった
    • 「犯人が分かってからが本番」感が薄かった
    • なぜ悟ママが死なずに済んでいるのかの解説がないので少しわかりにくい
    • 犯人像の掘り下げが足りない。もっと八代の昔の話をして欲しかった
    • 終盤の八代の行動が原作よりしっくりこなかった(もっと、原作のように「じわじわ」とアプローチしてきてほしかった)
    • 最後の悟ママの独白がなかった
    • 久美ちゃんの件があまりにあっさりしすぎ
  • 良かった点
    • 6巻のケンヤの言葉の一部を最終回に持ってきたのは良い改変だった
    • なんだかんだでホロリと来るシーンがいろいろあった(特に、やっとのことで愛梨が出てきたシーンとかね)
    • 大人になった美里が意外にかなりよかった
    • さユりの音楽の使い方は良かった(でも「来世で会おう」も使って欲しかった)

全体的な話としてはやっぱり「犯人が分かってからが本番」感が薄れたのが一番残念だったかな。原作で犯人が判明するのは8巻中の5巻なんだけど、アニメだと12話中の10話だからね。しかも、それ以前からここぞとばかりに犯人は八代だと示唆されていたストーリーなんだから、終盤まで犯人当てを引きずるのは良くなかったと思う。

やっぱり、あと4話あったらとても素晴らしい作品になったと思うんだよね。せめてあと2話。前半で2巻にまるまる3話使ったのはとても良かったと思う。あと4話あれば、8巻にその位の余裕で対峙できたと思うだけに残念。うーん、やっぱり企画段階での問題と現在のTVアニメの構造的な問題(デフォ1クール的習慣)な気がする。まあ、それでも今期いちばん楽しめたアニメであったことは確かだよ(あらためて最終回をもう一度見たら少し印象が良くなった)。

あと、さユりの音楽が素晴らしいと認識させてくれたという一点だけでも私にとっては良いきっかけを与えてくれた作品だったと思う。「新世界より」を思い出す石浜真史氏のEDアニメも素晴らしかったし。

それは小さな光のような(初回生産限定盤A)(DVD付)

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  • アーティスト:さユり
  • 発売日: 2016/02/24
  • メディア: CD


ふう。とりあえず原作最終話未読の方は4月発売の8巻をお楽しみに。

で、八代についての掘り下げはこっちでもいいのかな。

僕だけがいない街 Another Record

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  • 作者:一 肇
  • 発売日: 2016/03/30
  • メディア: 単行本


追記:いろいろありましたが、結局2016年アニメ私的3位、ということにしました。

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さらに追記:8巻がラストだと思っていたら9巻が出た!

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さらにさらに追記:Netflixの実写版は実に良かったぞ。

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