xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

「んぐまーま」と「ジャリおじさん」

最近我が家では大竹伸朗さんの絵本がブームなのです。きっかけはブレゼントでいただいた「ジャリおじさん」。最初はなんだろうこのシュールな絵本? と思ったのですが、なかなか子供に読み聞かせていると、深い。子供は子供で、何か琴線に触れるものがあったのか、あっという間にお気に入り絵本に昇格です。

そして調子にのってAmazonで買ってみた「んぐまーま」が、想像以上の怪作でとんでもなくすごい! こちらも現在子供の大のお気に入りであるだけではなく、私にとってももかなりお気に入り絵本です。

というわけで、大竹伸朗さんの絵本2冊(Amazonで検索した限りでは多分これだけだと思う)を紹介してみようと思います。

「んぐまーま」

まずは現在我が家で大ブーム中の「んぐまーま」。こちらは絵が大竹伸朗さんの担当で、作者は谷川俊太郎さんなのですが、これはすごい。とにかくすごい。あふれんばかりのパワーが溢れる序盤から、優しい(?)ラストに向かう、謎の生物?の心が、日本語でもなんでもない謎の言語で表現されている。

私が一番お気に入りなのは、この謎生物が混沌から生まれた(?)シーンの次にあたるページのこれだ!

ばーれ だーれ あまはんどら!

f:id:xoc:20140401210610j:plain

まさに「爆誕」と呼ぶにふさわしいこの迫力。シンプルなフレームに眼で描かれた謎生物が、坂道に向かって一歩を踏み出す姿は力強く美しい。「あまはんどら!」って何だよ的な疑問はもうどうでもいい。言葉遊びのようで、何か意味があるようでもあり、何が何だかわからないけど、とにかく何かが伝わってくる。

案外、どんなきれいな絵本であっても、言葉がわからず、視覚処理能力や抽象図形の把握能力が未発達な子供に読み聞かせた時に、見えている姿や聞こえている言葉は、実はこんな感じなのかも知れないな、とも思います。それでも、この虚飾を排したデザインが、何故か子供のハートをがっちり掴むというのは素晴らしい。そして、大人が読んでもやはり楽しめる上に色々と考えさせられるというのは、すごい作品だと思います。

言語の学習期に、謎言語のノイズを加えるのは如何なものかという意見もあるかと思いますが、別にこれだけ読んでるわけじゃないし、この本をネタに色々話しかけてあげればいいんじゃないかな、と思います。この赤いのそのそはどうしておうちに行ったのかな? とか色々おはなしのネタ満載ですので。

んぐまーま (谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」)

んぐまーま (谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」)

アヴァンギャルドさに抵抗のない方に、お勧めかな。

「ジャリおじさん」

私に大竹伸朗さんの絵本の魅力を教えてくれたこの作品。こちらは絵と文のどちらも大竹伸朗さんです。そして言葉は一応ちゃんと日本語。

ストーリーは、海辺に住んでいたジャリおじさんが、ふと道を歩きはじめて、色々な人や動物やその他諸々に会い、道の果てでたどり着いた海辺に再び居を構えるというものですが、これまた深い。

画用紙を何枚か貼り付けたような紙に描かれた不思議で美しい絵と、不条理なストーリーが相まって、なんとも言えない「ジャリおじさんワールド」を作っています。絵のそこかしこに散りばめられた不思議な物体、ジャリおじさんと出会う不思議な人や物やその他諸々。

f:id:xoc:20140401210739j:plain

もう一人のジャリおじさんとは何なのか? 「あおいかみさま」とは何なのか? ワニはなぜのそのそでしかもピンクなのか? ジャリおじさんはなぜ再び辿り着いた海岸に定住することにしたのか? 様々な疑問が浮かぶストーリーですが、これもなぜか子供に大受け。「読んで読んで攻撃」が続きます。

それにしても「あおいかみさま」の持っている食べ物は、バナナとかリンゴとか子供の好きそうなフルーツ中心でいいですね。のそのそ。

ジャリおじさん (日本傑作絵本シリーズ)

ジャリおじさん (日本傑作絵本シリーズ)

「んぐまーま」ほど人を選ばないと思います。こちらはあまねくおすすめ。